9月の第一土日に甲斐駒に行ってきた。パートナーは去年と同じ山○さん。去年は3回も予定しながら天気に恵まれず、1年越しでなんとか成功させる事が出来た。
前泊の道の駅「はくしゅう」から、朝、竹宇の駐車場へ移動。のんびり歩いても6時間は掛からない。あまり早く行っても飲み過ぎるだけなので、のんびり9時過ぎに出発する。それにしても今年は暑い。5時間半で七丈小屋のテン場に到着すると、すでに下のスペースは一杯。ギリギリ自分達のテントを張る事が出来た。テントを張って小屋に戻り、いつものようにビールで乾杯。ベンチで飲んでいると、どこかで見たことのある顔。柴笛の岩○さんだ。しばらくお話をする。後で分かったのだが、岩○さんはこの日、松茸をゲットしていたらしい。しかしその事には一切ふれなかった。話題にすると分け前が減ると思って警戒していたのだろう。
このテントの多さだと、きっと渋滞になるだろうとの予測で、朝1時半に起きて出発する事にする。しかし、結果的にAフランケ赤蜘蛛は我々1パーティーだけだった。上のテン場も一杯だったのに、あそこにいた人達は一体どこへ行ったのだろう。
2時半にテントを出て、真っ暗な中を取り付きへ向かう。3度目のアプローチとはいえ、真っ暗な中では踏み跡を追うのも一苦労だ。結局途中で踏み跡を見失ってしまう。イケイケの山○さんはさらに下降しようとするが、とにかく急斜面の草付きで危ない。ルート中よりもこういうところの事故の方が重大になりがち。ここはひとまず登り返すことにする。少し戻るとトラバース気味の踏み跡を発見。そちらに向かうと、やっとピンクテープが出てきた。少し下ると見慣れたガレ場に出た。なんと岩小屋を通らず、ずっと左側からガレ場まで来てしまったらしい。ここからはフィックスロープまかせに行けば取り付きまで到達する。
取り付き到着が4時半。当然1番乗りだ。夜が明けるまで時間があったので、しばらく座ってうとうとする。この時、うなじとおでこに20ヶ所以上ブヨの攻撃をくらい、帰宅してから首周りのリンパが腫れまくった。虫除けをテントに置いてきたのが悔やまれる。明るくなってから登攀準備。5時20分くらいにスタートか。
1ピッチ目(まっちー)
とにかく1ピン目が遠い。こんなとこで頑張って時間を掛けても仕方がないので、すぐにチョンボ棒をだしてテイクオフ。あとは掛け替えだが、最後がちょっと面倒だったので躊躇せず残置。セカンドに回収してもらう。この時、山○さんがアブミを落としてしまい、懸垂で回収。
2ピッチ目(山○さん)
このルート唯一といっても良いくらい、フリーで快適に登れるルート、と、どこかのサイトに書いてあった。ちっとも快適ではない。フットジャムの足がめちゃくちゃ痛いよ。ほんとに痛かった。フリーもちょっと厳しく、登り甲斐のあるピッチ。プロテクションとしてキャメの#1と#2を使ったような。
3ピッチ目(ま)
ハング下までの移動ピッチ特に印象は残っていない。
4ピッチ目(山)
ハング越えのピッチ。といっても左側から巻くので、実際にハング越えはない。ここも特に印象にない。掛け替えのピッチ。大テラスまで行かず、ハングを越えたところでピッチを切る。
5ピッチ目(ま)
うっかり直上してしまう。あまりにピンがないので、周りをよく見渡すと、右の方にスリングの巻かれた木を発見。ハーケンを1本打って、微妙なトラバースで移動。ここが大テラスだったのだが、後で気が付く。
6ピッチ目(山)
珍しく快適なピッチ。核心ピッチの手前まで。
7ピッチ目(ま)
チャレンジアルパインクライミングでは6ピッチ目となっている核心のピッチ。見上げると少し緊張する。気合いを入れて出発。ほとんどアブミの上段に立たなくてはいけないが、クラックをうまく使うことで、それほど気合いを入れなくとも立てる。しかし、これが何度も続くと、それなりに疲れるものだ。ピッチ中間部は支点が抜けていて、ここからカムの出番だ。キャメロットの#0.3、#0.4、#0.5、BD・C3の#2、計4ヶ所くらいカムに乗ったと思う。休憩用にリンクカム#1も使用。ちょっと重めだが、これを1個持っていると、いざという時に心強い。ピッチ上部は、ピンが豊富に打たれて、やっと息を抜ける。クラックと別れ、カンテ方向に進み、カンテ手前でハンギングビレイ。
8ピッチ目(山)
正直7ピッチ目で疲れた。山○さんも疲れたようで、お互いリードを譲り合うが、やはりツルベなので交代で行った方がスムーズだと思い、山○さんに行ってもらう。このピッチもアブミの上段に立たなくてはいけない。しかし傾斜も寝てくるので、うまくバランスを取れば上段に立つのにそれほど苦労はしない。しかし大したピッチではないと思ってギアをあまり渡さなかったせいで、ワンポイント苦労したようだ。
9ピッチ目(ま)
もう実質的に終わったと思っていたら、まだ数手人工あり。テラスに上がる一歩が微妙。木でビレイ。システムをセットしている間に雨がポツリと来始める。山○さんが登り出すと、一気に豪雨に。下着までびしょ濡れになってしまった。実質的なクライミングはここで終了。
10ピッチ目(山)
草付き、ルンゼ、木登り。
11ピッチ目(ま)
草付きと歩きで岩小屋までロープを引っ張っていって終了。この頃には雨もやんでいた。
終了が16時と、ちょっと時間が掛かりすぎたが、なんとか無事成功させる事が出来た。テントを撤収して18時に小屋から下山開始。この下山が一番核心だったかも。とにかく黒戸尾根の長さにへろへろ。駐車場着が22時。須玉ICの近くのガストで夕食を摂って、帰宅が2時半と、ハードな1日だった。
アブミの上段に乗る場面が多く、身長の低い人間には辛いルートだが、一ノ倉の衝立のような不安感はなく、高度感も少ない。そういう意味で怖さはないが、やはりアプローチの長さが辛く、2日で行くには体力勝負のルートだなぁと思った。とはいえ、ずっと行きたかったルートだったので、無事完登することが出来て本当に良かった。黒戸尾根3回目だが、まだ甲斐駒の頂上に立ってない。次は奥壁から山頂かな。でもしばらく黒戸尾根はいいや・・・