物事はすべて巡るということを日々実感しています。
いつ蒔いたかわからない種が突然芽を出すように。
「ニライカナイ」という言葉。
「ニライカナイ」という言葉を私に最初に教えて下さったのは「ホイト芸」のパフォーマー黒田オサムさんでした。
不思議な事に、その黒田さんから、私が沖縄の「知念サンライズホテル」のそばのビーチから翌日訪れることになる久高島をひとり眺め、イシキ浜から視える海の先に在るニライカナイを想像しているまさにそのときに電話が入りました。
黒田さんが天草のイベントに招かれて出発するその前日に私は沖縄にいたのです。
「あす朝の飛行機で天草に発ちます。おかげさまで……」という内容のお電話でした。律義な黒田さんらしいお電話に、私は思わず襟を正して聞き入りました。
たくさんのご縁がつながってそこにたどりつけることの感謝を黒田さんはいつも示されます。
物事が終わったあとに報告を受けることはたくさんありますが、黒田さんは必ずその前です。凄い人だなあと、短い電話の中でずしりと心に響きました。小さいことをなおざりにしない自由人黒田さんに学ぶことがたくさんあります。開放されたほんとの自由の素晴らしさをきっと黒田さんはだれよりもよく知っている方なのでしょう。
私も黒田さんと話しながら、その行いや思いを見習いたいなと思いました。
その黒田さんがご自身のホイト芸(乞食芸)を通して、「『祝言人(ホカイビト)』はいくつもの山や海を越えてやってきます。ホカイビトは神の名に置いて祝福する人。遠くからいらっしゃる稀人(マロウド)さんでもあり、海洋信仰のある沖縄では海の彼方の豊穣の神様がいるというニライカナイからやってきます。」と話して下さったのは数年前の黒田さんとの対談のときでした。
無知な私は「えっ、ニライカナイって何ですか?」と訊いたことが、今回の旅に出ることにつながりました。
今回の沖縄への旅の縁結びは、もしかしたら人としての高い精神性を持ち、ホイト芸を通してホイトさんになり切ることのできる黒田オサムさんなのかもしれないなと、私はひそかに黒田さんに感謝の祈りを捧げました。
黒田さん、ありがとうございます。
黒田さんの天草への旅が実り多いものでありますように……。