ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

オムロン、柴田文江、電子体温計 MC-672L。

2006年12月24日 | blog

買ってみてひさびさに、心底びっくりしました。
も の す ご い 完成度の高さです。

ぜんたいのシルエット、たたずまいから、
髪の毛一本ぶんの、細部に至るまで。

柴田文江さんのデザインが、誰が見ても「感じがいい」のは、
「日本のデザイン」だからではないか とおもっています。

「かっこいいデザイン」「とんがったデザイン」「本質を突いたデザイン」は、
「外国のデザイン」というイメージがあります。
あるいは、「外国っぽいデザイン」。

日本車より外車のほうが、「かっこいい」と言われる。
ちょっといいデザインの日本車は、
「日本車離れしたデザイン」とホメられる。

そして、柴田文江さんのデザインは、
「いわゆる日本のプロダクト」の手法でできています。

日本のインハウスデザイナーが、
長い時間をかけて熟成してきた、構成やテイストを、巧みに活かしている。

完成度はすごく高いのだけれど、
全体の雰囲気やディティールは「見慣れた雰囲気」なので、
受け入れやすく、わかりやすい。

そしてここ大事なところですが、
「使いやすく、品質が高く、高価ではない」。


いやぁ、才能ってあるもんですね。


現代のインハウスデザインの、
光も闇も、すべて飲み込んで「消化」して、
なおかつここまで「昇華」させることができる人。

この体温計は、
「デザイン小物」ではなく、
「アノニマス」でもなく、
「スーパーノーマル」でもない。



ただただ、 単なる 「いい体温計」  です。