ジャンダルム飛騨尾根

2010-05-06 00:43:33 | クライミング
丸いジャンの頭から右へ段々と落ちていくのが飛騨尾根

GWは雪童の岡○さんと川○さんと3人で、ジャンダルム飛騨尾根に行ってきた。谷川のダイレクトカンテ以来、久しぶりにすっきりと完登出来て大満足の山行だった。

1日の夜、道の駅「奥飛騨温泉郷上宝」にて仮眠。2日朝に新穂高に移動して、7時前後だったかなぁ・・・出発。穂高平避難小屋までは雪はなし。小屋前の広場で休憩をしようとしたら、なんと兵庫に帰った門○さんがいた。年末の遭難者の遺体捜索に来ているとの事。きっちりと発見される事をお祈りしています。本当にお疲れ様です。

白出沢はデブリだらけの雪で埋め尽くされ、そのまま歩いて行く事が出来た。天狗沢の出合に10:00前に到着。ここで一本。最高の天気で暑いくらいだ。出合から200m程天狗沢に入り、左側の尾根の適当なルンゼから取り付く。ここはよくF尾根って言われているみたいだけど、D尾根でしょ?違う?かなりの急登でふくらはぎが張ってくる。稜線上に出るまで1時間も掛かった。ふぅ。

尾根上に出てからは樹林帯の中のヤセ尾根。樹林に囲まれているために高度感はないが、結構やせている。しばらくすると2300mの幕営適地と言われているコルに到着。やせているので大きなテントは張れないだろう。まだ12時前なので、一本取ってさらに標高を上げる。2400mを過ぎたあたりで若干傾斜もゆるみ、視界も広がってきた。



テントを張れるような平地はなく、2520mあたりの斜面を1時間近く掛けて切り、テン場をこしらえる。13時前には到着していたので、のんびりと土木作業を楽しんだ。今回は軽量化のために酒すら置いて来たので、食事が済むとすることもなく、翌日に備えて明るいうちからシュラフに潜り込んだ。

翌日は4時半出発。GPSのセットや写真を撮っているうちに、岡○さん川○さんはどんどん離れていきあせって追いかける。C尾根へのトラバースはなるべく上まで上がってから移動。下から取り付いて岩場を登るより、雪の締まったルンゼを登った方が早いとの岡○さんの判断だろう。



3人とも三ツ峠でⅣ+のアイゼン登攀は落ち着いてこなしているので、岩場に入ってからもしばらくはノーザイルで進む。ちょっと先が見えにくくなったあたりから、ロープを結んだ。



1ピッチ目(岡○さん)
スタートがちょっと体が外に出るので緊張するが、落ち着いて見ればホールドスタンス共盛りだくさん。とはいえ本チャンなので慎重にいく。

2ピッチ目(まっち)
正面のフェイスも行けそうだが、左に回り込んだ方にトレースがありそちらへ回る。あー下から見えた凹角だ!凹角に入る手前がちょっと悪く感じたのでハーケンを打とうとしたら、丁度いいのを落としてしまった。あちゃー。ばっちりではないけれど、なんとか別のサイズで決めて、凹角へ突入。しっかりと凍っていて、傾斜の緩いアイスクライミング。ここが一番楽しかった。



3ピッチ目(岡)
このあたりから似たような岩場ばかりで、あまり記憶がない。大体岩場と雪壁のミックスだ。

4ピッチ目(岡)
一旦クライムダウン。ここはT2か?コルにおりて岡○さんがアックスでビレイ。

5ピッチ目(ま)
手前から見ると結構立っているように見えた岩場も、取り付くと快適。どんどん高度を上げていく。

6ピッチ目(岡)
岩場の続き。やはり似たような岩場と雪壁のミックス。

7ピッチ目(ま)
ロープ不要的斜面だが、一応ビレイをしてもらう。もうちょっとでジャンの頭なのに(この時は気付いていない)、ロープが足らずにもう一度後続をビレイ。

二人にはそのままビレイポイントを通過して先に進んでもらう。目の前の頂きへ進んだが、その先へ降りられないという事で、クライムダウンして縦走路へ向かった。そのまま自分も二人の元へと、縦走路へ向かい、広いコルでゆっくりと一本取った。そして後で気が付いたのだが、結局自分はジャンの頭を踏むことなく、下山していくのだった(涙)。

ジャンの直下は急斜面。緊張のトラバースで進んでいく。



その先も数カ所緊張するトラバースやクライムダウンが続く。ロバの耳は飛騨側から巻いて、12時に奥穂到着。写真を何枚か撮って下ろうとすると、ここから涸沢へ下ろうとするスキーヤー2名とボーダー1名に遭遇。斜面を下ってゆくのをじっくりを観戦させて頂きました。



穂高岳山荘への下りが結構急。しかし雪面はしっかり締まっているので、バイルとアイゼンの爪を効かせて、ザクザクとクライムダウン。安全地帯に12:45到着。ここで大休止を取って白出沢から下山。風もなくなり暑くてマイッタ。白出大滝の巻き道が雪がくさって悪かったが、15:20過ぎに白出沢出合に到着。2日の夕方に白出沢下部で雪崩があったようで、来る時と景色が変わっていた。

これだけ快適な山行も滅多にないだろうというくらい、気持ちが良かった。誘って頂いた岡○さん、同行の川○さん、本当にありがとうございました。って、二人共このブログ知らないんだな。




鹿島槍北壁に向けて -備忘録2-

2010-05-05 18:12:15 | クライミング
暗い内にテントを出た。第1クーロアールに着く頃にはすっかり夜が明ける。せっかくロープを出したので、そのまま第1クーロアールもロープを引っ張る。稜線上に出る数手がちょっと悪かった。帰りは懸垂になるだろう。

第1クーロアール
第1クーロアール

新雪の下はあちこち雪が切れているので、慎重に歩く。しばらくすると長ーい第2クーロアールが見えてきた。


第2クーロアール

これが結構長い。登っても登ってもまだ先がある。傾斜もゆるみやっとの思いで天狗の鼻についた。そして目の前に鹿島槍北壁が。『かっこいい・・・・!』。なんてかっこいいのだろう。八本歯から見る北岳バットレスと同じようなアングルだが、受ける印象がまったく違う。圧倒された。


中央が正面ルンゼ

結局あちこちに隠れたシュルンドのために4・5回はロープを出し、上部岩壁まで行かずに下山することにしたのだが、この景色を見ることが出来ただけでも大きな収穫だった。来シーズンは必ず成功させたい。出直して来るから待ってろよ、鹿島槍北壁!




鹿島槍北壁に向けて -備忘録1-

2010-05-04 22:36:41 | クライミング
なかなか忙しくてPCに張り付けなかったが、GWの最後の今日、久しぶりにのんびり過ごす事が出来たので記事更新。とにかく忘れっぽい今日この頃。来年また「一目惚れしました・・・」なんて言わないよう、記憶を記しておかないと。

パートナーは1月のアイゼントレ以来の山○さん。もともとはこの山行、自分としてはそれほど思い入れはなく、山○さんの希望で決めたもの。しかし色々と調べていくうちに段々とはまりだす。雪崩の多いこのルート。1週間前からの天気はまさに雪崩にうってつけのサイクル。いやが上にも緊張がたかまる。

22時に八王子で待ち合わせ、大谷原へ向けて中央道を飛ばす。が、飛ばせたのは勝沼あたりまで。ちらついていた雪が段々と強くなり、吹雪になる。なんで4月の第三に!?諏訪南手前あたりからチェーン規制渋滞が始まる。


チェーン規制渋滞中

関門を過ぎてからさらに降りが激しくなり猛吹雪。豊科ICを出る頃にはだいぶ収まっていたが、あたり一面はまるで真冬のような雪景色が広がっている。予定よりだいぶ遅くなってしまったので、大谷原まで行くのは諦め道の駅「安曇野松川」に車を駐め仮眠する事にした。翌朝ものんびりと明るくなってから出発する。大谷原に車を止め、歩き出したのが8時頃だろうか。ようするに天狗尾根に対してあまり意識していなかったのだ。まあ遅くとも夕方には天狗の鼻に着くだろうと高をくくっていた。

アラ沢出合に着くまでに4・5回は徒渉しただろうか。最後の堰堤?は右岸から入り、いったん橋を渡る。渡ったら下に降りて、堰堤上をジャブジャブと歩き、また右岸にもどり雪渓に乗って通過。水量が少ないから出来たのかな?アラ沢では微妙なスノーブリッジを渡って徒渉なしで通過。出合から300m程歩き、若干傾斜の落ちた左岸の尾根に取り付く。傾斜が落ちたと言っても、かなりの急登。1時間は登っただろうか、やっと傾斜がゆるみ尾根上に出る。黙々と歩いていた時には体調万全と思っていたのに、また傾斜がきつくなりだしたあたりから、珍しく右足太腿が攣りそうになり始めた。それほど重荷でもないはずなのに、なんでだろう。山○さんからちょっと遅れ始める。本気で攣らないようにだましだまし歩き、ようやく第1クーロアール手前に着いた時には15時近くになっていた。



季節外れの大雪で蓋をされたシュルンドが、ちょっとだけ顔をのぞかせている。こんなところでロシアンルーレットをしても仕方がないので、先へ進むにはロープを出したい。しかし時間的にあまり余裕もなくなってきている。幕営するなら少し標高を下げないと適地がないため、降りるならもう引き返さなくてはいけない。しかし戻れば正面ルンゼには取り付けないだろう。悩んだ末に結局戻ることにした。1800m強あたりで幕を張る。翌日は偵察も兼ねて、せめて天狗尾根だけでも登る事にした。




大同心・雲稜ルート またしても・・・

2010-03-23 17:36:06 | クライミング
もともと谷川の予定だったが、入山禁止期間に入ってしまったために中止となり、去年敗退している大同心に変更した。せっかくの連休なので継続にしようと思ったが、21日に大きな気圧の谷が通過するため、22日に雲稜ルート1本に絞った。

いつも心配なヘアピンカーブの先の坂道。凍っているどころか、雪が全くない。美濃戸に着くまで、林道にはほとんど雪がなかった。3月としては珍しい。今回のパートナーは足の怪我から復帰した岡○さん。まだ完全復帰ではないので、ストックのお世話になりながら慎重に歩くが、1時間半と意外に早く鉱泉に到着した。トイレを済ませてちょっと休憩していると、結構冷えてくる。鉱泉の温度計を見たら-10度。最近の暖かさに慣れてきた体には、かなり寒く感じた。

大同心ルンゼから大同心稜へ上がるところは、前日に降ったと思われる雪でほとんどトレースは消えていたが、その下が締まっているので歩きやすい。大同心の取り付き付近までくるとさらに気温は低く、ザックに付いてる温度計を見ると-14度。薄い手袋で靴の紐を締め直していると、手の感覚がなくなってきた。

準備をして取付に移動。ルートを探しながら壁を眺めていると、去年感じたような威圧感はなく、「あら、行けそう」と思えたのは練習の成果だろう。ところがビレイポイントに着いて愕然とした。去年と同様ホールドには全て氷が張り付いている。



ロープを結んだものの一時戦意喪失。奇数ピッチをやろうと思っていたが、先に岡○さんに行ってもらう。左から回ったり、カッティングしてホールドを作ってみたり、色々と試みるが先に進めない。1時間以上悪戦苦闘していると、稜線から二人組がじーっとこちらを見ている。このさい先に行ってもらって、ヒントをもらおうと声を掛けた。「登りますかぁー!?」。すると「いや、南陵に行きまーす!」との返事。残念。



交代して自分も取り付いてみるが、やはり厳しい。10mほど先にスリングがあるらしいが、ハング帯には無数のつららが垂れていて、ピンが見つけられない。全てカッティングしながら進むには、2日くらい有給をもらわないと無理と思われる。ベルグラにコツコツッと穴をあけ、バイルを引っかけながら進むしかなさそうだ。しかし今回はジャンピングを持ってこなかったので、もしピンを見つけられなかった時の事を考えると、先に進む勇気が出ない。こんな微妙なクライミングで10mもランナウトするなんて・・・、自分の技量では到底無理な話だ。1度でも登っていてルートの様子が分かっていたらまた違ったかもしれないが、どうにも太刀打ち出来ず、またしても敗退決定。くやしい・・・・・・時間が経つにつれだんだんと悔しさが増してくる。全く解決策を見いだせなかった。本当に情けない。また出直しだ。

敗退を決めて稜線に戻ると、先ほどの二人組も戻ってきた。あのガバガバホールドの南陵もツルツルしてたらしい。お互いに「あぁー、雪山ハイクは楽しいなぁ♪」と、投げやりな言葉を発しながら、急な大同心稜を下っていった。




懲りずに三ツ峠アイゼントレ

2010-03-18 00:52:57 | クライミング
日曜に会の安○さんと三ツ峠にアイゼントレに行ってきた。前回と違ってポカポカの春陽気。暑いくらいで、オーバーヤッケを脱いで登った。

マルチをやりたかったが、安○さんがアイゼンを忘れたので(こらーっ!)、交代しながら練習した。アイゼン登攀にもだいぶ慣れてきて、Ⅴ級をアイゼン&手袋で登るという目標にも、だいぶ近づいてきた(2テンでA0なし)。

最後に1本アブミのルート。雪解け水がしたたるルートでもがき、上半身びしょびしょになりながら登る。久しぶりだと要領が悪い。週末に向けて練習が出来て良かった。この1年あまり、イベントの度に天気に泣かされている。21日に気圧の谷が通過するが、通過直後の晴れ間に期待したい。はたして・・・





またもや三ツ峠アイゼントレ

2010-02-08 01:48:07 | クライミング
3週間振りに三ツ峠。今回は会の阿○さんと。またぁ~!?という感じだが、まだまだ納得がいかないのだ。

この日は5日前に降った大雪で、かなりの積雪があった。雪を払ったりして登ったので、ちょっと冬壁気分。それはそれで楽しかった。アイゼントレではあるが、要するに手袋登攀の練習なのだと思う。手袋の選択にいつも悩む。結局は厚手のものでは登れないのだ。薄手の手袋で手の感覚をなくしたままどこまで登れるか、それが冬壁登りなのだと、今頃になって分かってきた。



フリーが上手になりたい気持ちもあるが、今はアイゼン登攀のレベルを上げたい気持ちの方が強い。その為には三ツ峠は最良の練習場所だ。とはいえ、なかなか一緒に行ってくれる人がいなくて残念。

今回はフリース+ヘリテイジの薄手のオーバー手。最初、手の感覚がなくなったが、その後登り続けると、また感覚が戻って来た。気温のせいか、慣れなのか良く分からないが、これが自分のパターンになるような気がしてきた。今シーズン、もう一回くらい練習したいけど、もう無理かな・・・




三ツ峠アイゼントレ

2010-01-18 23:44:17 | クライミング
寒波が通過した後の三ツ峠に、アイゼントレをしに行ってきた。雪が多く、アイゼントレをするのにはなかなかいい雰囲気。といっても壁にはほとんど着雪はないけれど。

メンバーは会の末○さん、平○さんと、赤蜘蛛以来の山○さん。自然と二人ずつのパーティーに分かれ、ほとんど休みも取らずに16:00近くまで練習した。

ブラックダイヤモンドのソロイストは、そのままだと厚すぎてクライミングには向かない。もちろんその分保温性は抜群で、南岳西尾根での長いラッセルでも全く冷たくならなかった。しかしクライミングでは保温性を犠牲にしても、登攀能力を優先しなくてはいけない。インナーをはずして薄手のフリースに替えてみたら、ウール厚手+ヘリテイジのオーバー手のセットより登りやすかった。しかし、これも本番で使ってみないとなんも言えない。相変わらず手袋に関して、自分のスタイルが決まっていないという、情けない状況は変わらず。


夜明け前の富士山

この日はとてもいい天気で、朝から下山まで綺麗な景色をたくさん眺める事が出来た。富士山がとてもきれいで、夏に見るよりも、何故か大きく感じた。




今年の抱負

2010-01-06 23:37:28 | クライミング
肩を痛めてからどちらかというとフリーに対して消極的だったが、家の近くにジムが出来て、9月くらいから週一くらいのペースで練習出来るようになった。出来れば周二くらい行ければいいのだが、なかなか難しい。それでもちゃんと成果は出るものだ。

1月3日は湯河原幕岩で登り初め。桃源郷に行くと4つくらいの労山の会の人達で賑わっている。半分は知ってる顔。この日の目的は「ダイヤモンドヒップ(11a)」を落とす事。最初のトライではみんなが「がんば、がんばっ!」と声を掛けてくれる中、核心で耐えきれずフォール。結局落とせなかったが、じっくり休んで夕方に再チャレンジ。次はすんなりRP。久しぶりの外岩11代に、非常に気分が良かった。

アルパインをやるにも、出来れば11代くらいはコンスタントに登れるようにはなっておきたい。そのためにも週一のジムは頑張って続けていかなくては。よし、これを今年の抱負としよう。