(幻冬舎ルネッサンス)
当ブログにコメントをいただいたご縁で存在を知りました神崎和幸さんの小説『デシート』。
実はかなり前に読了しておりました。
が、ご本人の目に触れるかもしれないと思うと、なかなか感想をアップできませず
書きそびれているうちに、昨日、再び神崎さんから当ブログにコメントが。あああっ
ありがとうございます
というわけで。
ノワールな探偵小説と言えば、チャンドラーにハメット、後はせいぜいディック・フランシスくらいしか思い浮かばない身としましては、現代の探偵のハイテクぶりにまずびっくり仰天。危ないところへ乗り込む時はあらゆるデジタルを駆使して証左を残す。凄いですね。そして時には、はったりも必要、と
この辺のディテールはさすが経験者のリアリティがあって、興味深く拝読しました。プロットも入り組んでおり、素晴らしく理系で今っぽいストーリーです。
その一方で、主人公が引きずる影や、ざらっとした暗い色調の映像を思わせる情景は非常にアナログ。チャンドラーの匂いがします。(もしかしてお好きですか?)
ただ、文体は当世風の直接的心情吐露よりも、もう少し情景や人物描写があった方が好みです。
どっぷりと物語の世界に浸りたいというか。(ただし、古い小説ばかり読んでいる人間なので、これはほんとに個人の嗜好ですね)
暗い話の中、爽やかなエンディングに救われました。ご自身の経験から得た切実な執筆動機があるのかなと勝手な想像をしています。
本筋にはまったく関係ないですが、寝起きのシーンで出た「しんどい」という言葉が大阪の人だな~と、とても親近感でした(笑)
次回もまたノワールで爽やかなお話を期待しています!