シェ・イリエのお気に召すまま

旭川にある自然派フランス菓子店シェ・イリエの店主の独り言を綴っていきます。よかったら、お付き合い下さい。

今年もお世話になりました。

2007-12-31 15:05:12 | 洋菓子
今年も一年、たいへんお世話になり ありがとうございました。
振り返りますと、色々なことがあった一年でした。
個人的にたいへんだったという印象ですが、
何か解りませんが、この一年の事柄を通り抜けることが出来て、自信のようなものが芽生えたような気がします。ちょっと遅すぎの感もありますが
来年につながる何かを予感がいたします。
これからもよろしくお願い申し上げます。

画像は、今年最後のバースデーケーキの注文でつくったバタークリームデコレーション。洋菓子が初めて日本に入ってきた頃のデザインを復刻してお作りしました。
最近の洋菓子の技術は労働環境の変化でかなり変わってきました。
かつての菓子屋や少数の志ある個人店の修行中の人は仕事を終えた後、残って練習し、色々な技術を身につけ、親方も原料をいくら使っても文句を言わないのが決まりでしたが、
いまでは、仕事を終えたらすぐ帰らせなければ色々都合が悪い時代になりました。
物理的に考えて、かつて10年で一人前になるために14・5時間働いていましたが
今、8時間でならもう8年余分に働かなくてはならず、そうでなければ仕事の内容の幅(売れないときには次は何をするか)や一時売れなくても揺がない裏付けのある商品への自信、とかが身に付かない気がします。
むかし搾取されてばかりいた労働者のためのために組合はある一定の大事な役割を果たしました。と同時にその時大切な菓子作りの技術も失っていたかもしれません。
労働条件を良くするあまり将来の有能な人材の育成に支障なきよう配慮するのも私たちがしなければならない重要なことです。
政治や社会制度全体が経済効率本位制の現代から、将来の質の高い生活のため必要になるであろう技術や文化を大切にする未来へ徐々にシフトを変えるつつ、そうなる準備も個人個人しなければと思います。
私が最近、憂うのは札幌での菓子学校卒業生がタルトにフレッシュフルーツを盛りつけるだけで完成するケーキをつくる場面を見るに付け、一日の仕事や一年間の仕事の内容を想像するときです。でもみながこういう時に志を持って地道に自己実現を貫こうとするものは、どの時代でも必ず現れるものだと言うことも、過去の歴史があらわしていますもんね。