やったー!私と同じ事を思ってた人が居たよ~。と嬉しくなった一文をご紹介。
★「翻訳ミステリー大賞シンジケート / さよならを言うたびに(執筆 大久保 寛)」
( http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/ )より引用
>絵本をたくさん読んだおかげでおもしろいことも発見した。
例えば、図書館で借りた昔の絵本の古い翻訳は、なんとスパゲッティを「うどん」と訳していた! もう20年近く前のことなので、記憶は定かではないが、あれは〝おさるのジョージ〟の昔々の版だったか? スパゲッティを「うどん」と訳さないと通じなかった時代もあったのかと思うと、翻訳で物事を伝える難しさを改めて感じてしまう。
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そう!私の持っている絵本にも「うどん」と書いてあるんです。おさるのじょーじがお店に忍び込んで、おなべからてづかみで黄色い麺を食べているイラストを見て、子ども心に「スパゲッティだよなぁ」と思いつつ、「うどん」と書いてあるのを受け入れていたんですが、長じて子どもたちにこの絵本を読んでいる時に、やっぱり「うどん」じゃな~い
と改めて思いました。
まぁ、単純に、当時の子どもたちに「スパゲッティ」という言葉が浸透していないだろうという、翻訳者さんのお考えだったんだろうなとは思うんです。
*私の持っている「ひとまねこざる」(岩波書店)は、昭和48年発行の第19刷です。
大久保さんは「翻訳で物事を伝える難しさを改めて感じてしまう」と書かれていますが、読者としては、翻訳される方によって文章がまるでかわってしまうこと(バーネットの『秘密の花園』を、違う訳者さんによる翻訳で二冊持っているんですが、登場人物の言葉づかいが違うと、まるで印象が違うという事を知りました)、対象年齢対策(小学校の頃に読んだ、大人向けの海外SF作品を子ども向けにしたダイジェスト版は、後に元の小説を読んで、その違いにびっくりさせられました)に気づくことが、それまた読書の喜びではないかと思います。
>絵本が本当は怖くて危険なものであることも知った。
ピーターラビットは子ども向けの絵本として人気が高いが、あの第1話『ピーターラビットのおはなし』はほんとに危ない。なにしろ、お母さんが買い物に出かけるとき、ピーターラビットら子どもたちにわざわざ「森のみちであそんでおいで」と外に出ているようにうながすのである。しかも、お父さんが肉のパイにされてしまったので、「マクレガーさんのはたけにだけはいっちゃいけませんよ」と誘導するようなことをいう。
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「お父さんはパイになってしまった」は、TV番組の『トリビアの泉』でも紹介されて、当時大反響をよんだ(我が家で)事実ですね。私、自分が持っていた「ピーターラビットのお話」を読み返すまで、このエピソードがまったく頭から抜け落ちていました。子ども心には、お話しの終わりに、ピーターの姉妹たちが食べるイチゴとパンと牛乳の夕食の方が重要だったみたいです(苦笑)
ビアトリクス・ポターの絵本たちは、どれもやっぱりイギリス人の作者らしい苦味が、底辺にあるんですよね。クリスティのミステリーにも「駒鳥の歌」とか「10人のインディアン」とかの童謡が使われているますが、あんな感じの”いましめ”がお話しに込められていて、大人になって読むと、その意味に気づいてどっきりさせられるんです。
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