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応挙は雪松、 呉春は白梅。【逸翁美術館】

2018-01-28 22:34:26 | アート

 

さて、池田にやってきたのは逸翁美術館の展覧会鑑賞のためでした^^

お目当ては応挙の『雪中松図屏風』。三井記念美術館にある国宝『雪松図屏風』の習作と言われている作品です。三井美術館の『雪松』にくらべれば構図も締まりがないですし、墨の濃淡や線の一本一本も探りつつ描いているのか、いわゆる本意気でない感じ。三井美術館の『雪松図屏風』は数年前に一度観たきりですが、あの迫力と完成度は研鑽と探求の賜物なのだとわかり、とても興味深く鑑賞しました。

ところで、今回の展覧会はタイトルどおり応挙らの円山派と呉春らの四条派の作品を展示しているのですが、その見分け方ってご存知でしょうか?

館内の解説によれば、対象が飛び出してくるように見えるのが円山派、対象の奥に広がる世界を感じさせるのが四条派だそうです。確かに応挙の雪松は眼前に迫ってくるし、呉春の白梅は、自分の記憶にある闇夜の冷気やそこに浮かび上がる白い花びらのくっきりとした輪郭を蘇らせてくれる、とても叙情的な作品でした。バックが黒じゃないっていうのが良かったですね。色が素敵です。

東京で鑑賞していたときは、作家の出自なんてあまり気にしていませんでしたが、今回、応挙の『嵐山春暁図』が出ていて、見覚えのある山の形と木々に、時代こそ違え、応挙も私と同じ景色を見ていたのだと知って、とても親しみが湧きました。応挙や呉春、そしてその弟子たちが、季節の草花や愛らしい小鳥たちを描いて市井の人たちを喜ばせ、京都の地を愛し続け、そうした流れの中に竹内栖鳳や柴田是真など現代の作家の名前があって、さらにそれを受け取る私たちに繋がっている。展覧会とか、何々派、などと言われるとかしこまって鑑賞しがちですが、いつの時代も些細なことに泣き笑い、心が動いたからこういう作品を描き、愛でるんですよね。そう思って観ると、作者だけでなく当時の庶民の息遣いも感じられる気がします。現在の自分を取り巻く町や景色が紡いできた時間を通して、これまでの風景が違って見えてくるような、そんな展覧会でした


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