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紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

デイブ・ブルーベック・カルテット・アット・カーネギー・ホール

2007-05-04 20:04:17 | ジャズ・ピアノ・コンボ
デイブ・ブルーベックのカーネギー・ホールにおける歴史的コンサートのライブアルバムで、彼の代表作。
メンバーは最盛期のデイブ・ブルーベック・カルテットで、最高のパフォーマンスを形成する。
演奏曲12曲も彼等のライフワークのベスト盤みたいな物で、言うことなし。

アルバムタイトル…デイブ・ブルーベック・カルテット・アット・カーネギー・ホール

パーソネル…リーダー;デイブ・ブルーベック(p)
      ポール・デズモンド(as)
      ジーン・ライト(b)
      ジョー・モレロ(ds)

曲目…DISC1…1.セントルイス・ブルース、2.ボサ・ノヴァ・USA、3.フォー・オール・ウィ・ノウ、4.ペニーズ・フロム・ヘヴン、5.サザン・シーン、6.スリー・トゥ・ゲット・レディ
   DISC2…1.イレヴン・フォア、2.一日だけの王様、3.キャスティリアン・ドラムス1&2、4.イッツ・ア・ラギー・ワルツ、5.トルコ風ブルー・ロンド、6.テイク・ファイヴ

1963年2月22日 カーネギー・ホールにてライブ録音

演奏について…DISC1の冒頭の「セントルイス~」から一気に聴衆の気持ちを高揚させ、このカルテットの世界へと誘う。
元来、この曲はいかにも黒人好みの楽曲だが、ここでの演奏は黒人っぽくも白人っぽくも無く、中庸の美学がある。
2曲目の「ボサ~」は一曲目からガツンと演った聴衆を、更にラテンで追い討ちをかける。モレロの自作だけに彼のドラミングはこと更素晴らしい。
3曲目はここで4ビートのスタンダードで少し聴衆を落ち着かせるが、ブルーベックの珍しい間の取り方とブロックコードがとても個性的で、不思議な魅力に引きつられる。
4曲目はデズモンドのソロが魅力的で、5曲目はブルーベックの寛ぎのピアノが聴き物であり、6曲目はいかにも白人らしい、ブルーベックお得意の変拍子作品で前半の幕を閉じる。

DISC2では、まず変拍子のデズモンド作品から再開するが、短い曲だがデズモンドはともかく、ここでもモレロのドラミングが特筆もの。
2曲目「1日~」では、ベース奏者「ジーン・ライト」がフィーチャーされていて、このコンボが3人の有名所のバンドでは無いことを強烈に主張する。
ライトのベースは骨太だが、タイトに締まっており、男らしいサウンドで非常に好感が持てる。
3曲目「キャスティリアン~」はこのアルバム演奏中1、2を争う名演。
モレロに触発されたのか、ここでは珍しくブルーベックがいきり立ち、主役モレロはさらに自己を鼓舞するかのように変幻自在のドラムを奏でる。
しかし、モレロはブレイキーやエルヴィンのような爆裂ドラムは奏でず、非常にインテリジェックでいかにもこのコンボのドラムスと言った所が逆に個性的だ。
4曲目は、またまた楽しくてくつろぎのジャズ・ワルツで一息入れる。
そして5曲目「トルコ風~」が、このアルバム中白眉の一曲で、大お薦めです。
ブルーベックとデズモンドの絡み合うハーモニーがこのコンボを究極の高みへと飛翔させる。
統率が取れているのに、どこかクラシックの現代曲のようなクールさがあり、その中にジャズのエッセンスがちりばめてあり、ブルーベック・ワールド全開!と言ったら分かり易いかなぁ。
アンコールは彼等の代名詞「テイク・ファイヴ」で、これは説明不要でしょう。
ブルーベックが作ったジャズ史上不滅の名曲だ。

最後に、このアルバム全体から感じるのだが、リーダー;ブルーベック、影のリーダー;デズモンドの二人の演奏が素晴らしいのは当然だが、このコンボの本当のリーダーは実は「モレロ」だと断言したい。
学者肌で、無骨なピアニストの「ブルーベック」と、流麗でいかにも白人アルティストの代表のような「デズモンド」を、時には激しく、時には非常に繊細に、曲によって硬軟を使い分けて、二人を強烈にドライブしているのが、全編に聴かれるモレロのドラムスである。


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