紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

いかにもブルー・ノートらしい1枚…イースタリー・ウィンズ~ジャック・ウィルソン

2007-12-02 00:25:24 | ジャズ・ピアノ・コンボ
異彩を放つ、ブルーノートのピアニスト、「ジャック・ウィルソン」がリーダー名義の渋いアルバムを紹介しましょう。

内容的にはいかにもブルー・ノートらしい、ファンキーさ全開の1枚です。
「ウィルソン」以外の参加メンバーもすごいですよ。
ブルーノート・オール・スターズに近いんじゃないの?

アルバムタイトル…イースタリー・ウィンズ

パーソネル…リーダー;ジャック・ウィルソン(p)
      ジャッキー・マクリーン(as)
      ガーネット・ブラウン(tb)
      リー・モーガン(tp)
      ボブ・クランショウ(b)
      ビリー・ヒギンズ(ds)

曲目…1.ドゥ・イット、2.オン・チルドレン、3.ア・タイム・フォー・ラヴ、4.イースタリー・ウィンズ、5.ニルヴァンナ、6.フランクス・チューン

1967年9月22日録音」

原盤…BLUE NOTE BST-84270 発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-4270

演奏について…オープニング曲「ドゥ・イット」…ラテン調の変拍子で、「サイドワインダー」?それとも??と考えている内に、そうだ!「ウォーター・メロンマン」にクリソツと言うことが分かった。
ノリノリの「ヒギンス」のドラムと「クランショウ」のベース、そしてリーダー「ジャック・ウィルソン」のブロック・コードに合わせて、「マクリーン」「モーガン」「ブラウン」の順番で、ファキーなメロディ、アドリブをガッツリかましてくれます。
後半は「ウィルソン」のファンキー・ピアノにホーン・メンバーがユニゾンで呼応する形態を取っていて、盛り上がります。

2曲目「オン・チルドレン」…Dマイナーの曲で、とてもアーバナイズされたハイ・センスな1曲。
「ブラウン」の行けてるソロから始まり、「マクリーン」が割と上品に襷を受けて、アドリブを奏でる。
その後の「モーガン」も、この都会的な曲に合わせてか、日頃の「悪がき」とは随分かけ離れた、「好青年」が吹いているかのようなソロをとります。
その後の「ウィルソン」のアドリブ・ソロは、完璧にバッチリ決まっていますよ。
いかにもブルーノートらしい、佳曲です。

3曲目「ア・タイム~」…1、2曲目とは、ガラリと曲調を劇的に変えて、ロマンティックでメランコリックな「ウィルソン」のピアノがテーマ・メロディを奏でてからスタートする。
「ウィルソン」…なんてリリカルでナイーヴなピアニストでしょう?
このバラード…美しい。余りにも美しすぎる。。
しかし、こう言う1曲をアルバムに入れると言うだけで、「ウィルソン」のセンスの高さが良く分かる。
まじめに、「レイ・ブライアント」とか、「ケニー・ドリュー」の様な女性的で繊細な演奏に涙が出そうです。
「ウィルソン」…本当にありがとう。

4曲目「イースタリー~」…タイトル曲ですが、グルーヴ感の有るメジャー・コードで、「ヒギンズ」と「クランショウ」が強烈にドライヴィングして、皆をリードして行きます。
「モーガン」は、やや大人しめのソロですが、「ブラウン」がトローンボーンらしからぬ、攻撃的なアドリブを吹いて、彼の存在感をアピールします。
この後の「ウィルソン」のソロは前曲とは打って変って、強めのタッチでガンガン行きます。
ラストはまたまた決まり物のホーン群のユニゾンで、セクステットがゴール・インです。

5曲目「ニルヴァンナ」…この曲も不思議な(一寸けだるい、そして幻想的な)スロー・テンポのナンバーで、個性が有りますね。
ユニゾンでテーマが吹かれた後、各楽器奏者がより糸の様に絡み合い、各々の好きに吹くのですが、それから「ウィルソン」が、クラシックの「リスト」の様に、技巧高く、メロディは優しく、自分の持ち味を十二分に出して、素晴らしい曲に仕上げています。
ラストでは「マクリーン」が情感溢れるアルトを演ってくれて…サービス満点だ
ね。
それから、「ヒギンズ」が大人しいながらも、おかずを一杯付けて敲いてくれるのも、サービスですよ。

ラスト曲「フランクス・チューン」…ラストも3管を生かしたユニゾン演奏から、各人が少しずつソロをとって、フィナーレに相応しい1曲になっています。
特に「マクリーン」のソロは流石の一言で、「ブラウン」も思い切り良く、気持ち良く吹いてくれます。
「ブラウン」…この人も実は、かなりのテクニシャンなんですね。
今日じっくり聴いて見て、改めて感じ得ました。
「モーガン」は、相変わらずブリリアントな音色のトーンですが、アドリブ自体はこの曲でも地味目に吹いています。
今回は出来が悪いと言うよりは、遠慮しているって言う感じがするんですけど…。
「ウィルソン」をリスペクトして、萎縮しているのかな?

いずれにしても全曲、曲も良いですし、渋いながらも「ウィルソン」と言うピアニストの多くの才能を見れる、好アルバムです。


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