無精髭

無精者の日記です

美味しんぼへの抗議に違和感

2014-05-12 18:42:33 | 日記

 12日に発売された「美味しんぼ」の内容に福島県や双葉町が抗議したそうです。
TVのニュースでも報道され大きな騒ぎになっているようです。
何が問題にされているかというと「鼻血が出た」とか「福島には住めない」などと漫画の中に書かれていて、読者に誤解を与え風評被害を助長する。 というものです。  詳しくはこちらの記事 画像をご覧ください。

 筆者の雁屋哲氏は2年間にわたり現地や避難者を取材した上で作品にしたものと話しておりTVのニュースでは実名で登場した前双葉町長の井戸川氏が、「私の話した内容と漫画に描かれた内容は同じです。」と話していました。
抗議したほうの言い分は一個人の見解をあたかも真実のように描かれているのが問題としているようですが、オイオイちょっとと言いたくなります。  ニュース報道ならいざ知らずコミックの作品にまで「公平公正」を求めるのでしょうか。

 私も一人の福島県民として報道されている内容に関して違和感を感じます。
国も県も各地方自治体、マスコミも復興に向けた取り組みや避難者の早期帰還に関しては積極的ですが、一方で不都合な事実についてはほとんど触れないか、故意に隠していることがあふれています。  「鼻血を出すほどの被曝はしていない」などと専門家や医師に言わせていますが本当でしょうか。 政府はいまだに事故当初の放射線量がどれほどだったか公表していないのはないでしょうか。 測定したデータがない、故意に測定しなかった、測定したが隠している。 なのに専門家はデータなしに「影響はない」などと言っていることには何にも言いません。 山下教授のように 「100mSVまでは安全」といってデータもなしに「安全神話」を振りまきしなくてもいい被曝を飯舘町の住民に押し付けた揚句に後で「それほど高線量とは思わなかった」、「私は安心を届けるために福島にきたのであって安全のために来たのではない」には開いた口がふさがりませんでした。
 彼が郡山でした講演の内容をYOUTUBEで観たのですが、欺瞞に満ちた内容でした。 彼が時間の多くを費やして説明したことが、「大熊の第一原発の原子炉をろうそくの火に例えると光は直進するのでまず阿武隈山脈で遮断される、たとえとどいたにしても光の強さ(放射線の強さ)は距離の2乗に反比例するので何十キロも離れている郡山では問題にならないくらいに減衰している」などと、郡山の住民に最も被害を及ぼすものが福島第一の原子炉から放射される放射線ではなく飛散した放射能の雲、放射性プルームだったにもかかわらず山下氏は最後にちょっとだけ触れただけで安全だけを強調して講演を終えています。  ウソをつかずに「科学的」に住民を欺いたのです。 原爆を受けた長崎の国立長崎大学の教授の講演ですから多くの聴衆は騙されてしまったことでしょう。 福島県はこういう人を県の放射線リスク健康アドバイザーに迎えたのですから県も県民の生命・健康よりもほかのものを優先していることは明らかで、そのことが今でも県民の不信を招いているのです。

 国はSPEEDIのデータを国民に知らせず連絡を受けた福島県はこれを隠し、避難民は放射能プルームの流れる方向に逃げまどいました。 何十億円もの税金を使って設置し毎年大金をかけて維持しながら肝心要の事故時にはパニックを起こすからとデータを隠す、とんでもない人たちです。 こんな人たちが漫画の一部内容に腹を立て抗議などもってのほかです。
実名で美味しんぼに登場した井戸川氏は福島第一の1号機が水素爆発したときに町の介護施設ヘルスケアーで避難誘導にあたっていて「ドンという大きな腹に響くような音」を聴きそれから2~3分後にぼたん雪のような降下物を被ったそうです。(プロメテウスノ罠第4巻) この時死の灰を被ったと自覚したといいます。  美味しんぼの中で井戸川氏が「私も鼻血が出た」と発言していますが、5~10分ほど降り続いた放射性降下物を被ってしまった町民もヘルスケアーの人たちばかりではなかったでしょう。  専門家や医師が「鼻血が出るほどの被曝ではない」などということは科学的ではありません。  

 科学的に証明しきれない危険に対してはより安全側に判断すべきことは言うまでもありません。 しかし現実的には危険性を訴えたり、危険性を予測すること自体がタブー視されています。 不安をあおる行為だと決めつけてデータをごまかす自分たちは正義づらです。  こんな状態では健康も安全も守れません。  復興・再生も自由な討論や報道が保障されてはじめて達成されるべきものです。 美味しんぼガンバレ!