What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

高野 和明 『13階段』 ほか

2011年11月09日 13時46分55秒 | 図書館で借りた本
○ 高野 和明(たかの かずあき) 『13階段』 (講談社)

 いまさらながら、高野 和明さんのデビュー作『13階段』を読みました。で、さらにいまさらなんですが、高野さんて、先日第二回山田風太郎賞を受賞した『ジェノサイド』の作家さんじゃん・・・どれだけうっかりなんだ、素で気がつきませんでした(凹)

『13階段』は、第47回江戸川乱歩賞受賞作なんですが、当時「審査員が全員一致で受賞を決定」した作品として、いまも語り草になっているのですよね~。読んでみると、なるほど主役の二人の設定で、すでに勝利!というお話しでした。2001年に発表された作品なので、今なら探せば「刑務所」「死刑囚」「仮釈放」「刑務官」といった要素を含んだ作品が多く見つかるかもしれませんが、やはり発表当時はセンセーショナルだったんでしょう。「死刑執行までに真実を見つける」というタイムリミットも良かったし、主人公二人が心の闇を抱えつつも、生きることを諦めない終わりも良かったです。

う~ん、作家さんが成長されていくのを感じられるって好いな~♪ペンタさんも面白かったって仰っていたし、これは覚悟を決めて『ジェノサイド』を借りて読むしかないか!(あの厚さと設定に、ちょっと躊躇してました)


○ 高城 高(こうじょう こう) 『函館水上警察』 (東京創元社)

 作者さんの生き様が、そもそも語り草になっているという(笑)『X橋附近』でデビューし、何作か作品を発表した後沈黙、そして近年この作品で復活という謎めいた作家さんです。

1935年のお生まれというから、実家の両親より二つお若いくらいで、ほぼ同じ時代を生きてこられた方。実父から題材となった「X橋」の当時の様子聞いていたので、『X端付近』を初めて読んだにもかかわらず、戦後の仙台駅裏の様子とかが臨場感があって凄かったです。

この作品もなるほど趣のあるお話で、登場する人物や出来事が実際はどうだったんだろう?と、ひとつひとつ調べたら更に面白さが広がりそうでした。なかでも、21歳の森 林太郎(森 鴎外)が、函館に突如おきたコレラ騒動に遭遇する『坂の上の対話』が、歴史の表舞台には出ないあろう、でもきっとこんなことがあったかも・・というお話しで、たまらんかったです。

なによりも、P218 ハリスト正教会の小松司祭(元仙台藩士)のセリフ
 
「私も仙台では、ロシヤの脅威を説いた林 子平(はやし しへい)の禁書をこっそり勉教したもんだす。」

とあったのが、私的に大満足でした♪

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