モミソ沢 転落事故②

2007-01-30 23:32:08 | クライミング
最初は「モミソ沢 滑落事故①」というタイトルにしたが、あれは墜落に近かったので「・・・転落・・」に変更した。それほど勢いよく落ちてきたのだ。


朝8時過ぎに入渓。なんと沢でのアイゼントレは今回が初めて。どんな感じなのか想像がつかず、ちょっと緊張気味。スタートしてしばらくした頃、アイゼンの火花を飛ばしながらみごとにずっこけ、笑いを誘ったりしながら先へと進んだ。

30分も歩いていると慣れてきて、とても楽しい。沢でのアイゼントレがこんなに楽しいものだとは思わなかった。水量の少ないモミソ沢。普通に遡行したら面白くもなんともない所だが、アイゼンを履くと簡単な滝がドキドキもののクライミングへと変化する。去年の秋くらいからずっと深残続きで疲れがたまっていた。この山行は正直あまり乗り気ではなかったが、トレーニングはしておかなければ・・・と重い腰を上げて、てれてれと参加したのだ。それがこんなにわくわくするとは思わなかった。

大棚は2パーティーに分かれマルチ形式で登攀。落ち口の最後の1手がなかなか踏み出せない。アイゼンだもの、あっさりA0。とても心地よい緊張感で楽しい沢でのアイゼントレの核心部を終える。後はひたすら尾根まで詰め上げた。

帰路はモミソ沢の右岸の尾根を下る事にする。ミニバリエーション的な下山。コンパスの指す方向が鹿柵の中だったので、目の前のはしごを登り柵の中を歩く。柔らかい土の上に落ち葉の絨毯が厚く敷かれ、急斜面でありながら気持ちよく下っていける。あまりの気持ちよさに途中コンパスを見るのを忘れ、夢中で下っていった。気が付くと柵の末端まで来てしまい、コンパスを確認すると20度近くずれた方向に進んでいた。あららぁ~。鉄条網にびびりながらなんとか柵を乗り越え、10分ほどきつい藪漕ぎをすると狙っていた尾根に戻れた。

苦楽を共にしてきたメンバーだけに、いろんな思い出話をしては笑いが起きる。乗り気じゃなかったのが嘘のように、本当に楽しい山行だった。ここまでは・・・やがて下の方に本谷が見えてきた。懸垂岩でトレーニングするパーティーも見える。あと数10m下れば山行終了というところだったのに・・・


(写真は去年の広沢寺でのもの)

モミソ沢 転落事故①

2007-01-29 23:32:34 | クライミング
モミソ沢でのアイゼントレの下山中、ザイルパートナーが5mほど転落して右手首を骨折した。記憶が鮮明なうちに記録にとどめておきたい。今日は忙しいので明日から記録していこう。

写真は診察直後のもの。この時はまだ骨折の診断は出ていなく、右手にギプスはしていない。とにかく治る怪我で本当に良かった・・・



フリークライミング

2007-01-17 22:01:19 | クライミング

先日の日曜は新年会と称して湯河原の幕岩で遊んできた。泊まりはしとど庵

今まで何回も幕岩に来ていたが、今回初めて利用した。駐車場のすぐ上でとても便利。素泊まりで利用したが食事もまぁまぁらしく、今度は食事付きで泊まってみたい。

今回は初心者が数名いたので、最初はテントウムシロックの簡単な場所で練習した。その後、会長達は初心者を連れて悟空スラブという簡単なマルチへ行くというので、自分は若手と二人で別の場所へ。10cレベルが並ぶ上部エリアに行ったが、全く登れなかった。どうもテンションがあがらない。別の場所で10aにも取り付いたが、ここも×。結構落ち込む。

岩登りというのはメンタル面がとても影響する。岩を前にしたら自分の気持ちをコントロール出来なくてはいけない。それが出来ない事を情けなく思う
とともに、今回はいつもと違う場所を登る事の大事さも痛感させられた。ついついいつもの場所で遊びたくなってしまうが、それでは当然オンサイト能力は養われない。フリーを練習する一番の目的が本チャンのスピードを上げるためという事を考えると、オンサイト能力はもっとも重要な要素だ。ほとんどの本チャンが初見なのだから。

この日一緒に登った彼はまだ23歳。とてもおとなしい男だが、もくもくと岩に張り付き執念深くルートを落としていく。俺が「フリーが下手だからアルパイン専門になるかなぁ~」とうそぶいたら、「でもフリーがうまくないと本チャンでスピードアップが出来ませんから・・・」と小さな声でぼそっとつぶやいた。この男、結構本気だな、と感じた。いつか本チャンでザイルと組むと思うが、どんな登攀になるかちょっと楽しみ。置いていかれないように、体力と共にもっともっとフリーの力を付けていかなければ・・・



小同心クラック -2-

2007-01-10 22:37:36 | クライミング
手配漏れだの特急品だの、もー新年早々仕事で目が回るよ。あ、いけない。仕事の愚痴を言ってしまった。ここはクライミング日記なのだ。よけいな事はなるべく記録しないようにしなければ・・・

という事で大同心基部で渋滞待ちになってしまった。聞いてみると小同心へ向かうパーティーではなく、大同心ルンゼ上部から稜線へ向かう人達らしい。確認できただけで8人ほど。スタカットなのでえらい時間が掛かっている。まいったなぁ。

基部を回り込み、小同心へのトラバース地点まで来た時は12時をはるかに過ぎていた。低温注意報は出ていたものの天気も良く、トラバース中の雪の状態も心配だ。しかも壁にはびっしりと雪が付着している(写真右側が小同心。中央が横岳。空に浮かぶ白い物体はUFO)。2度も敗退するのは悔しくて仕方なかったが、冬山で無理は禁物。泣く泣く中止を決断した。

中止になって気は抜けたものの、前日に綺麗に雪化粧した山はすばらしいの一言。何度も冬の八ヶ岳は来ているが、この日が一番きれいだった。

展望荘の人達は、みなとても親切。また来たいなぁといつも思う。ここで会ったガイドさんも「今日は中止にして正解ですよ。あの状態で登ったら通常の倍の時間が掛かります」と言っていたらしい。この言葉で悶々とした気分もいくらか救われた。阿弥陀岳に掛かる夕日もすてきで、この山行は成功だったと思えた。

翌日、地蔵尾根の下山中、小同心から「ビレイ解除ー!」の雄たけび。見ると黒い岩肌にクライマーが見える。たった1日で登れる状態になるなんて・・・・まぁ、いいか。





小同心クラック -1-

2007-01-04 11:25:20 | クライミング

年末に小同心クラックを登りに八ヶ岳に行ってきた。あまりの忙しさに準備不足気味だったが、小屋泊まりなのでなんとかなるだろう、と思い出発。

29日あたりは上空に-30度の寒冷過が降りてきていたので、標高の高い山は雪になる可能性が高い。しかし八ヶ岳は太平洋側の気候となるので、西高東低の冬型になると晴れる確立が高くなる。長野の週間天気予報は雪だったが、むしろ山梨西部の天気予報が八ヶ岳に相当する。実際良い天気だった。その代わりに気温は低くなる。入山日には低温注意報が出ていた。

美濃戸山荘から北沢へ進み、堰堤を過ぎてから20~30分ほど歩くと、目の前に大同心・小同心が見えるひらけた場所に出る。その姿は今まで見た事もないような真っ白な衣をまとっていた。

24日の大同心の状態は柴笛クラブのHPより確認していたが、1週間で全く違った状態に変わっていたのだ。冬山は怖いなぁ。こんなんで登れるのか心配だったが、とりあえず鉱泉でおいしい食事とビールを飲む事を楽しみに、歩きつづけた。


翌日はのんびりと食事を摂ってから出発。硫黄岳に向かう登山道を歩き、大同心・小同心がきれいに見える開けた場所でパチリ(写真)。さらに進んで沢の踏み跡にそって登山道から離れる。以前来た時はすぐに右岸の稜線へ登ったが、トレースはなかなか稜線へ向かわない。おかしいなぁと思いながら進んで行くと、休憩しているパーティーに出会った。その人達に確認すると、ここは裏同心ルンゼらしい。あちゃー!

1つ隣の大同心ルンゼに戻る。さっき写真撮った場所じゃん!約50分程のロスタイム。先が思いやられるなぁ。まだそれほど積雪量も多くないため、樹林帯通過に結構とまどった。大同心基部に到着した時は11時を回っていた。上を見るとなにやら渋滞模様。小同心に行く人達か?まずいぞ、タイムアウトの可能性大かも、と思いながら登攀準備を始める。なんかやな予感・・・・