ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

『没後100年 宮川香山展』 【大阪東洋陶磁美術館】

2016-05-31 22:27:14 | アート

これは壺?

 

思いがけず時間が空いたので、大阪東洋陶磁美術館で開催中の『没後100年 宮川香山展』に行ってきました

幕末から明治にかけて活躍した初代宮川香山は、「真葛焼(まくずやき)」と呼ばれる中でもとくに『高浮彫(たかうきぼり)』の名人です。もともとは京都の人ですが、招かれて横浜に窯を開いたので、横浜歴史博物館の常設展示でその作品を見ることができます。

私も初めて見たのは横浜で、その精緻さにため息しか出ませんでした。わびさびの日本文化とは一線を画す派手な彩色や技術は、好みの別れるところですが、茶室よりはベルサイユ宮殿なんかに似合いそうな豪華さです。

一枚目の写真のアップ。

もはや実用は度外視。完全に美術品としての細工です。

これだけデコラティブに作るのなら、もう人形を作ってしまえばいいのではないかと言いたくなりますが、後半で実際に展示されていた単体の人形を見るとなぜか物足りなく、壺にくっついているという不自由さが、むしろその独特の魅力を引き立てているように思います。

日本人よりは外国人受けするものだったらしく、(だからこそ横浜に招かれた)その作品はほとんど海外にあったそうですが、香山研究者の第一人者である田邉哲人氏が50年をかけて買戻し、今は田邉コレクションとして日本に存在しています。

陶磁器は焼くと大きさが変わるので、仕上がり寸法の計算が難しく、ここまでの細工には相当な技術が必要なんだとか。

ディテールも正確で、生き生きとした動きが見事です。

ここに掲載したのは、写真OKエリアの作品ですが、代表作と言われるものはさらに精緻で、色も鮮やか。格は数段上です。

高浮彫は後年、細工が複雑になりすぎて、制作に何年もかかるようになり、商売としては全く採算が合わないので、次第に香山は、釉薬の研究に没頭するようになります。

こうした作品ももちろん展示されていましたが、撮影NGなので写真がありません。

形はぐっとシンプルになって、その分、肌の滑らかさと色の美しさが際立ち、とても優美な作品になっていました。個人的には、青色がお気に入り。いつも思うのですが、釉薬を吹き付けることによって生み出される景色はホントに素敵ですね。ランダムであり、かつ規則的でもあり。自然が生み出す美には理屈抜きで、ぐいぐい引き込まれて行きます。 

ところで、突然思い立って行ったので、美術館にたどり着いたのが閉館30分前。係員の人に閉館時間を念押しされ覚悟はしていたものの、見始めて10分くらいで、全部をじっくり鑑賞するには少なくとも1時間は必要と悟りました

しかも、途中で写真撮影に時間を取られ、後半はほとんど駆け足。常設展示に至ってはさらっと流しただけでした。でも、後半も常設展示も良いのがいっぱいあって、ちょっと後悔

ご興味ある方は、時間に余裕を持っての鑑賞をお勧めします。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大合唱♪

2016-05-30 21:11:32 | 動物

ときめーきをはこぶーよチューチュートレイ~ン♪

 

先日「ぼちぼち」でご紹介したつばめ君たちのその後を観に行きました。

前はこんなでした。

今日は・・・

ぎゅうぎゅうになってました

それにしても、夕方だったせいか、まったりモードで今ひとつ物足りないと思っていましたら・・・。

何やらそわそわし始めたと思ったら・・・。

大合唱

相変わらずママANDパパは速すぎて撮れません 子ツバメたちもぶれぶれ^^;

三脚とかないともはや無理でしょうか。

ママがいなくなっても、わたた、わたたと騒然としています。

良く見ると、真ん中と端っこの子では、育ち方が違います。

ぎゅうぎゅうになるのは、単に体が大きくなるだけではないんですね。2回の繁殖とはこのことでしょうか。

大きい子たちは巣立ち間近と思われます。

もうすぐお別れなんて、ホントにあっと言う間です。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花*花

2016-05-29 22:11:43 | 

何に夢中なの?

 

昨日、今日とお天気に恵まれず、外出が叶わず

なので、本日は少し前に撮った写真から。

こちらは西宮ガーデンズの屋上です。天気がよかったので、家族連れがいっぱい。

暑かったので、噴水は水遊びをする子供たちでいっぱい

 

そして、もう一か所のご紹介はJR大阪駅の『時空(とき)の広場』。5月31日まで展示されている花のオブジェです。

テーマは親指姫。中を通ると小さくなった気が・・・する?

花の下にはブランコが。

本物そっくりですが、こちらはすべてオブジェです。

 

この季節は、どこに行っても花が溢れていて楽しいです

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪っぽい時間

2016-05-28 23:02:54 | 大阪

『お染久松』

 

久しぶりに昆布の老舗『神宗』へ行きました。こちらはいつも文楽にちなんだ展示があって楽しいのですが、この日の展示は『新版歌祭文』から「お染久松 蔵の中」。油屋の娘お染と店の丁稚久松との悲恋というまことに大阪らしい題材です。

なさぬ仲の二人は最後に、蔵の内と外で心中を遂げるのですが、この憂いに満ちた表情はまさに恋する乙女のものですね。

 

その後通りがかった梅田・紀伊国屋書店前では29日の日本ダービーのイベントで、馬に乗っての撮影会の真っ最中。

ジョッキー気分を味わえます。楽しそう

 

お染の恋することもままならない時代から、隔世の感がある風景に妙な感慨を覚えました。

わずか一駅の距離に、二つの時間が流れているのが大阪っぽかったです

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夢が現実になるとき

2016-05-27 20:39:57 | つぶやき

数年前にNHKで放送された「ハーバード白熱教室」という番組をご存知でしょうか。

ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が『正義(Justice)』を、学生たちとの対話によって探求していく政治哲学の講義です。

数年前にサンデル教授が東大でその特別講義を行いました。そこで日本人参加者から出た問いの1つが『原爆をどう思うか』でした。

「政治」哲学とは言え大学の講義ですから、実際の日米の利害関係に踏み込むような議論にはならなかったですが、アメリカ人の教授が、日本人の参加者たち(中には広島生まれの方もいらっしゃいました)と真摯に原爆と向き合って対話するなんて、おそらく昭和には考えられなかったことで、未来への希望が生まれる、とても感動的な光景でした。

その時、こうやってお互いの理解が進んで、いつか、オバマ大統領が広島に来てくれないだろうかと、漠然と考えていました。

その「いつか」が、今日実現しました。

「レガシー」を作りたいだけで、謝罪もせず、実質的には何の意味もないという方もおられますが、被爆者の方がアメリカ大統領と抱き合うなんて光景を数十年前の日本人の誰が想像したでしょうか。この映像が世界に流れるだけでも何かが変わるのではと思います。

オバマ大統領の決断はもちろん、草の根的に原爆の悲劇の実際を伝えてきた方がいたからこその一歩です。

時間はかかっても、小さな一歩を積み重ねていけば、いつか、大きな実を結ぶ。

そう信じさせてくれる訪問でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする