もう5、6年前になりますが、信楽(しがらき)方面にいったときに買いました。
焼き釜の近所で、ひっそりと焼物を「即売」しているかんじの質素な店舗。
馴染みの知人が声をかけると、店の奥から薄い箱にころころとたくさん入った、この独楽(こま)を出してくれました。
ほんの「ひとつまみ」で指先に乗る、ちいさな独楽。
職人さんが遊びはんぶん、試しはんぶんで焼いたものです。普通は「売るもの」じゃないんですね。
あがり框(かまち)の畳で、何個も「試し回し」て、これに決めました。
ちょっとかんがえるとわかりますが、これをろくろでひいて、
歪みなく焼き上げるのはけっこうな技術です。
胴の部分はみっちりと重く、軸はすっと細い。
収縮率がぜんぜん違うはずなのに、一切の歪みもなく、
まわすと「ぴしっ」と芯が出て、思いのほか長くまわり続けます。
けっこう高価だったんですが、その出張はわたしにとっていろいろと
思い出深いものだったので、そのときの記念に買いました。
いつか折れてしまうとおもいます。
でもそれが、この独楽の「凛とした」感じを出している、ともおもいます。
わたしにとって、ちょっとだけとくべつなもの。
そして、何の「役」にもたたないもの。
そんなモノを持っていることの幸せを感じます。
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