Diary of Caviargirl

ホラー、ゾンビ、チェコ、虫、ヤドカリ、コマ撮り、ピンクな物事…キャビアガールの好奇心日記。

面影ラッキーホール『On The Border』

2012-08-28 23:55:00 | daily life
待望の、面影ラッキーホールの結成20周年記念アルバム『On The Border』が発売になりました☆


今回もジャケがかっこよすぎる!
部屋に飾りたくなるジャケ!
盤面の写真もステキなんです。

東京&大阪でのレコ発ライブ、両方とも参戦してきたのですが、
ライブの話はまた後で書くとして、まずはアルバムの感想から。
私、ほんとに音楽に関する知識も読解力もないため、
ジャンルも元ネタもわかっていない状態での完全女子目線レビューになっちゃってますが、悪しからず。



今回のアルバム、最初に聴いたときの印象は「ラブソング感強い!」。
もちろん単純に「いろんな性嗜好の宝石箱」という意味でのキラメキもあるアルバムなんだけど。
カラッとフラットな部分もありつつ、前作に比べて”愛”を感じました。

でも、周りのみんなに応援されたり祝福されたり、微笑ましく見守られたり、胸キュンされたり、「わかる、わかるー!」なんて共感される恋でも愛でもなくて、誰かに知られようものなら、
「え…やめなよ、そんなヤツ」「幸せになれないよ?」「…かわいそう…」って言われるような、孤独なラブ。

NTR(寝取られ)願望が目覚めて妄想をめぐらす旦那、ベジ化した彼女の病室に忍び込む彼氏、新しい旦那に抱かれてくれと娘にたのむ母親、十字架背負って息子とおうまあそびをするおかあさん、男のすべてを許して”モノだとおもってね”と囁く女、遊び慣れた客をひとり占めしたいとがむしゃらにNo.1への階段を駆け上がるホスト…
それぞれが“俺だけのやり方で”必死に相手を愛そうとしてるんだけど、いつの間にかボーダーを越えちゃって、いびつなことになってしまっているという。
そんなボーダーのキワで蠢く人々の様子が、じめじめとした恨み節ではなく、時には明るくノリのいいメロディーにのせて、時にはおしゃれでアーバンな曲と共に、時には独特のユーモアを交えながら歌い上げられる。
人の暗部や陰部を歌いながらも、思わず口ずさみたくなる楽しさもあるのが、さすが面影ラッキーホール!

このアルバムに出てくる(そして多くの面ラホの曲の)登場人物たちは、みんな
「こんなはずじゃなかった」「どこでどう間違ったんだろう」「俺(私)だけがなぜ…」「いつの間にこんなに遠くまで来てしまったんだろう…」
っていう思いにとらわれている 、または遅かれ早かれ取り憑かれるんでしょうね。
まっすぐで熱かったはずの想いもぐにゃぐにゃと異形化して、しぼりかすみたいにカラカラになって、いろんなことが当たり前になってしまって鈍感になって、愛の成れの果ての関係に堕ちてしまうとしても、
でも、彼らがふと何気なく相手のことを想うとき、昔とこれからを思って涙を流すとき、そこにはちゃんと愛があるんじゃないかと思ってしまうのは、甘いでしょうか。


いま、“執着や嫉妬から解放されてラクになりましょう! 人類愛的恋愛を目指そう!”的な思考の本が増えているし、実際それに憧れる人も多いのだけど、“なんか…それって、むしろグロテスクじゃね?”と思ってしまう私としては、面影ラッキーホールの描く男女関係のほうがまっとうで、人のあるべき姿に感じられてしまいます。

執着からの解放&人類愛も、ある意味ボーダー越えるってことだけど、面ラホの描くボーダーはひと味ちがう。
面ラホの場合、執着の先にあるのはNTR(笑)。
でも、結局どちらのボーダーの越え方も、背中合わせな気もします。
薄皮一枚の差で、なんでこんなに万人への受け取られ方が違うんだろ? 謎。

さらに言うと、面ラホの曲、ベストセラーの『置かれた場所で咲きなさい』的な部分もあるのではないでしょうか。
「境遇は選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる」「どうしても咲けない時は、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです」。
…これって、すべて面ラホの曲にあるじゃないか!
というわけで、20万部とか売れるポテンシャル十分のバンドなのですよ! 私の中では…。



では、1曲ずつ一言感想~。

◯「コモエスタNTR」
寝取られ願望を、お祭り感ある明るいメロディーにのせるという、絶妙なコンビネーションのナンバー。
私は寝取られ願望全然ないので共感はしませんが、相手にこういろいろ妄想されるのは悪くないなと思いました。
そういえば、以前友達の彼氏の寝取られ願望の話聞いたことある。
やっぱり“寝取られ”といえば男の願望なのかな?

◯「おかあさんといっしょう」
今回一番の問題作?
おかあさんと息子の関係とふたりの毎日を想像しながら聴くと震えます。
そういえば、以前友達がセックスの最中彼氏に「おかあさん!」って呼ばれたって話聞いたことある。

◯「制服で待っていて」
こちらもかなりの問題作。
生活保護費を絡めてくるあたり、さすがいまの時代を反映させてます。

◯「くちにだしてね」
フェミニストが聴いたら激怒しそうな曲ですけど、女たるもの、こうありたいですね。

◯「ベジタブルぶる~す」
若いカップルを襲った突然の悲劇を描いた曲。
口ずさんではいけないようなサビなのに、ノリのよさについつい一緒に歌ってしまいます。
台詞部分も愛らしくて好き。

◯「wet」
あくまでもオシャレに“飛びっ子”の使い方(?)を歌うという、悶絶ものの試み。
ドライブデートで聴きたい名曲。
以前広尾に住んでいたことがあるので、「天現寺から渋谷へ流して」のルートがリアルに想像できました。

◯「北関東の訛りも消えて」
「北関東の語尾が出るの バレないようにごまかしてた」のとこ、メロディーの盛り上がりとも相まって、泣ける!
主人公の性別がわからないように書かれていますが、ホスト想定のようです。
たしかに、キャバ嬢はあまり「シャンパンコール」とかしないか。

◯「四つん這いスウィーツ」
「面ラホの歌はエロい」という意見を聞くたびに、“そうかな?”と疑問に思っていたのですが(aCKyさんの声や歌い方はエロいですが)、
この曲は文句なしにエロい!!
ヘッドホンで聴くと、ヤバいです。頭の中白くなります。
ふたりの位置関係とか体位を想像しながら聴くと、いっそうイイです☆

◯「レス春秋」
まったりとした優しい曲調ながらも、歌われるのは切実なセックスレスのお悩み。
メロディーのゆっくりとした優しさが、夫婦間の気遣いや家族になって欲情しなくなった日々を、繰り返されるメロディーがマンネリ化してしまった生活や会話を表しているようで、妙にマッチしていました。
で、合間合間には、ちょっといら立ちやはがゆさも垣間見えたり。
いままでセックスレスの知人に聞いた話そのままのような、リアルな歌詞が詰まってたな。



何度も聴くうちにマイブーム曲が移り変わっていて、
「コモエスタNTR」→「北関東の訛りも消えて」→「ベジタブルぶる~す」ときて、いまは「四つん這いスウィーツ」がキテます。


最初歌詞を読まないで聴いていたので、歌詞カードを見て、そのワード数の少なさに驚きました。
どれも、かなりの情報量と物語が詰まった歌という感じがしたのだけど、これだけの言葉しか歌われていなかったのか、と。
メロディーを埋めるためとしか思えない歌詞が横行している中で、この無駄を削ぎ落して一語一語丁寧に組み立てられた詞はすごいなと、改めて思いました。


…て長々と書いてて、なんか自分がボーダーギリギリ? 大丈夫?って気になってきた。
ほんとは、西野カナの歌とかに共感してたほうが、幸せなんだよ、きっと~!

でも、みんなで越えれば怖くない!(笑)
9月8日には、横浜のフライデーでライブありますよ☆


あと、WEBマガジンVOBOさんの面影ラッキーホールインタビューがとても面白いですよ。
sinner-yang氏の甥っ子さんの話がかわいい!


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