紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

知的なボサ・ノヴァ…デイヴ・ブルーベック…ボサ・ノヴァ U.S.A

2008-04-17 22:43:18 | ジャズ・ピアノ・コンボ
私の住んでいる神奈川県は、今日の夕方くらいから、生憎の雨模様となりまして、とてもじめじめした嫌な天候です。
そこで、今日はジャズとラテンの融合…それも飛び切りのハイ・センスな奴で行きたい…じめじめ陽気を吹き飛ばしたいなぁ…と思ってこのアルバムをセレクトしました。

アルバムタイトル…ボサ・ノヴァ U.S.A

パーソネル…リーダー;デイヴ・ブルーベック(p)
      ポール・デズモンド(as)
      ジーン・ライト(b)
      ジョー・モレロ(ds)

曲目…1.ボサ・ノヴァ U.S.A、2.冷たい風、3.トロリー・ソング、4.6月によせて、5.テンダー・ハート、6.ブラザー・フレンド、7.明日なき恋、8.カンティガ・ノヴァ・スウィング、9.ラメント、10.ディス・キャント・ビィ・ラヴ

1962年1月3日 ②⑤⑥⑧⑨、7月2日 ③⑩、7月12日 ④⑦、10月25日 ① NYにて録音

原盤…米コロムビア  発売…SONYレコード
CD番号…SRCS-9364

演奏について…まず、タイトル曲の1曲目「ボサ・ノヴァ~」…「ブルーベック」の軽やかで魅惑的なブロック・コードと「モレロ」の軽快なドラミングに導かれて、二人以上に羽が生えた様に軽い音色で、「デズモンド」が流麗にアルト・サックスを吹く。
何気ない曲に何気ない演奏だが、このライトさ…他では味わえない感覚だ!

2曲目「冷たい風」…この曲も素晴らしく良い曲で、ボサ・ノヴァ・リズムに乗って「デズモンド」がクール&ライトに吹き切る。
受ける「ブルーベック」のシングル・トーンも切なさと軽さの間で揺れる微妙な感覚がとても品が有って…ボサ・ノヴァの良さ、佳曲が再認識出来ます。

3曲目「トロリー・ソング」…古くからの「ブルーベック・カルテット」の作品で、彼らの十八番の一つ。
とてもハイ・テンポで、あくまで軽快に「デズモンド」「ブルーベック」「ライト」「モレロ」の4人が渾然一体になって疾走する。

4曲目「6月によせて」…「ハワード・ブルーベック」…そう、「デイヴ」のお兄さんが書いた美曲で、「デズモンド」のクール?いやウォーム?かな??&ビューティのアルト・サックスが堪能出来て、「ブルーベック」の審美的なピアノ・ソロも聴き物のファイン・チューンです。
ジャズとは言い難いが、ポップスほど軟弱では有りません。
個人的にはとてもお気に入りな1曲です。

5曲目「テンダー・ハート」は「テオ・マセロ」作で、リズムは勿論、ボサ・ノヴァなんだけど、「デズモンド」のサックスのアドリブが行けてるし、「ブルーベック」の抑えたピアノ・ソロも味わい深い。
バリバリに吹かず、弾かず、抑制の美学が有りますねぇ。
やっぱり、「ブルーベック・カルテット」…とっても白人っぽい演奏です。
でも、でも…たまにはこう言うのも良いよ。
激しいだけがジャズでは有りませんねぇ。

6曲目「ブラザー・フレンド」…いかにも「ブルーベック」的かと言えば、そうは思わない。
どちらかと言うと…そうだ!「MJQ」の感じだな。
「ミルト」のヴァイブの代わりに「デズモンド」が入った感じで…とても室内楽的で、曲の少し外した和音や、クラシックの現代曲風のニュアンスに、優れたセンスをバチバチ受けます。

7曲目「明日なき恋」…この曲も良いねぇ!
さっきの曲、「MJQ」的と言ったが、もう一つ似ているのが有ったよ~。
そうですねぇ、「ジャック・ルーシェ」とか「オイゲン・キケロ」みたいに、「ジャズ・バッハ」を演るアーティストの表現に類似しているんですね。
古風な部分と、ハイテクな部分が美しく融合されていて、正しくそれこそ古くて新しい代表的な作曲家「バッハ」そのものみたい。
勿論、この曲は「バッハ」では無く、「ブルーベック」のオリジナルですけど、「バッハ」風に聴こえるんです。
それだけ素晴らしいマイナー・チューンに仕上がっていて…フィナーレの「ショパン」っぽい所もまた良いんです。
クラシック好きな人は、この曲&演奏…間違いなく気に入るでしょうね。

8曲目「カンティガ・ノヴァ~」…このアルバム唯一のボサ・ノヴァ曲では無く、サンバ曲で…「モレロ」の激しいドラミングと「ライト」の牽引力溢れるベース演奏がぐいぐいと推進して行く。
「ブルーベック」もこの曲では、ピアノを打楽器?として用いて、敲き捲ってくれます。

9曲目「ラメント」…曲名通り、悲しみのマイナー・バラード・チューンで、のっけから「ブルーベック」のソロ演奏がとても美しいいんですが、中途からボサ・ノヴァの軽快なリズムへとチェンジして、それに合わせて「デズモンド」がシンプルなラインのメロディをサックスで口ずさむ。
「ブルーベック」も「デズモンド」同様にシンプルに合わせてくれて、goodです。

ラスト曲「ディス・キャント~」…原曲は「リチャード・ロジャーズ」作のスタンダードですが、ここでの演奏では、ラテン・リズムにチェンジして、それもかなり激しい感覚で、かなりデフォルメしたイメージになります。
しかし、「デズモンド」の跳ねたアルト演奏と「ブルーベック」の遊び心を入れたアドリブ演奏の両方とも冴えていて…気持ち良いです。
それ以上に聴き物は…「モレロ」のドラム・ソロで、一瞬「フィリー・ジョー」?って思うぐらい、スゴテクとライトなノリで、突っ込んだ演奏をしてくれます。
彼の貢献も有ってか?ラストの2曲は、「ブルーベック・カルテット」の演奏としては、かなりファイトしていて、やっぱり最後は、メンバー全員で盛り上げてフィニッシュしたいんでしょう。

じめじめ天気を、ハイセンス・アルバムを聴いて、皆でぶっ飛ばしましょうや!!


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