ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

「私」と出会う旅 ~国立国際美術館~

2016-04-29 21:01:51 | アート

注・絵ではなく、写真です。

 

国立国際美術館で開催中の大阪在住のアーティスト・森村泰昌『自画像の美術史 「私」と「わたし」が出会うとき』を観てきました。

有名画家の自画像を真似る作品がメインの展覧会です。数年前にテレビで芸人さん? と思って観ていたら、その仰天のクオリティに目が釘付け。以来、本物を観たかったのです。

なんと今回は会場内部の撮影がOK! 遠慮なく撮影してきました^^

いっぱい撮ってきたので、本日のブログはとても長いです それではまいります。 

いきなりのダ・ビンチ像。激似です!!

眉の毛の長さまでそっくりなのでは・・・。

至近距離で眺めると様々な色が注意深くのせられているのがわかります。

写真はかなり大きくて、この大きさでこれだけ似ているなんて信じられません。あまりの迫力に思わず笑ってしまいました。

この笑いはなんでしょう? 実利的でない事柄に、大真面目に時間と労力をかける壮大な馬鹿馬鹿しさに対する敬意、とでもしておきます。

この後もこうした自画像のオンパレード。

やっぱり笑ってしまう・・・。

『デューラーの手は、もうひとつの顔である』

この手はなんと作り物です。横に飾ってありました。

ながーい指。

デューラーにとって自分の手は、画家としての自負心の端的な現れだったんでしょうね。強烈なプライドが伝わってきます。もちろん、デューラーの。

森村氏のサイトで一部作品の制作過程が写真付きで紹介されていましたが、とにかく何回も写真を撮って、ディテールを微調整しての繰り返し。1作品で100枚以上撮ることもあるそうです。

忠実に再現されている部分(オリジナルに同化していこうとする意識)と、どれだけ加工されてもなお個性を覗かせる森村氏の肉体が同じ空間でぶつかりあって化学反応が起き、それが心を揺さぶってきます。

 フェルメール。自画像ではありませんが・・・。

表情がオリジナルの女性にとても似ています。

窓は現代のサッシだし、壁はコンクリート、イーゼルやキャンバス、机も3次元のリアルなもの、そして何より人物が女装した男性、というナマナマしい素材だらけなのに、全体として感じるのは間違いなくあのフェルメールの静謐さです。

女性をモチーフにしたものは、これ以外にルブラン夫人があって、これがまた美人でした

メイクアップやかつらは資生堂のプロの方が担当されているそうで、森村氏のイメージを忠実に再現するのに大きく貢献しています。名画というものは、構図や色、造形物のラインのすみずみまで制作者の意図があって、「神は細部に宿る」の言葉通り、それを忠実に再現してゆけば、オリジナルと同じものが立ち上がってくるんですね。それに森村氏の肉体と現代の造作の異化作用があって、鑑賞者は素直な感動と少しの居心地の悪さで、なんとも言えない妙な気持ちになります。

 

『クールベ/心に傷を負う快感』。もはや一遍の物語です。

思わず、彼の痛みに感情移入して、もらい泣きしそうになりました

 

言わずと知れたゴッホ。

塗りまくってます。

上着にまで。

後ろのミニチュアがルソーっぽい。

 

似てるなあ。ばっちりのアイライン。

ルソーはお気に入りです。色彩と肉体のコラボがたまりません。 

ゴッホの感情のうねり、ぽやっと見えて案外頑固なルソーとそれぞれの人柄がくっきりと浮かび上がってきます。

色を背負うことは、作り手の情念を背負うことでもあります。

続いては、レンブラント部屋。

こちらではレンブラントの歴代の肖像画を時系列に沿って再現しています。

二枚目が最後はずいぶんエグイ顔に^^;

ほかにもたくさんの画家が出てきました。ずららっと並べてみます。

ゴヤ。頭のバケツにご注目。

小林幸子的フリーダカーロ。

日本の画家も。

この他にもインスタレーション的作品やざわちんメイクっぽいモデルの小夜子の自画像、映像で再現したウォ―ホルとそのモデルなど面白い展示がいっぱいありました。最後にお気に入りの写真を2点。

『駒場のマリリン』

『エルミタージュ美術館』

ちなみに、これらとは別に1時間ほどの映像作品もあったのですが、時間の都合で観ることができませんでした。それぞれの画家に扮した森村氏が登場する(最後の晩餐を模して全員が座っていました)、面白そうな作品だったので残念です。 

森村氏の身体が描くラインは美しく、表情もオリジナルをとてもよく捉えているので、お芝居が上手そうと思って観ていましたが、ご本人は、もちろん演じているのだけれども、それよりも内側にある異なる自分を掘り起こす作業をしている意識が強いみたいですね。

1つの作品にはとても多くの人が関わっているし、いろんな場所へ出かけて行っているのですが、写真の中にいる森村氏には、艶っぽい表情の時も、尊大な素振りの時にも孤独の影がまとわりついています。その辺が笑いながらも引き込まれてしまう由縁でしょうか。

細部をまねるということは、対象である絵の中に入り込み、かみ砕いて深く理解しないとできないことです。森村氏はそうやって、絵の作者、ひいては世界と対話をしているのだなと思いました。それはまた、鑑賞者自身が内なる自分や世界と対話することに繋がっている気がします。

写真でも十分おもしろいですが、本物はもっとインパクトがあります。楽しいひと時でした

とても長くなりました。最後まで読んでいただきありがとうございます 

コメント (2)
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ダイビルの鯉のぼり

2016-04-28 21:49:21 | アート

力作です。

明日からいよいよGWに突入。心なしか街が浮かれているような

そんな日に通りがかったダイビルで鯉のぼりを発見!

いつもはクールなエントランスが美術館に早変わり♪

金色の口元がいいですね!

素人作とは思えない色使いとデコレーションなのに、パーツはどうみても子供の手作り。帰って調べてみましたら、ダイビルの企画で、一般参加の子供たちがプロの講師と行ったワークショップの作品でした。

紙皿のうろこがカワイイ。中国のお祭りに出てくる龍に似ています。

中之島ダイビルで展示中です。

重厚なファサード。

去年、高槻の鯉のぼりを見に行った時にも手作り鯉のぼりがたくさんありましたが、こうやって作ったものが展示されていろんな人に見てもらえるのは楽しそうですね。大人向けもぜひやっていただきたいものです

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いけだ散歩 ~大阪府池田市~

2016-04-27 21:25:03 | 大阪

実は図書館です。

池田城址公園のテッポウユリを見に行ったら、残念ながらその日は休園^^;

そのまま帰るのもなんなので、池田文庫に寄ってみました。

こちらは阪急電鉄の創始者・小林一三が宝塚新温泉内に作った図書室から始まったそうで、阪急電鉄や宝塚歌劇の資料、さらには民族芸能関係の資料が揃っている専門図書館です。

小林翁ゆかりの茶室が併設されているので、図書館らしくないしつらえ。

やたらある燈籠。

小林邸から移築された「大小庵」。先客がいました。

やあ。

特等席でのんびりしていたところを邪魔してしまいました。ごめんね。

ツツジもキレイでした。

お茶室はもう一つあって、そこではお稽古が受けられるそうです。ちょっと行ってみたいです

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定点観測

2016-04-26 20:25:44 | 動物

卵はまだ?

 

先日ご紹介したツバメのその後を見に行きました。つがいが交代でごはん探しに奔走していますが、卵があるのかどうかは不明です。以前見た時は、背中の羽根の色がまだらで随分若いなと思ったのですが・・・。

このコは黒いですね。

同じ巣を見に行ったのですが、先日から成長した同じツバメか、はたまたその相方かはわかりませんでした。

近くには別のつがいも居ます。

お仕事帰り? 胸元が土で汚れています。

雛に会うにはもう少し時間がかかりそうです

コメント (2)
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『真田太平記』を読みおわりました!

2016-04-25 20:59:22 | つぶやき

 

年明けから読み始めて3ヶ月あまり。『真田太平記』全12巻を読み終わりました

十代から四十九歳まで、三十年もの月日を駆け足ながら信繫たちと過ごしてきたわけですが、思い通りに行くことのほうが少ない人生だったけれども、己の信じるところで最善を尽くして闘う姿には深く感じるものがありました。それは信繁に限らず、父・昌幸や兄・信幸(のち信之)、また真田家に仕える忍びの者たちまで皆の生き様がそうでした。

信繁の最期は悲しかったですが、同時に素晴らしく輝いていて、カッコよかったです。

池波正太郎が凄いのは、登場人物たちみんなの人生をきちんと描いてくれるところですね。たとえ途中で死んでしまう人物にも歴史があり、それぞれの思いの中で生を全うしていく。生身の人間の重みがありました。

結局のところ人間の充実は、今の自分が持っているものをどれだけ活かして生き切るか、なのかもしれません。

今日、たまたまテレビで見ましたが、『真田太平記』は累計1100万部なんだそうです。こんな大部の物語が

次に読むのは10年後くらいだと思います(笑)。また信繁たちに出会うのが楽しみです

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