紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

センス抜群のコンボ演奏…ジョージ・シアリング・アンド・ザ・モンゴメリー・ブラザーズ

2008-05-11 12:36:58 | ジャズ・ピアノ・コンボ
盲目の天才、白人ピアニスト「ジョージ・シアリング」と、南部出身のブルージィ且つダイナミズム抜群の天才、黒人ギタリスト「ウエス・モンゴメリー」&「モゴメリー・ブラザーズ」がコンボを組んだ、センス抜群のアルバムが、今日紹介する2枚目です。

アルバムタイトル…ジョージ・シアリング・アンド・ザ・モンゴメリー・ブラザーズ

パーソネル…リーダー;ジョージ・シアリング(p)
      リーダー;ウエス・モンゴメリー(g)
      バディ・モンゴメリー(vib)
      モンク・モンゴメリー(b)
      ウォルター・パーキンス(ds)
      アーマンド・ペラザ(congas)
      リカルド・チメリス(timbales、bongos)

曲目…1.ラヴ・ウォークト・イン(take11)、2.ラヴ・フォー・セール、3.ノー・ハード・フィーリングス、4.エンチャーンテッド、5.ストレンジャー・イン・パラダイス、6.亡き王女のためのパヴァーヌ、7.ダブル・ディール、8.アンド・ゼン・アイ・ロウト、9.ダーン・ザット・ドリーム(take8)、10.ルイズ・アン、11.マンボ・イン・チャイムズ(take11)、※12.ラヴ・ウォークト・イン(take1)、※13.ダーン・ザット・ドリーム(take1)、※14.マンボ・イン・チャイムズ(take1)

※3曲はCDボーナス・トラック

1961年10月9日、10日 L.Aにて録音

原盤…RIVERSIDE JAZZLAND JLP-55
発売…ビクター・エンターテインメント㈱
CD番号…VICJ-60018

演奏について…1曲目「ラヴ・ウォークト・イン(take11)」…「ウエス・モンゴメリー」がお得意のオクターブ奏法をヨーイ・ドンから繰り出し、次いで弟「バディ・モンゴメリー」が、短いがセンシティブなソロを演る。
「シアリング」は伴奏に専念し、「モンゴメリー・ブラザーズ」を優しく見守る。

2曲目「ラヴ・フォー・セール」…「コール・ポーター」作曲の有名なスタンダード・ナンバーだが、まるでMJQが演奏しているが如く、寛ぎとハイ・センスで纏められていて、好感が持てます。
そうですねぇ…MJQ+「ウエス・モンゴメリー」的なサウンドと言えば良いでしょうか?
序奏と中間のアドリブは「シアリング」が演ってくれるんですが、抜群のセンスとインテリジェンスを感じるソロで、流石としか言いようが有りません。

3曲目「ノー・ハード・フィーリングス」…「バディ」と「シアリング」の掛け合い的に序奏がなされ、「バディ」の跳ねるヴァイブと、「シアリング」の小粋なシングル・トーンが、極めてお洒落です。
「ウエス」は一人だけブルージィに仕上げて、スパイス役を買って出ます。
もう一人の「モンゴメリー兄弟」の「モンク・モンゴメリー」の分厚いサウンドのベース演奏も出来映え良くて、裏聴き所になってます。
全員が精緻且つエネルギッシュなコンボ演奏をしていて、ベスト・トラックと言っても過言では有りません。

4曲目「エンチャーンテッド」…「シアリング」作の室内楽的なスロー・ナンバーで、ここでは「シアリング」と「バディ」のゆったりしたユニゾン演奏が、寛ぎとチョッピリの気だるさを演出していて、いとおかしです。
この曲を夏の海辺、それも夕暮れ時に聴けば、思わず転寝(昼寝)をしちゃう癒し音楽ですね。

5曲目「ストレンジャー・イン・パラダイス」…この曲は(から)ラテン曲となって、「ペラザ」「チメリス」のWパーカッション(コンガ・ボンゴ)が加わって、演奏がとても華やかになります。
しかし「モンク・モンゴメリー」の分厚いベース・サウンドと、このパーカッション群がベスト・マッチを見せて、ラテン・ミュージックで有りながら、硬派に仕上がっていて、聴かせる音楽にしているのは◎でしょうねぇ。
後半部分は「ウエス」の腕の見せ所…真骨頂で、オクターブ奏法とブルーズ・スピリットが程好く炸裂します。

6曲目「亡き王女のためのパヴァーヌ」…ラテン・リズムばりばりで「ラヴェル」の名曲を演る辺りは…流石「シアリング」と言うべきか?
「ラヴェル」の印象派的な淡いサウンドとは対極にあって、極彩色の艶やかなサウンド(演奏)になっています。
「ペラザ」と「チメリス」が燃えていて、楽しいこと請け合いです。

7曲目「ダブル・ディール」…「ウエス」作の佳曲で、「ヴァイブ」と「ピアノ」のユニゾン演奏に「ウエス」が、サイドからジャジィに修飾して行き、これぞコンボ演奏の規範と言いたいぐらいのハイ・パフォーマンスがgoodです。
この後「ウエス」が更にマッシブなアドリブで決めてくれるし、「バディ」は弾み度120%のハイなソロを演って…ごきげんだぜぃ!
この曲も最上位クラスの演奏です。

8曲目「アンド・ゼン・アイ・ロウト」…「シアリング」作のマイナー・チューンで、短いが「ウエス」の立派なアドリブ・ソロと、自身「シアリング」のシングル・トーンでのアドリブが上品で、行けてますよ~!
この曲まえに改めて気付いたんだけど、ドラムの「パーキンス」が地味ながら、堅実にフロント3人をアシストしていて、拍手を送りたいですね。

9曲目「ダーン・ザット・ドリーム(take8)」…この曲(演奏)も前半は「バディ」の演奏を全面に押し出して、アクティブに仕上げて行きます。
中盤「シアリング」のソロに入ると、格調を上げる様にお洒落に決めます。
その後は「ウエス」が〆ますが、どことなく御大「シアリング」に遠慮している様なのですが、フレーズを聴くと…やっぱり「ウエス」を主張していますね!

10曲目「ルイズ・アン」…「バディ」作のロマンティックなバラード・ナンバーで、一寸甘すぎと評価する人もいるらしいのですが、やっぱりこのメンツなら、これぐらい濃い、ど真ん中直球勝負の1曲が有って当然だと、私は思います。
まじで、甘~いです。
まるで、純愛物の映画音楽そのものです。
でも…でも…僕は好きだな…こういうの!!!

11曲目「マンボ・チャイムズ~」の(take11)で、パーカッションの「ペラザ」と「チメリス」がかなりエキサイトして、明るく楽しいラテン・ミュージックがなされていますが、個人的には、やや明るすぎな感じで、LP初出時、不採用となった14曲目の方が好みなんですが…。

12曲目「ラヴ・ウォークト・イン(take1)」…採用トラックと比較して、一発目の録音なので、「バディ」が一寸緊張気味で、前半に音が若干ぶれているかもしれませんねぇ。
後半はのびのび演っているので、好演しています。
「ウエス」の出来は悪く有りませんで、最初からオクターブ奏法びんびんに来てます、来てます。
そして「シアリング」…余裕のソロです。
結構良い演奏ですよ。

13曲目「ダーン・ザット・ドリーム」(take1)…採用トラックと比べて特に悪い所はない気がします。
かなり良い演奏で、この曲&演奏辺りは、音楽プロデューサー、「シアリング」「ウエス」等で話し合って、好みの問題で決めた感じがします。
全員が渾然一体となった、素晴らしい緻密なグループ・コンボとして機能しています。

14曲目「マンボ・イン~」(take1)…こいつは良いねぇ。
特に「ウエス」の出来とアドリブ・ソロの気合…一番良いかも。
だけど、「ウエス」が良すぎて、「シアリング」のお気に召さなかったのかなぁ?なんて下衆のかんぐりをしたくなる演奏ですね。
私としては「ウエス」の演奏を全面に押し出して頂けると嬉しいんですが…御大…怖いからなぁ…でも、このCD化で収録してくれて、おかげで聴けて、ラッキーですね。


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