朝日新聞に「日本が無人偵察機をアメリカから導入することを決めているのだが、運用や費用面での問題が出ていて、イスラエルとの共同開発案が出ている」という記事が出ていました。
先日「無人暗殺機ドローンの誕生」という本を買って読んだばかりでしたので、もう日本でも導入を決めているのかと驚きました。
この本はアメリカが開発した「無人暗殺機プレデター」の知られざる開発史―同誌から―ノンフィクション作品です。
アメリカは3・11テロを境に国民のプライバシー保護に関する法律、CIAやFBIの秘密活動、通信傍受・暗号解析など、これまで抑制的に運用していた様々な法律を実質的にないがしろにする見直しを進めてきました。 その一つの事件がドイツのメルケル首相の携帯電話の盗聴だったのでしょう(もっと前から当たり前にやっていた?かも)。
このプレデターもその一つです。 簡単にプレデターがどういうものかを紹介すると、①無人の偵察・小型ミサイルあるいは爆弾による攻撃可能な飛行機。 ②長時間(20~30時間)高空から光学カメラおよび赤外線カメラによりリアルタイムに監視可能 ③海底ケーブル、衛星通信などを駆使することで米国本土の指令室からリアルタイムの監視、攻撃が可能 ④レーザー照準器を備え他の戦闘機によるミサイルを正確に目標に誘導することができる。 というまるで映画や小説の世界のようなことが現実に行われているのです。
プレデターはアフガン戦争で威力を発揮しました。 制空権を失ったアフガニスタンでは空は誰にも邪魔されずに自由に飛び回れ、また小型の高空を飛ぶプレデターはまず敵に発見されることはありませんでした。 米軍は敵の動きを常に高空から監視し、必要に応じて地上の携帯電話を傍聴し、個人を特定し、小型ミサイルで暗殺できるのです。
このような軍事作戦を実施するには米国内の法律や国際法上の様々な制約をクリアーしなければならなかったわけですが、「アルカイダ」や「ビン・ラーディン」という単語によってCIAや米軍による「暗殺」が許容されていったのです。 実は「ウサーマ・ビン・ラーディン」の居住地を発見したのもこの無人偵察(暗殺)機だったようです。暗殺機によるミサイル攻撃で殺害することも可能だったようですが、さすがに思いとどめたようですがいずれにしてもビン・ラーディン氏の殺害に大きな役割を果たし、軍事的に大きな信頼を得ることになりました。
しかし、今でもこのような無人機による軍事作戦が国際的に認められているわけではありませんが、まだ正式に議論の場に上がっていない状態です。 理論的・技術的には世界中で本国から他国の領空から作戦を実行できるわけなので、大変な問題をはらんでいることは間違いありません。 最近話題のドローンなどには航空法上の厳しい制約がかせられて来ましたが、その裏では非常に恐ろしい現実があるのです。 現実的に秘密裏に暗殺を容認している世界最強の国家が「無人暗殺機」を運用しているのですから。
さて本題はこのプレデターの機能縮小版(攻撃能力を外した)を高額で、アメリカの「ブラックボックス」の中で日本の自衛隊が運用しようというのです。 役立たずのミサイル防衛のおつきあいや欠陥ヘリと言われているオスプレイの大量導入(安倍さんの米国へのお土産1300億円?)と同じ構図でしょうか? 大企業とアメリカに甘い安倍さん、少しは国民の血税を使っているんだという自覚をもっていただきたいものです。