ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

眠っているのは龍だけじゃないらしい。 ~京都・平安神宮~

2015-08-24 22:14:46 | 京都

 京都の有名観光地の一つである平安神宮ですが、長らく興味をそそられることはありませんでした。神宮としては時代が新しいこと(明治時代)、結婚式場としてのイメージが強く、山あいの温泉地が突然パルテノン神殿を再現したお風呂を作りました的な、企画物っぽい胡散臭さを感じていたのが原因と思われます(あくまで勝手な思い込みです)。

 ところが、川端康成の小説(たぶん『古都』)で、桜の名所として紹介されていたのと、京都の庭をチェックしていると、ちょいちょい平安神宮の神苑が出てきまして、どうやら自然も豊からしい?? というわけでその実態を確かめるべく、先日の若冲を見に行った同じ日に立ち寄ってみました。

 平安遷都1100年を記念して明治28年に創建されたこの神宮は、桓武天皇が開かれた当時の平安京の正庁、朝堂院が8分の5の規模で再現されているそうですが、8分の5でも十分広いです。昔の人の感覚はスケールデカすぎです。心なしか、空もいつもより大きく見えます。本殿両脇に植えられた平安時代を偲ばせる木々もいいですね。月日の積み重ねがないので、濃厚さは望めませんが、それでも古(いにしえ)の空気は感じることができます。

 

 神苑には、『源氏物語』や『枕草子』に出てくる草木を植えてあるのですが、季節的にお花がないのでちょっと寂しい感じです。でも、木の小道や清流が涼しげで、なかなかの癒しスポットです。

明治の造園家・小川治兵衛らが、平安京1000年の技法を結集して作られたという神苑。なかでも人気はこちら。 

臥龍橋(がりゅうきょう)です。なるほど龍っぽいですね。

石があれば渡りたくなる有名スポットなので、皆さん入れ替わり立ち代わりこの石をカメラでねらってますが、失礼して行っちゃいます。

てなわけで、臥龍橋からの風景。

 

 

この時期はやっぱり蓮ですね。

回遊式庭園なので、ぶらぶら歩いていると、どんどん景色が変わります。

 

そしてたどりついた泰平閣。皆さん景色を楽しんでいらっしゃいます。

ん~。平安のにほひ・・・。 

魚も淡水魚がいっぱいいたのですが、マニュアルでピントを合わせるという機転がきかずボケボケです(^^;)

今回は、時期がイマイチなので、あまり花は満喫できませんでしたが、桜だけでなく杜若、花菖蒲もあり、季節ごとに楽しめそうです。またタナゴやカワセミなど希少な生物も観測されるそうです。カワセミ、見たい~。眠ってるのは龍だけじゃないですね。涼しくなったら、またじっくり観察に来たいと思います。

 

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『伊藤若冲と琳派の世界』展 ~京都・承天閣美術館~

2015-08-22 21:38:15 | アート

 

  しばらく前から若冲が観たくてうずうずしていた上、今月で展覧会が終わる! とお尻に火がつき、相国寺承天閣美術館へ行ってきました。

 結論から申しまして、今月で終わってしまうのはmiho museumの『蕪村と若冲』の方で承天閣美術館は9月までやっていることが判明し、個人的スケジュールの都合上、miho museumはもう観に行けないことが確定、という鈍くさいオチがつきましたが(T_T)、この『伊藤若冲と琳派の世界』は、若冲好きにはたまらない絶品の展覧会でした。

 美術館のある相国寺は、足利義満が定めた臨済宗五大寺、京都五山の一つという格式の高いお寺で、夢想疎石開山、義満創建とあります。なるほど天龍寺や建仁寺だけでなく、五山之上(つまりは別格)南禅寺にも通じる、壮年の骨太な武士といった趣の、スケールの大きさを感じさせるところです。同時に、すぐ近くに同志社大学や京都御苑があり、町の中心といっていい立地にもかかわらず、道の奥まったどんつきにあるせいか、隠れ家的風情もあります。いや、隠れ家と言うよりは学究の徒が集う別荘という方が当たっているかもしれません。

 美術館はさらに寺の一番奥まったところにあり、緑豊かなアプローチがキレイです。大きいお寺にくるといつも思うことですが、古寺ではない、現役感あふれるたたずまいに、ちょっと肩に力が入ります。玄関で靴を脱いであがるというのも美術館らしくないです。

 二つの展示室があり、第一展示室は、茶道具や若冲以外の琳派の作家たちの展示でした。関西という土地柄なのか、楽焼(しかもかなり良い品)が多いのが目につきます。乾山とかがさらりとおいてあるのはさすが、という感じです。大ぶりな作品は少ないですが、琳派らしいものが多くて良かったです。

 中に尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一がそれぞれ描いた達磨像が並べてありました。琳派というと比べられることの多い3人ですが、やはりそれぞれの特徴がでていて興味深かったです。

 

 いつも思うのですけれども、俵屋宗達に始まって時代が下がっていくにつれ、骨太で明快な画風が、次第に線が鋭く洒脱になって肖像画の顔つきなんかも細く、きつくなっていきますね。達磨3代なんか見事にそうでした。時代の好みというのもあるでしょうけれども、文明が進むと人間って、どんどん神経が尖っていくのだろうなと思います。社会が成熟するにつれ、考え事や心配事も複雑になって、気疲れすることも多くなるのでしょう。大地が遠くなって人工の繊細さが勝るって感じです。これ、今でもそうですよね。例えば三船敏郎と最近のジャニーズの男の子たちの貌を比べてみると、がっちりから繊細への変遷が如実に見て取れると思います。

 かと思えば、現代にも通じるモダンさを残すものもあって、今回展示されていた光琳『蔦の細道図屏風』なんかそうでした(チラシ裏左側)。右隻と左隻を入れ替えても、どちらでも綺麗に意匠がつながるのです。左から右へ曲線がひずまない、計算され尽くしたデザインです。こういうのは時代をこえて粋だな、と思います。

 第二展示室はほぼ若冲。今回は、動物が多くて個人的にかなりツボでした。

 目玉はなんといっても、鹿苑寺(金閣寺)大書院障壁画です。鹿苑寺は相国寺の塔頭寺院(まあ、ゆかりの寺ってことです)なので、この美術館ができた時に受託されたとかで、これは常設展示で観られるようです。それぞれの障壁画が備え付けのガラス展示ケースに収められているので、一定の距離以上は近づけず(そしてたぶんここにあるのがオリジナル全部ではないので)、障壁画同士が空間でひびきあう感じは、もう想像するしかないのですけれども、一個一個の絵はとにかく素晴らしいです。筆に勢いがあるし、何より描く喜びに満ちている。禅にも深く傾倒し、師と仰ぐ大典からの依頼とあって、全身全霊をこめて描いたって感じです。300年近く前に描かれたもののエネルギーがいまだ伝わってくるのは凄いですね。

 これ以外にも得意の鶏や鯉、龍などなど、墨絵が多かったですけれども、これぞ若冲っていう作品が目白押しで、つい何度もぐるぐると巡ってしまいました。

 鶏と野菜を同じ画面に描いた一連の屏風がありましたが、どちらも若冲にとっては馴染み深い素材。鶏の尻尾がぐるんっ! と勢いのあるひと筆で描かれ、その頭には妙に愛嬌のあるまんまるな目。さらに足元で大根が踏んづけられていたりします。青物問屋の主人として世俗の苦労は絶えなかったかもしれませんが、素顔の若冲は存外おちゃめで、描くのは楽しくてしょうがなかったんじゃないかなと思ったりします。

 自分が動物好きなので、ついついそういう作品にばかり目がいってしまうのですが、躍動的な曲線はどれも生命力に満ちていて、対象への愛を感じます。ひよこを育てている雌鶏がいたり、一連の中にも営みがあって微笑ましい。眺めていると鼻歌を歌いたくなっちゃうくらいゴキゲンになってくるんですよね。卵みたいな鶴の胴体とか、ほとんどマンガですが、でも、いいんだなぁ。

 ここにくればいつでも若冲に会える。それもまた嬉しいところです。

 

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花の道から手塚治虫記念館へ ~兵庫県宝塚市~

2015-08-17 21:26:05 | 兵庫

宝塚歌劇の名作『ベルサイユのばら』の銅像。

ご無沙汰しております。暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、少し前に逸翁美術館と雅俗山荘に行ってから小林一三翁に興味が湧き、宝塚花の道に行ってきました。阪急グループ創設者として名高い小林翁ですが、実は宝塚歌劇生みの親でもあるのです。宝塚歌劇場へ行くには、『花の道』という遊歩道を抜けていきます。

花の道入り口。

花の道の両サイドは、以前は古い木造家屋が多くて、阪神大震災の時には全壊に近い状態だったのですが、今では綺麗な建物がたくさん立ち並び、傷跡は全く感じられません。

宝塚大劇場のエントランス。

うんと子供の頃、宝塚歌劇を観に来たことがありますが、そのころはまだ宝塚ファミリーランドという遊園地があり、その敷地内に大劇場があったので、もっとファミリー向けな感じでした。今はヨーロッパ調というか宝塚調というか、文化的たたずまいです。

 

そばには小林一三「先生」の像が。

うーん、タカラジェンヌにとっては大事な方なんですね。

さて、この花の道をぬけると意外な所にたどり着きます。

手塚治虫記念館です。

火の鳥がお出迎え。

お盆の時期だったのですが、国内外問わず、たくさんのギャラリーがいました。手塚人気は不滅です。この火の鳥の周りには手塚キャラクターの手型、足型が埋め込まれていて面白いんです。めぼしいキャラはだいたいあるんですが、中には

お茶ノ水博士! 愛らしい鼻型つき(笑)。ていうか、鼻がないと誰だかわからないですね。

カラフルな入り口。

手塚治虫幼少期に描いた昆虫標本とかマンガとか、興味深い展示もいっぱいあるのですが、ここのウリは何と言っても手塚治虫マンガ図書館。

手塚マンガがいっぱい置いてあって読み放題なのです。

見たことのない短編集とかも置いてあるし、日本語以外の海外版もあるので、たくさんの人が読んでいました。

すごいですね~。

手塚治虫は宝塚市に住んでいたそうで、なんと隣人はタカラジェンヌだったとか。そういえば昔、宝塚歌劇のテレビドラマで、絵ばっかり描いてる男の子がいて、それが「後の手塚治虫」と出ていました。そのご縁あってのこの記念館なんですね。

もともとは温泉街だった宝塚。湯の街らしい鄙びたゆるーい雰囲気と宝塚のモダンさがミックスされた不思議な空間です。

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しばらく不定期更新になります m(_ _)m

2015-08-11 21:25:41 | その他

また遊びに来てわん。

 

いつも、当ブログにお越しいただきありがとうございます。

さて、このところ私事多忙につき、書く時間はもとより、ぶらっとする時間が取れなくなっております

つきましては、しばらくの間、毎日ではなく不定期の更新とさせていただくことにしました。目標は週2~3回かな・・・。

もちろん、ぶらっと良いものみつけたら、順次アップするつもりです

その時は、どうぞぜひまたお越しくださいませ。お待ちしておりますm(_ _)m

 

本日は、困った時の阪急百貨店本店(笑)。相変わらずの愉快なディスプレイです

 

 

 

 

 

 

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魚崎郷の酒蔵めぐり ~兵庫県神戸市~

2015-08-10 22:33:53 | 兵庫

昨日ご紹介した倚松庵のあるポートライナー魚崎駅のお隣、南魚崎駅に、灘五郷のひとつ魚崎郷があるというので、帰りに寄ってみました。歩ける距離だったので、住吉川のほとりをたどっていくことに。

子供たちが水浴び中。気持ちよさそうです。

網を持っていたので、川をのぞいてみると、たくさんの魚が泳いでいます。この辺りでは水をキレイにする活動が行われているそうで、なんと最近ではアユがいるらしいです。何枚か撮ってみたのですが、相当拡大しないといるとわからない。しかもピントあってない(T_T)。

この中に魚がいるんです。興味ある方は拡大してみてください(笑)。

そうこうしているうちに菊正宗記念館に到着。

この辺りは、阪神大震災のときにかなり大きな被害を受け、この記念館も倒壊したそうです。土に埋まったのを社員総出で掘り起こしたという資料が展示されていました。

震災のエピソードを聞いてから見ると感慨深いものがあります。

売店コーナーでは無料で利き酒ができます。今回は季節限定販売の梅酒。さわやかで美味しゅうございました。

桜正宗記念館。

わりと最近リニューアルしたので、まだ新しい感じです。ここにはレストランやカフェが併設されてます。

浜福鶴吟醸工房。これは吉野杉の酒樽だそうですが・・・

中では近代的な醸造工房が見学できます。

そのほかにもたくさんの酒蔵がありましたが、どれもキレイで震災の後を感じさせないのが凄いですね。

菊正宗さんで利き酒をした後、浜福鶴さんで大吟醸ソフトクリームをいただき、ほろ酔い気分で魚崎を後にしました

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