続きです。
③柳家さん喬 「死神」
扇遊師匠の師匠である入船亭扇橋師匠の話を。
「前座のころ、師匠の小さんから『おう!お前ら落語会やれ!』と言われ、前座の落語会を催したことがありました。
小さんの家に剣道の道場があって、10坪ぐらいでしょうかね、お客さんが30~40人ぐらい入る・・・、そこで落語会をやりました。
2回で終わっちゃいましたが・・・(笑)。
誰かゲストを呼ぼうというので、呼んだのが扇橋師匠でした。当時はさん八という名前でした。
『これはお祝いだよ』と、赤飯を差し入れてくれまして、本当にやさしい師匠でして・・・、
おしい人を亡くしました・・・(笑)、あ、いえいえ、死んでないですね。
まあ、同じようなものですが・・・(笑)。
小さん師匠のお宅のそばにアパートがあって、いつも雨戸が閉まっている部屋があるんです。
夜、おかみさんが、あたしに(手をお化けのようにして)、
『出るんだよ~~』
またこの顔が怖いのなんの・・・(笑)
さんざん脅かしておいて、自分は夜になると2階に行っちゃうんです・・・(笑)。
あたしは1階の仏壇がある部屋で寝るんですが、おかみさんの顔が浮かんできて・・・(笑)。
さて、「死神」でした。
6月にさん喬師匠と喬太郎師匠の親子会に行き、喬太郎師匠の「死神」を聞きました。
さん喬師匠の「死神」は初めてです。さて、喬太郎師匠との違いはどうでしょう。
さん喬師匠の死神は、やや高い声、不気味に高笑いを繰り返し、八五郎に話しかけます。
これに対して、喬太郎師匠の死神は低い声、やや前かがみで杖にみたてた扇子に体重をかけるような姿勢で話しかけます。
喬太郎師匠はしきりにくすぐりを入れ、あくまでも「これは落語だよ」という姿勢で演じているように感じましたが、さん喬師匠は「これは怪談噺」という考えなのでしょうか。あくまで凄みをきかせ、怖い死神を描きます。
個人的にハッとしたのは、八五郎がろうそくのある洞窟に連れて行かれ、自分が他人の命と自分の命をを取り換えたことを知り、死神に、
「はめやがったな!」
「俺にとりついてやがったな!」
と叫ぶところです。
死神に「お前はまだ寿命がある」と言われ、医者になれ、と言われ、呪文まで教わりながら、なぜかだんだん金に困るようになる・・・。
で、ついに金に目がくらんで、布団をひっくり返すという手を使ってしまう・・・。
死神に見込まれたはずの八五郎がどうして落ちぶれてしまったのか、どうしてそんな手を使ったのか、その疑問をさん喬師匠はきちんと描いておりました。
噺が終わり、会場全体が大きく呼吸をしたように感じました。
(すみません。続きます)
③柳家さん喬 「死神」
扇遊師匠の師匠である入船亭扇橋師匠の話を。
「前座のころ、師匠の小さんから『おう!お前ら落語会やれ!』と言われ、前座の落語会を催したことがありました。
小さんの家に剣道の道場があって、10坪ぐらいでしょうかね、お客さんが30~40人ぐらい入る・・・、そこで落語会をやりました。
2回で終わっちゃいましたが・・・(笑)。
誰かゲストを呼ぼうというので、呼んだのが扇橋師匠でした。当時はさん八という名前でした。
『これはお祝いだよ』と、赤飯を差し入れてくれまして、本当にやさしい師匠でして・・・、
おしい人を亡くしました・・・(笑)、あ、いえいえ、死んでないですね。
まあ、同じようなものですが・・・(笑)。
小さん師匠のお宅のそばにアパートがあって、いつも雨戸が閉まっている部屋があるんです。
夜、おかみさんが、あたしに(手をお化けのようにして)、
『出るんだよ~~』
またこの顔が怖いのなんの・・・(笑)
さんざん脅かしておいて、自分は夜になると2階に行っちゃうんです・・・(笑)。
あたしは1階の仏壇がある部屋で寝るんですが、おかみさんの顔が浮かんできて・・・(笑)。
さて、「死神」でした。
6月にさん喬師匠と喬太郎師匠の親子会に行き、喬太郎師匠の「死神」を聞きました。
さん喬師匠の「死神」は初めてです。さて、喬太郎師匠との違いはどうでしょう。
さん喬師匠の死神は、やや高い声、不気味に高笑いを繰り返し、八五郎に話しかけます。
これに対して、喬太郎師匠の死神は低い声、やや前かがみで杖にみたてた扇子に体重をかけるような姿勢で話しかけます。
喬太郎師匠はしきりにくすぐりを入れ、あくまでも「これは落語だよ」という姿勢で演じているように感じましたが、さん喬師匠は「これは怪談噺」という考えなのでしょうか。あくまで凄みをきかせ、怖い死神を描きます。
個人的にハッとしたのは、八五郎がろうそくのある洞窟に連れて行かれ、自分が他人の命と自分の命をを取り換えたことを知り、死神に、
「はめやがったな!」
「俺にとりついてやがったな!」
と叫ぶところです。
死神に「お前はまだ寿命がある」と言われ、医者になれ、と言われ、呪文まで教わりながら、なぜかだんだん金に困るようになる・・・。
で、ついに金に目がくらんで、布団をひっくり返すという手を使ってしまう・・・。
死神に見込まれたはずの八五郎がどうして落ちぶれてしまったのか、どうしてそんな手を使ったのか、その疑問をさん喬師匠はきちんと描いておりました。
噺が終わり、会場全体が大きく呼吸をしたように感じました。
(すみません。続きます)