ぶらいやWATTY 探求の泉

人生も残り少なくなってきたので、単なる近況報告となります。

新型インフルエンザワクチン問題1

2009年10月18日 09時27分52秒 | 食品・薬・環境問題
自治医科大学の尾身先生が、最近の臨床検査データから「2回接種の必要はなく、1回の接種で十分」ということを発言したニュースを見た。
時事通信社主催の研修会でも先生の話を聞いたのだが、簡単に今回の新型インフルエンザウイルス(A/H1N1)の概要を説明し、それは理解できたのだが、では患者が出たらどのように行動すべきなのかという具体的な対応については語られず、講演後の質疑応答も、主催側の時事通信社の人がほぼ独占して参加者からの質問は1人だけで拍子抜けした。
途中から企業の危機管理対応関係者で会場から抜けてしまう人が少なからずいた。

あの時は有楽町マリオンの朝日新聞社ホールのエレベーターに乗った時、同乗のスマート(知的)そうな背広を着た紳士に「記者の方ですか?」と尋ねられたんだったな。あの時の私の着衣や風貌ではそう思われても仕方ないかもしれませんが。

さて、2回接種のはずが1回の接種でウイルスに対して十分な抗体価が得られるとなるとワクチンの数に余裕ができて接種スケジュールが前倒しできることになるから朗報といえば朗報だ。

(所要の為、ここまで2009/10/18 9:56AM)

ワクチン製造・供給が間に合わず初回出荷分が限られているので、まず医療従事者(内科・小児科・救急科などで例外もある)及び基礎疾患者が接種優先者となっているが、この調査で医療機関、その中でも小規模病院や診療所はさほどでもなかろうが、大病院はそれらの接種優先者を把握するのはそうとう骨身にこたえただろう。そして、より大変な思いをしなければならないのが、地方公共団体、特に市町村だ。
もちろん、厚生労働省職員も相変わらずハードで、しかも民主党政権に変わって余計な業務が加わっている。ゴールデンウイークから始まった検疫等の対策では「いつまで不毛な業務を続けているんだ。現場の医療関係者で国に意見する者はいないのか。」と憤慨していたが(結局、糾弾されていた)、今回に関しては頑張っていると思う。

しかし、ここでも現場感覚の欠如、日本の抱える大問題の一つであるが、合理性の徹底的追求、感染症対策の基本中の基本である"実現可能性"の精査、すなわちそれらが危機管理の根幹をなすことになるのだが、現場に不毛な混乱を巻き起こし、迅速な対応を阻害することになってしまう。

>政府のワクチン接種に関する基本方針では、接種費用(1回接種で3600円、
>2回接種で計6150円)は自己負担で、生活保護世帯を含む市町村民税非課税
>世帯に限り無料となる。

接種費用に関しては、以下のようになる。
○初回接種料3,600円+2回目接種料2,550円(但し、初回接種した医療機関と同一の場合)=6,150円
○初回接種料3,600円+2回目接種料3,600円(初回接種の医療機関と異なる場合)=7,200円

その他の事項については以下(万が一に変更されるかもしれないがまず確定だろう)。
●ワクチン接種費用は全国一律である。
●低所得者に対する費用負担に関しては、予防接種法の定期接種に準じて、市町村民税非課税世帯を念頭に市町村が助成。その財源の1/2を国、1/4を都道府県が補助。なお、その所要見込額は合計で900億円である。
●厚生労働省から7つの販社へ売り払う。価格は統一。
●販社から卸売販売業者への販売は、季節性ワクチンの数量シェアに準じる。
●保存剤(チメロサール)の添加がない北里研究所の0.5Mlプレフィルドシリンジ製剤は妊婦への使用を前提としたもので、出荷が11月上旬以降になりそう。

ここで厳しいのが、ワクチン接種を自身の医療機関で実施する(患者でなく医療従事者のみに接種する場合でも)場合には、国・厚生労働省と受託医療機関の契約が必要で市町村はこの準備に時間を取られる。そして、"生活保護世帯を含む市町村民税非課税世帯に限り無料となる"ということだが、"個人"でなく"世帯"の把握となると多岐多様なケースが考えられて相当な負担となるだろう。迅速な対応を望むなら何故"世帯"にしたのか。きっとワクチン接種費用を負担できる人はできるだけしてもらおうと考えたからだと推察される。それにしても、日頃から現場の状況把握や合理性、社会科学的実効性の追求を軽視してしまった故の混乱が今回もおこるだろう。
あーあ(嘆息)。

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