TV朝日系で「白い巨塔」のリメイク版が放送されている。
財前五郎役の岡田准一氏はジャニーズ事務所の中では比較的卓越した演技力を有すると聞く。全編見た訳では無いが時代背景や作品時間を考慮しても、田宮二郎の財前五郎を超えることはできないだろう。
"田宮"財前には、権力欲という魔物に取り憑かれたとはいえ、医師としての挟持や田舎の母から受けた愛情になんとしても応える(「教授になるためには人殺しだってする」)なんとも言えぬ使命感を感じた。
"岡田"財前は単なる野心家、秘めるべき感情も抑えきれないみっともなく不気味で嫌な奴という印象しかなかった。
よって、"田宮"財前の死には再放送ごとに涙が出たが、このまま最終回を迎えたとしたならば"岡田"財前は死んで良かったとしか思えない。
"田宮"財前は環境が違えば魔物に取り憑かれることは無かったかもしれないが、"岡田"財前はどこに勤めても嫌な奴だっただろう。
"田宮"財前がベストなのは、役者としての田宮二郎の経歴が財前五郎を演ずるのにあまりにも適していたことや、躁鬱病と闘い狂気の中でとうとう自殺まで突き進むほどに演劇に向き合った産物なのであろう。
ズバリ言えば、"田宮"財前には人間的に一部共感するが"岡田"財前には全く共感できないということだ。"岡田"財前はさっさと死ねということだ。
しかしながら、唐沢版でこのリメイクをやめておこうという発想に何故ならなかったのか。今どき、ここまでして教授職に執着する奴は存在するのだろうか。昔は大阪大学を含め医学部にそのような傾向はあったらしいが。
(CMについて)
番組中に"岡田"財前が保険会社のCMに出ている。語らずともドラマ作りに真剣味が無いことをこれだけで示している。患者の診断に怠慢で卑怯な医師役が保険の広告をしているとは笑い話だ。せめて里見医師役をCMに起用すべきだろう。