日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

7月に読んだ本(後半)

2012-08-04 | 本と漫画の話


増加博士の事件簿 (講談社ノベルス)増加博士の事件簿 (講談社ノベルス)
★3  27のショートショートミステリ。
 随分昔『増加博士と目減卿』を読んだけど、内容は忘却の彼方(^-^;) でもフェル博士ならぬ増加博士の名前は、ユニークで記憶にあったので、新刊が出たと知り読んでみた。
  羽鳥警部に呼ばれて事件現場に登場、事件の概要を聞いて、犯人やトリックを明かすという、シンプルな筋立て。推理も「お見事!」というより、ちょっとバカバカしい強引なものも。割り切って気楽に読むといいかな。完成度はともかく、これだけの数の謎解きを、ショートショートで惜し気もなく量産しちゃうところは凄い(笑)。
読了日:07月16日 著者:二階堂 黎人


妃は船を沈める妃は船を沈める
★3.5 第一部『猿の左手』と第二部『残酷な揺り籠』、中編2本で1つの作品。
 各編に共通して登場するのは、複数の若い男を侍らせる妃沙子。一人は養子にまでし、我が子のように過保護に可愛がる。そんな妃沙子の周りで起きる二つの事件。犯人は、動機は。
 この女、同性に嫌われるタイプだというのは分かるけど、男に好かれる要因も分からない。有栖達も嫌悪感を持ってるし。嫌な女なりに、どこか魅力というか魔力があるような女であって欲しかった。でも、『猿の手』の妻のように、その場凌ぎの願いを望む浅はかな女、ということだったのかな。
 『猿の手』についての解釈は、以前有栖川先生の講演でも聞いて、印象的だった。他の著作でも読んだ気がするし、お好きなエピソードなんでしょうね。素直にホラーと解釈するか、ちょっと捻ってミステリ的解釈をするか。楽しい論議。
読了日:07月16日 著者:有栖川 有栖


たまげた録たまげた録
★3.5 久しぶりの原田さん。学生時代は原田さんや群ようこさんのエッセイに笑わせて貰ってました。あれから随分経って、原田さんも読者としての私も、さすがに当時の勢いやテンションは無理ってことで(^-^;) ほどほどに落ち着いた大人になりはしたけれど、説教臭くなったりすることもなく、いい意味で大人に成り切ってない、今の年齢なりの面白さに一安心。 テーマも良かったんだろうな。やっぱり真面目っぽい話より、失敗談や仰天した話を面白おかしく書くのが上手い。
読了日:07月21日 著者:原田 宗典


百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)
★4 農業って大変だなぁ。と、思ってはいたけど、現実はさらに凄い。生産調整の話とか、職業としての農家ってこういうことなんだな、と思い知る。人気漫画家が、こうしてシビアな話も含め、分かりやすく面白く農業を描くと、スーパーに並ぶ野菜やお肉しか知らない子供達(大人もか)にも、伝わるものがあるはず。美味しくない、食べ切れない、と簡単に食べ物を捨てたり、形が悪いだの高いだの文句だけ言ったりできない。さらに農業だけじゃなく、製造業やサービス業、誰かの労働の対価として得られるもの全てに、感謝できるようになればいいなぁ。
読了日:07月22日 著者:荒川 弘


夜の国のクーパー夜の国のクーパー
★4 これは、“案山子が話す”デビュー作『オーデュボン』より、一層ファンタジー!
 【戦争に負けて、町に敵国の兵がやってきた。これからどうなるのか、人間達は不安そうだ−猫のトムが語る、人間達の様子。一方、妻に浮気され、傷心を癒そうと仙台の港から舟釣りに出た男は、突然荒れ始めた海に投げ出され、気付くと縛られた状態で草むらに転がり、胸の上に乗った猫に話しかけられていた。】 
 この世界に入り込むまでは若干戸惑ったけど、馴染んできてからは、展開にワクワク。呑気な猫の言動や、男が猫の話に引き付けられる様子が楽しい。
 クーパーに纏わる謎、町で起きていることについては、大体予想通り。これは猫と鼠のくだりなどから、分かりやすいように仄めかしてあった部分だと思う。でも、もう1点、最大のオチについては、うっかりそうと知らずにネタバレ感想を目にしてしまい、一番重要な部分でのサプライズが味わえず(T-T) これ知らなかったら、結構話の世界観ひっくり返る体験できたんだろうな。
 それにしてもトム君、話上手で、頭もいいし、魅力的! ファンタジーの主役になる猫って、みんな素敵だなぁ(笑)。
読了日:07月26日 著者:伊坂 幸太郎


羊毛フェルトで作る リアル猫人形 (TWJ books)羊毛フェルトで作る リアル猫人形 (TWJ books)
★3.5 小さな人形かと思ったら、ほぼ実物大みたいで、ビックリ。作品写真だけでも見応えあり。 これは実際作るとなると大変だぞ(^-^;) でも目の表現とか、かなり本物っぽいから、自分でできたら嬉しいだろうな。
読了日:07月27日 著者:佐藤法雪


猫と道草、アートの旅: イノモト流ニッポン美術館紀行猫と道草、アートの旅: イノモト流ニッポン美術館紀行
★3 全国の美術館を訪れたレポート。作品掲載はNGなのか、写真は建物中心。それはそれでもいいんだけど、半分くらいモノクロなのが残念。美術館建築は、光や自然との調和を考慮して作られたものなど、建物自体もアートなものが多いので、モノクロでは分かり辛くて勿体ない。 著者による作品模写は、ざっくりした描写だけど、雰囲気は上手く掴んであって、作品写真がない分をカバーしてあった。 著者の飼猫がモデルのウンチビ君が、模写やページに添えられたイラストなどで登場、茶々を入れたり豆知識を披露したりしてくれる。
読了日:07月27日 著者:猪本 典子


flat 6 (マッグガーデンコミックス アヴァルスシリーズ)flat 6 (マッグガーデンコミックス アヴァルスシリーズ)
★3.5 海藤が今回も、ウダウダとしつこくからんできてイライラ。それに対して、サラッと的確に疑問を呈す谷村さんの言葉に溜飲が下がる。でも結局、海藤は誰の言葉も、受け入れようとしてないんだよなぁ・・・。自分の考えばかりに固執して、それを他人に押し付けていることに気付けたら、「人は人」と割り切れたら、楽になるのに。まあ海藤騒ぎは今回で一段落したような気配だし、まったりお気楽な平介と愉快な仲間達の日常が、また楽しめるようになるかな。雪の話と、平介部活するってよ!?な話(笑)が良かった。
読了日:07月28日 著者:青桐 ナツ


狂骨の夢 (4) (怪COMIC)狂骨の夢 (4) (怪COMIC)
★4 話が佳境に入り、無関係に見える数多くの謎が、京極堂のもとに集約される。さあ、いよいよクライマックスの憑物落としが始まる! ということで、多分次刊で完結かな。 宇多川邸(脳髄屋敷)の図面が見られたのは、ちょっと嬉しい。なるほどこうなっていたのかぁ! 京極堂の膝の上に乗ろうとして頭をはたかれるザクロとか、小ネタもちゃんと拾って漫画に織り込まれているのも、楽しみな部分。榎さんの存在が醸し出す破壊力も相変わらず(笑)。あと巻末情報で、次はついに、シリーズ第一作『姑獲鳥の夏』がスタート!とのこと。楽しみ♪
読了日:07月28日 著者:志水 アキ

2012年7月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター


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