ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

永遠のいのち【龍吟庵(りょうぎんあん)】

2016-11-30 23:56:02 | アート

永遠の運動。

 

東福寺にある重森三玲の庭と言えば、本坊庭園を思い浮かべる方は多いと思います。

三玲40歳代の野心溢れる人気のお庭です。

実は、その本坊庭園の近くにある塔頭『龍吟庵(りょうぎんあん)』も三玲の作庭だということをご存知でしょうか。

こちらが現在、特別公開中と聞いて行ってまいりました

既に盛りを過ぎたとは言え紅葉を求めて未だ賑わう通天橋をすり抜けて、さらに奥へ。

室町時代初期! の国宝である方丈がまずお出迎え。扁額は何と足利義満。さすが京都です。

 もちろん紅葉は欠かせません。

 

『龍吟庵』は本坊庭園から二十年余り後の昭和39年(1964年)の作。東京オリンピック・イヤーですね。三玲64歳。

人間性の深みを増しつつ、創作意欲はまだまだ旺盛な、そんな頃でしょうか。

何もないことが類まれな緊張感を生む「無の庭」。

黒雲を得て海から昇天する龍を現した「龍の庭」。

そして、赤い砂が印象的な「不離の庭」

の3つがあるのですが、迫力があるのは何といっても「龍の庭」です。

まず、三玲らしい茶目っ気すら感じるリズミカルな曲線と石の配置に目を奪われますが、一旦、龍と目が合ってしまうと、それ以降は庭全体がもう龍にしか見えません(笑)。

かわいい

 左上部の飛び石たちがうねる龍の身体を表しているのがおわかりになるのでしょうか。残念ながら石たちのエネルギーは写真ではなかなか伝わりません。

 

考えてみれば、三玲自身に関する文献はあまり目にしたことがなく、どういう意図をもってこのような曲線を生み出したのかは分かりませんが、回転を続ける渦巻きや流麗な波線には、宇宙の真理が潜んでいる気がします。三玲は、自分の存在と世界とを、これらの線によってつなぎ合わせようとしたのではないでしょうか。

 稲妻を表す竹垣。

『無の庭』

『不離の庭』

 

こちらは、今にもとびだしそうな躍動感ある直線が素晴らしい

 

石や砂は無機質でそっけないものの代名詞ですが、ここにある石たちが生き生きとして見えるのは何故なのか。

きっとそれは、明確なビジョンを持って石を削り、線を生み出した三玲の意志があるからです。

この曲線がたまりません

 

ふと、永遠の命というのはこういうことかもしれない、と思いました。

肉体は滅びてしまっても、そこに刻まれた命は生き続けている。

そう考えると、石の中に三玲の思いが見えてきます。初めて三玲の心に触れた気がして、嬉しくなりました

 

興味ある方はこちらもどうぞ『若々しい三玲~東福寺本坊庭園~』『重森三玲最後の庭~松風苑~』

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目玉以外も楽しいスマート珈琲♪

2016-11-29 22:02:03 | グルメ

2階ではランチもいただけます。

 

森見登美彦さんの『聖なる怠け者の冒険』という小説をご存知でしょうか。

ふらりと立ち寄った本屋で惹句にひかれて手に入れたのですが、祇園祭真只中の京都で、ボランティアの正義の味方を巡る愉快な物語です。舞台が京都だけに実名の店舗や場所が多く登場します。京都人が愛してやまない楽しそうなところばかりです。

その中のひとつ、『スマート珈琲』はおじさまたちのパラダイス。

その後、別の京都本でも、『平日の午前中に、新聞を読みながらくつろいでいるおじさまたちの風情がたまらない』みたいなことが書いてあったので、一度行ってみたいと思っていました。

それもできれば平日の午前中に(笑)。

本日、時間が空いてチャンス到来! と向かったのですが、その前に立ち寄った所で時間を取りすぎ(詳細は明日^^)、着いたのは当初の目論見を大きく外れて11時になろうとするころでした。

しかも満席

幸いにも直に席が空き、すぐに案内してもらえましたが、そのあとバタバタと席を後にする人が続き、どうやらおじさまたちのまったりモーニングの時間は終了してしまったようです(T_T)

寺町通沿いにあります。昭和7年創業の超老舗。

穴蔵感は薄いですね。

珈琲はドイツ製のプロバット機で毎朝焙煎しているそうで、入り口にとても立派な機械がありました。

が、ついうっかり朝、カフェオレを飲んできてしまったので紅茶とトーストをオーダー。

シンプルだけどハイクオリティ

たぶんですけど、ティーバッグではないと思います。味がしっかりして美味しかったです トーストも分厚くてふかふか。丁寧にバターが塗ってあって、うーん、ご主人いい仕事してます

フォークソングとか似合いそうです。

 

この間行ったフランソア喫茶室は洋画やクラシック音楽などハイソな空気でしたが、こちらは気取らなくて、でもすべてが上質で、おじさまたちに人気があるのもうなずけます。土曜の朝とか、ここでまったりしたくなっちゃいますね。とても居心地よかったです。

実はここ、ふかふかのタマゴサンドが名物。珈琲とタマゴサンド、お店の二大名物をどちらもスルーしてしまったからには再訪必至です

 

興味ある方はこちらもどうぞ『穴蔵のノスタルジー【フランソア喫茶室】』

 

 

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見ているものは・・・【濡れもみじ】

2016-11-27 21:55:53 | 

水もしたたる。

 

土曜日に夜紅葉を見に行こうとしたら、生憎の雨。

代わりに、雨にけむる紅葉を撮ってみました

こちらは先日ご紹介した近所の紅葉です。前回は色づき初めで緑から赤へのグラデーションが綺麗でしたが、いまはもう真っ赤。

なんとはなしに定点観測していましたが、一面赤になってからも刻々と表情は変化して、初々しい赤、盛りの赤、晩年の赤と移り変わってゆきました。

そろそろ散り始めています。

移ろう景色に紅葉も生きものだと教えられ、それはそれで心に届くものはあるものの、どこか物足りない。公園整備の一環として植えられた紅葉は純粋培養の切り花みたいで個性がないし、さりとて裏山の紅葉は人間なんか興味なしとあまりにそっけない。

同じ紅葉のはずなのに、いわゆる名所と呼ばれる紅葉の方に心魅かれるのは何故なのでしょう。

 

結局のところ、本当に見ているものは、その紅葉たちが人間と共に歩んできた時間なのかもしれません。

何世紀にも渡って愛でられてきた紅葉は、人間との距離の取り方が上手な気がします。

お互いの存在を認め合う調和が美をもたらす。

うん、何だかとても腑に落ちました

コメント (4)
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デシート

2016-11-26 11:25:28 | つぶやき

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41PJ7M3P6-L._SX298_BO1,204,203,200_.jpg

(幻冬舎ルネッサンス)

 

当ブログにコメントをいただいたご縁で存在を知りました神崎和幸さんの小説『デシート』。

実はかなり前に読了しておりました。

が、ご本人の目に触れるかもしれないと思うと、なかなか感想をアップできませず

書きそびれているうちに、昨日、再び神崎さんから当ブログにコメントが。あああっ 

ありがとうございます

 

というわけで。

 

ノワールな探偵小説と言えば、チャンドラーにハメット、後はせいぜいディック・フランシスくらいしか思い浮かばない身としましては、現代の探偵のハイテクぶりにまずびっくり仰天。危ないところへ乗り込む時はあらゆるデジタルを駆使して証左を残す。凄いですね。そして時には、はったりも必要、と

この辺のディテールはさすが経験者のリアリティがあって、興味深く拝読しました。プロットも入り組んでおり、素晴らしく理系で今っぽいストーリーです。

その一方で、主人公が引きずる影や、ざらっとした暗い色調の映像を思わせる情景は非常にアナログ。チャンドラーの匂いがします。(もしかしてお好きですか?)

ただ、文体は当世風の直接的心情吐露よりも、もう少し情景や人物描写があった方が好みです。

どっぷりと物語の世界に浸りたいというか。(ただし、古い小説ばかり読んでいる人間なので、これはほんとに個人の嗜好ですね

暗い話の中、爽やかなエンディングに救われました。ご自身の経験から得た切実な執筆動機があるのかなと勝手な想像をしています。

本筋にはまったく関係ないですが、寝起きのシーンで出た「しんどい」という言葉が大阪の人だな~と、とても親近感でした(笑)

次回もまたノワールで爽やかなお話を期待しています!

 

コメント (4)
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中之島&御堂筋イルミ 2016

2016-11-25 22:57:54 | 大阪

Snow White.

もはや冬の風物詩、イルミネーションの季節がやってまいりました♪

自由に設計できることや年の瀬らしい華やかさが人気なのか、最近は全国で目をみはるような凝ったイルミネーションが見られますが、本日はクラシカルなしつらえが老舗(?)の貫録を感じさせる中之島&御堂筋のイルミネーションをご紹介

中央公会堂もいつもとは違う雰囲気。

こうしたイルミはハイテクで制御。

この近くにあるスイーツのお店『五感』のクリスマスデコレーションも素敵なんです

ヨーロッパみたい。

 

市役所前を抜けて、さらに御堂筋へも足を延ばしました。

工事現場のキリンくんもおめかし?(笑)

 大切なあの人へ、一年に一度の心のこもったメッセージもお届け中

 

今日はそれほど寒くなかったので、光もまだほんわかしていました。気温が下がれば、ますます輝きが増すことでしょう。楽しみです

 

興味ある方はこちらもどうぞ(去年の写真です)→『中之島のイルミネーション』『御堂筋のイルミネーション』

コメント (2)
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