雲見崎 直上裏参道 そのⅣ

2007-07-02 19:03:22 | クライミング

順調にロープが出ていたが、途中でスピードがゆるむ。動かなくなった。しばらくしてビレイ解除のコール。自分が2番手でいく。快適に登れると思ったピッチなのに、やはり岩が剥離しそうで恐ろしい。このピッチの途中にある縦型の岩を左から右に乗っ越すところなどは、レイバック気味にホールドに力を入れなければならず、祈る思いで乗り越した(涙

ビレイ点に付くと不安定な姿勢で○崎さんがビレイをしている。ここでは這松とカムで支点を作っていた。ビレイ点の少し手前でカムを決めセルフビレイ。

ここから先は樹林帯。自分の番だ。今度こそ少しは楽が出来そう。気合いを入れスタート。右手をマントリングする時のように岩の表面にあて、圧力を掛けた。「ペシッ!!」。なんと岩の表面が5mmほどの厚みでスライドし、φ80くらいの大きさの円盤状の落石となって落ちていった。あやうく落ちるところだった(汗

ここまでだって信用出来ない岩に緊張させられたのに、さらに不安が増大した。しばし動けなくなる・・・・
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意を決してホールドに手を伸ばし、体重を掛けた。「ボロッ!」。こぶし大の石が剥がれて落ちていく。うぅ~・・・プルプルしながらなんとかバランスで移動。すぐ上のしっかりした木の枝で支点を取る。クリップするまで生きた心地がしなかった。這松を縫うように登っていき結構太めの木にたどり着きビレイ。今までで一番安定感のあるビレイポイントだ。個人的にはこのピッチが一番しびれた。

次のピッチは○藤さんがリード。スタートがちょっと嫌らしかったが、比較的安定していた。その次は○崎さん。樹林帯を抜けカンテ状を登るルート。このカンテ状の部分。左が切れ落ちていて、右側は木の枝がびっしり。カラビナやらスリングやらありとあらゆるものが引っかかり、なかなか前へ進めない。やっとの事でビレイポイント(木の枝)についた頃には腕が擦り傷だらけになっていた。アプローチの時といいこのルートは絶対に長袖で来るべき。

最後のピッチはちょっとミスってしまった。スラブ状の岩を左へトラバースするのかと勘違いし、とてもⅢ級とは思えず樹林帯へ進んだ。神社の石垣から登って終了。頂上に立って分かったが、枝の妨害に耐えてカンテをそのまま数メートルすすめば、傾斜の緩いスラブが頂上へつながっていた。ちょっと残念だったが、とりあえず無事登り切った。

登ってる最中は(二度と来ないぞこのクソルート!)と思った時もあったが、終わってみるとまたやってみたい気分になっていた。ハーケンに導かれることなく自分でルートを見つける作業や、海面から頂上の神社へ抜けるというシチュエーション。そして頂上でのすばらしい景色。岩登りを楽しむための要素がしっかり詰まっているからかもしれない。

頂上では元気のいいおばちゃん3人組がいた。聞くと下から20分程で頂上につくらしい。我々3人組は6時間近く掛かってしまったが、多めに入れたお賽銭も含め時間が掛かった分御利益も多いことだろう。「日本の登山家が愛したルート50」に載るだけあって、とても印象に残るいいルートだった。