(後半部を要約、前半部はそのまま引用)
平成30年度の税制改正により創設された新・事業承継税制(以下、「特例制度」といいます。)では、既存の事業承継税制(以下、「一般制度」といいます。)における最大の問題点といわれていた80%の雇用要件が大幅に緩和されています。すなわち、一般制度では、適用後の5年間で平均8割以上の雇用が維持できなければ、納税猶予が打切り(全部確定)、つまり相続税を金利含めて納税することになるのですが、新しい特例制度では、この要件が未達成の場合でも、猶予が継続可能とされています。
事実上、雇用要件が撤廃されたかのようにみえる。
実は、雇用要件未達のときの納税猶予の継続は無条件に認められているわけでは無いのです。その理由の報告が必要とされ、経営悪化が原因である場合等には、認定支援機関による指導助言が必要とされています。
具体的な手続きは、特例制度適用後5年経過の日に雇用が平均で80%を下回った場合、会社は「実績報告書」の提出によりその理由を都道府県知事に報告しその確認を受けることとなっています(円滑化法規則20①③)。
その実績報告書は、下記の理由を選択する形式となっています
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①高齢化が進み後を引き継ぐ者を確保できなかった。
②採用活動を行ったが、人手不足から採用に至らなかった。
③設備投資等、生産性が向上したため人手が不要となった。
④経営状況の悪化により、雇用を継続できなくなった。
⑤その他(具体的に理由を記載)。
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これに加え、認定支援機関の指導助言の内容をこの実績報告書に記載することになっていますが、その指導助言が必要となる場合は、会社が④を選択した場合、または「⑤その他」を選択した場合でその具体的な理由が認定支援機関として正当でないと判断するときとされています(円滑化法規則20③)。
都道府県知事は、報告を受けて理由を確認したときは会社に確認書を交付し、確認をしない旨の決定をしたときは会社にその通知をします(円滑化法規則20⑭)。
以上は円滑化法の手続きですが、税制上、都道府県知事からの確認書が交付されないと、特例制度の納税猶予を継続することはできないように措置されています。
会社は特例制度適用後の5年間、毎年継続届出書を税務署長に提出しなければならず(措法70の7の5⑥)、5年間の末日に提出する継続届出書には都道府県知事の確認書の写しを添付することが求められています(措令40の8の5⑳、措規23の12の20⑫五)。確認書が交付されないと継続届出書が期限内に提出できないことから、猶予期限が確定し、納税猶予が打ち切られるのです(措法70の7の5⑧)。
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