雲見崎 直上裏参道 そのⅢ

2007-06-22 21:29:34 | クライミング

大岩から壁に移り登り始める。岩と壁のすきまがちょっと怖い。左に2・3mトラバースして右上するクラックに沿って登っていく。

○崎さん、岩をゴンゴン叩いて浮き石かどうかテストしながらの登り。クラックの奥の方にカムを決め、慎重に進む。支点のセットや浮き石のテスティングで結構時間がかかる。クラックが終わり洞穴状ハング下に向かってのトラバース。ここにこのルート唯一の残置ハーケンがある。が、もちろん信用できない。荷重を分散するために、ゆっくりゆっくりと体重移動。なんとか小テラスに体を這い上げた。下から見ていてこっちが緊張する。

2番手には自分が行く。何度も言うが、岩がいつ剥げてもおかしくない状態で怖い。ごまかしごまかし登っていく。ビレイ点に到着した時は結構息が切れていた。

2ピッチ目。さあ自分のリードの番だ。洞穴状ハングの左、ガバガバのフェースを登る。その先はちょっと悩んだ。「右上するクラックにつなげる」と解説には書いてあったが、よく分からない。ここは自分でルートファインディングするしかない。カムやスリングでランニングを取りながら、何度か行ったり来たりする。ちょっと怖かったが、思い切って直上する事にした。岩はリズムに乗ると気持ちよく登れる。不安定な岩でもところどころ息をとめて集中し、怖さもなくなりクライマーズハイのように快調に高度を上げていった。しかしそのまま行かせてくれるほど壁は甘くはないのだ。

もうすでに10mはランナウトしている。だんだんと壁も立ってきた。「やばー!そろそろ支点を取らなくては・・・」。クライマーズハイはここで終了。いつもの怖がりに逆戻り。このまま気合いで進むか悩んだが、ちょうどいいリスを発見する。しかし左手は離せない。「う~ん・・・」。仕方がないのでハーケンを口にくわえてリスにあてがい、ハンマーでコンコンッとやり始めた。一度ハーケンを落としそうになりドキッ!としたが、なんとか打ち込み完了。支点が取れるとホッとして、うそのように怖さは消える。

「岳人」の解説でいう3ピッチ目に進入したようで結構ロープを伸ばした。根の周りを今にも崩れそうな岩で囲まれた灌木でピッチを切る。当然それ以外にカムを3カ所設置。このルートで取った支点は、スリング(ピナクル)、スリング(風化で出来た岩穴)、キャメ(0.4くらい?)、キャメ(1.0くらい?)、ハーケン、ハーケンだったような・・・もちろんアルツなのであてにはならない。

フォローは○藤さん○崎さんの順番。ビレイ点が狭く足がつりそうになるが、高度があがるにつれすばらしい景色が広がり気持ちがいい。こうして景色を眺めていられるのもATCガイドでビレイが楽に出来るおかげだ。しばらくすると下から岩の砕ける大きな音が響く。ドッカーン!バキーン!ガラガラ・・パラパラ・・・。「○崎さーん、だいじょうーぶですかぁーー!!」。「うぅ~大丈夫ぅ~」。どうやらスタンスにしていた大きな岩がボロッと剥げたらしい。クラックにしっかりと手が入っていたから良かったが、フォローとはいえ危ない危ない。とにかく信じられないほど大きな岩が簡単に剥がれるのだ。

次のピッチもまた○崎さんにバトンタッチ。そろそろ快適に登れるような気がする。が、ただの気のせいだった・・・



雲見崎 直上裏参道 そのⅡ

2007-06-20 10:03:33 | クライミング

車を停めた場所から参道入り口までのんびりと歩いた。とても静かなところで、歩いていて気持ちがいい。おいしい魚料理を食べながら温泉に浸かり、磯で釣りをして過ごしたいなぁと思った。

 ・スタート地点の鳥居

参道入り口から石の階段が始まる。気合いを入れて黙々と登っていくと、「あれ?」。あっという間に中間の神社にたどりついてしまった。10分位歩いただろうか。「岳人」によると、たしか「途中の神社の10m手前に左に入る踏跡がある」と書いてあった。過ぎてしまったようだ。10mほど下ってみると確かに踏跡らしきもの発見。草が生い茂る季節でもあるため、よけいに分かりづらかったのだろう。

この踏跡は雲見町のテレビアンテナへ向かう踏跡と書いてあったが、目の前に現れたのは集合住宅のテレビアンテナのようなもの。その鉄パイプの間を縫うように過ぎて、さらに藪を進む。トゲのある木やら、漆やら、笹があって、ここは長袖長ズボンと手袋が必要。半袖だったのであちこち傷だらけになってしまった。

10分程でコルに出る。目的の取り付きはずっと下の方。かなりの急斜面だ。気持ち左の方へ下っていく。滑落しないよう笹をつかみながら慎重に進んだ。一部トラロープも張ってあったが、とても信用できない。事実下の方では支点にしてある木が折れていた。

・磯に降りる急斜面  

草付きが終わると岩場の急斜面。ホールド、スタンスは豊富にあるが、砂岩のような岩は力を入れると簡単に欠けてしまう。ホールドはバランスを取るためだけにして、あまり力を掛けないようにした。

 ・ゴロタまでのクライムダウン

分かっていれば30分くらいのアプローチだと思うが、結構緊張させられた。磯にたどり着いた時はホッとしたが、目の前の壁を見てすぐに緊張感が戻る。支点が豊富な人気ルートと違い、ここは残置がほとんどないらしい。登攀の準備を始めたが、カムやナッツ、ハーケンも多め。スリングも普段の2倍以上。全部装着すると結構ずっしりとくる。

大岩に上がってアンザイレン。企画者である○崎さんが1ピッチ目をリードすることにした。さあ参拝クライミングのスタートだ。



雲見崎 直上裏参道 そのⅠ

2007-06-18 22:59:55 | クライミング

西伊豆にある雲見崎に行ってきた。「日本の登山家が愛したルート50」にも載っていて、「岳人」の6月号にも掲載された「直上裏参道」を登るためだ。

三つ峠で遊んだ後、車で雲見へ向かった。結構時間が掛かって現地に到着したのが夜の24時近く。横浜から21時に出発した、今回一緒に登るメンバーと1時間しか違わない。温泉にでも入ってのんびりしたかったが、その時間がなかった。

参道入り口手前400mくらいのカーブした道の海側に、車7・8台はおける駐車スペースがある。ここに車を停めた。今回のメンバーは初めてご一緒させて頂く○崎さんと、源治郎で一緒だった○藤さん。寝る前に地べたに座って寝酒をあおりながら、クライミング談義に花を咲かせた。話題は尽きないが酒が尽きたので、2時頃シュラフに入る。ワイルドなルートらしいので緊張していたが、寝不足と遊び疲れと酔いがあって、結構ぐっすり眠れた。

6時起床。いよいよ参拝開始だ。ドキドキ・・・




2007-06-11 21:42:41 | デジカメ
駐車場から競技場に入る時に上がる階段。その途中にある隙間から外を撮った。

アンダーにし過ぎたので、フォトショで若干修正。そのため色が悪い。しかもちょっとブレてる。手ぶれ補正機能があるからとラフに構えると、やっぱり簡単にぶれる。

こういう構図も28mmならではのもの。下手なりに撮影してて楽しいカメラなのだ。よけいな機能が少ない分、気楽に撮れて楽しい。長時間露出が1分以上あれば星空とか撮れてもっと楽しいのだけれど、この安さであまり欲をかいてはいけない。



Caplio R6

2007-06-10 12:25:14 | デジカメ
先月Caplio R6を購入。これでリコーのカメラは3台目。1台目のCaplio R1vはバットレス四尾根で墜落死。その後Caplio GX8が山行の相棒であった。

たしかにGX8はいいカメラなのだが、結構かさばる。クライミングに向いた、コンパクトなデジカメを買おうと思って色々調べていたが、結局またリコーになった。

最近のデジカメは広角28mm(35mmフィルム換算)相当のレンズを搭載したものが増えてきた。しかし1日の長があるリコーにはやっぱりかなわない。なんと28mmからの7倍!ズーム搭載で、しかも薄型。明るさはF3.3~F5.2。このスペックとコンパクトさでは充分な明るさだと思う。

通常背景をぼかした写真を撮るには、一眼レフなどに使われている23×15くらいの大きさのCCDで絞りを開放でとらないと難しい。しかし望遠を使う事で似たような撮影は可能だ。この花の写真もそう。もちろん一眼レフのようにはいかないが、他の薄型コンパクトデジカメでは、この写真は撮れない。それから1㎝マクロ。これも他のメーカーのものではできない。このスペックを2年近く前のR3から実現していたのだから驚く。

珍しくのんびりした休日だったので、日産スタジアムのプールで泳いだあと、カメラを持って遊んでみた。



錫杖岳前衛フェース左方カンテ-②

2007-06-08 12:22:12 | クライミング
気持ちの中では一度終了してしまったため、すでに気が抜けていたのだろう。簡単でつまらないはずのピッチがえらく難しい(汗

次のビレイ点まで結構怖かった。クライミングは本当にメンタルな面が影響するなぁとつくづく思う。最後のピッチはパートナーに行ってもらった。そしてお薦めの場所に到着。たしかにとても気持ちがいい。最初の時に来るべきだった。そうしたらこのルートのイメージも違っていただろうなぁと思う。

さぁ、予定よりだいぶ遅れてしまったので急いで懸垂しなくては。「注文の多い料理店」側に降りた方が早いと聞いていたが、下には雪渓が見えていたため同ルートを下降することにする。7ピッチ目の終了点はきれいなペツルのアンカーが打たれていたが、その少し離れたところにボッキリ折れた、懸垂支点に使われていた灌木(写真)。何も事故が起きていなければいいが、見ているだけで怖い。見た目が立派だとか、スリングがたくさん巻かれているからとかで、安心してはいけないと改めて感じさせられた。

錫杖の前衛壁は携帯電話が使える。取り付きに到着してから3ルンゼのパーティーに電話してみたら、向こうもまだ取り付きに戻ったばかりとの事。ルートが濡れていたため、相当苦労したようだ。やっぱり3ルンゼは冬がいいのかな。

夜はみどり湖PAにテントを張って、コシアブラパーティー。前日ほとんど睡眠を取っていないので、すぐにダウンしてしまったが、楽しい山行だった。来年はどうなるやら・・・



錫杖岳前衛フェース左方カンテ-①

2007-06-04 15:08:47 | クライミング
左方カンテに来るのは2度目である。前回は肩を痛めていたため1ピッチもリードしなかった。やはりリードをしないと、そのルートのレベルが把握出来ない。それほどこだわるルートではなかったが、肩も治ったので再挑戦することにした。

だいたいこの時期に錫杖に来る最大の理由は’コシアブラ’なのだ。同行者が’コシアブラ’中毒で、うなされるくらいこの時期を楽しみにしているためだ。クライミングはついでのようなもの。まるでそんな感じ。もちろん自分は岩が目的だが、たしかにあれは旨い。ゴマ油で炒めて砂糖醤油で味付けするのだが、ご飯にのせても酒の肴にしてもいける。この時期の錫杖は恒例になるかもしれない。

去年はところどころ雪渓が残っていたためアプローチに少々苦労したが、今年は全くなく、錫杖沢から詰めて取り付きまで行けた。先行パーティーが1組。この日の左方カンテは自分達を含め2パーティーのみだ。これならあおられる事もなくのんびり行ける。

ガレた1ピッチ目はパートナーにリードしてもらい、2ピッチ目から先を全てリードする。自分にとって今回の最大の目的は核心部をフリーで抜けること。3ピッチ目と7ピッチ目だ。しかしどうも気合いが入らない。今年はフリーの練習が少なかったため、自信がないからかもしれない。ちょっと怖いのだ。3ピッチ目はあまり粘らずにあっさりとA0してしまった。あ~ぁ。4ピッチ目でチムニーをグリグリやって、5ピッチ目のフェースでワシワシやったころ、ようやく気合いが入ってきた。さて、いよいよ7ピッチ目の核心だ。

やはり悩む。う~ん。2・3度テンションを掛けてから、もう一度ゆっくり考えた。なんとなく分かった気がして、気合い一発、甘いスタンスから上体を伸ばし、上のガバに手を伸ばす。掛かった!やったー!やはり登れると気持ちがいい。このピッチは終了点まで結構難しいが、それだけに登りがいのあるピッチだ。次のピッチはたいして面白くないのでここで終了とし、ちょっと広めのビレイポイントだったので昼食にする事にした。

上から先行パーティーが降りてきた。少し話をすると、次のピッチのその先に、すごく景色のよい広場があるというのだ。どうやら去年来た時は最後まで登り切ってなかったらしい。「ここまで来たのだから是非行った方がいいですよ」と言われ、終了モードを切り替えてそこまで行く事にした。