上から
「明日の記憶」萩原浩/著
人ごとだと思っていたことが我が身に起こってしまった。
最初は物忘れ程度だと思っていたが
医者から、若年性アルツハイマーの初期症状と診断される。
戸惑いながらも懸命にその病気と向かい合あう主人公と家族愛。
第18回山本周五郎賞にひかれて買ったのですが、
「アルジャーノンに花束を」賞と言う感じ、
主人公が私と同じ年の設定なので、よけい身につまされて読みました。
「花まんま」朱川湊人/著
大坂の路地裏を舞台に新進気鋭の作家がえがく、6編の不思議な世界。
個人的に「ゆうれい物」(そのようなジャンルは無いけど)にめっぽう弱く
すぐ、涙腺がゆるみます。
浅田次郎の「ぽっぽ屋」、山田太一の「異人たちとの夏」など
愛する人との理不尽な別れをこのような形で解決させるのは
作家の力量と感性がなければ成し得ないと思います。切ないです佳作です。
「半島を出よ」村上龍/著
今、旬の話題作です。ストーリーは書かなくとも、皆さんご存じと思います。
まず、作家の想像力に喝采、
その発想を現実のように思わせる取材力は、実に強腕です。
読み終わった感覚が何かに似ているとずっと考えていましたが、
高村薫の「レディジョーカー」でした。
骨太な読後感です。今年の「このミス」上位は堅いと思います。