ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

オフィス街ど真ん中の歴史的建物 ~大阪市中央区 適塾~

2015-04-30 21:26:21 | 大阪

近代的ビル群の中に突如出現する幕末な建物。

 大阪の陣400年とか、大阪都構想の住民投票とか、何かとアツイ大阪市ですが、実は私的にも密かなブーム。だって、気づいちゃったんです。淀屋橋や中之島近辺は歴史オタクにとってのワンダーランドだって。

 歩けば歩くほど面白く、実は来月のブログのサブテーマは、大阪にしようと思ってます。タイトルは『大大阪時代』。詳細は近日公開です。お楽しみに(笑)。

 で、本日はひと足早く適塾のご紹介。

歴史を感じる適塾の塀。

 適塾ってご存知ですか? そういえば、歴史の教科書で見たような・・・でもなんだっけ? て感じじゃないでしょうか。私はそうでした。このあいだ、大阪アートフェスタを回る時に使った地図に、ぽつんと『適塾』って書いてあって、うーん、なんだっけ??? 

 調べてみたら、緒方洪庵の開いた蘭学塾とのこと。緒方洪庵。ああ、TBSのドラマ「仁-JIN-」の武田鉄矢ね! って、ざっくりな認識ですみません。ちなみに適塾の名前は、洪庵の号、適々斎からきているそうです。

たぶん、江戸時代には洪庵先生の商売敵(笑)。

『仁-JIN- 』での武田洪庵のイメージは、穏やかで、先を見通す聡明さがあって、最新の西洋医学の専門家。そして病弱。ああ、それから大阪から単身赴任して寂しいひと、でした。だから、仁の心の痛みを唯一、理解してくれる人だったんですよね。幕府に乞われて江戸に出てきて、1年ぐらいで結核で亡くなってしまいました。54歳。今なら全然早逝です。

 洪庵はもちろん優れた蘭学者、医学者でありますが、同時に優れた教育者で、門下生には福沢諭吉、橋本佐内、大村益次郎などそうそうたるメンバーがいます。漫画家・手塚治虫の曽祖父・手塚良仙もここの門下生だったそうです。この方を主人公の一人として、手塚治虫は『陽だまりの樹』を描いています。また、司馬遼太郎の小説で、大村益次郎を主人公にした『花神』も有名ですね。

 つまりはそれほど魅力的な人、ドラマが詰まったところだったのでしょう。

きちんとしたお家って感じです。塾生、家族が同居してました。

 洪庵は、備中足守藩(岡山県)の下士の生まれですが、病弱だったので武士をあきらめ医者を目指したとあります。そのせいでしょうか、適塾の雰囲気は、まさに町人のものです。子供の頃に行ったおじいちゃん家に近い。現在残っている適塾は、初代の適塾が繁盛して手狭になったため移転した後のものですから、敷地もかなり広く、羽振りが良かったのが伺えます。全国各地から集まって西洋の医学を勉強していたからでしょう、自由闊達な空気と広い視野を感じられる空間でした。とにかく風通しがいい。

奥に見えるのが洪庵先生愛用の机。くーっ。

 政治家を目指す人や教育者、初めて赤十字博愛精神を実践した高松凌雲など、門下生はあらゆる分野で活躍してます。私は関東に住んでいた頃、やはりあちこちの史跡を巡ったのですが、基本は江戸幕府に関わるもの、つまり、中央政治の厳格さ、ま、エリート臭っていうんですか、がにじんでる場所が多かったです。義理とか規範とか、四角四面なしんどさを感じました。もちろん、それが、無駄をそぎ落とし、形式化された美しさに昇華されている場合もありますけれど。

縁側からの景色。シュールです。

 それにくらべて、この適塾は繁華街のど真ん中、しかも当時は、実際的な医療所としても繁盛していたわけですから、そうした江戸の史跡に比べたら、感覚は全然現代人に近い気がしますし、中央政府から距離があるのが良かったんでしょうかね。時代にとらわれずなおかつ、俯瞰で世間を見られていたような気がします。

急すぎる階段で2階へ。この角度、信じられます?

 オランダのヅーフ船長が作ったヅーフ辞書を勉強するヅーフ部屋とかあって、そりゃもう勉強するものにとっては願ったりな環境なわけです。

「ヅーフ部屋」。一冊の辞書を争って取り合い勉強したそう。ちなみに辞書は、部屋持出厳禁でした。

塾生大部屋。慶應義塾の「塾」はやはりここから来たのか?

やっぱり急すぎる階段で1階へ戻る。みんな元気だったんだね(^^;

 以前、生涯教育を受講していた頃、慶應義塾大学の図書館に行ったことがありますが、勉強机はたくさんあってどれも立派だし、目を見張るぐらい何でも資料があって、こりゃ、好きなだけ勉強に没頭できるな、と感心した覚えがあります。適塾から福沢諭吉先生が受け継いだ精神が今もそのまま残ってるんでしょうね。

適塾の窓から。隣はサラリーマン憩いの場所のようです。

 現在の適塾は北浜駅と淀屋橋駅の丁度中間ぐらいにあって、周りは大阪屈指のオフィス街です。ちなみに近くには薬の街と言われる道修町があって、その関係で製薬会社のオフィスが多いそうです。それから金融機関。ま、この辺のところは後日改めてアップしますね。

 

すぐ傍には、こんな近代的なビルが。

 記憶を頼りに行ったので、一発ではたどり着けず、ふらふらして迷いかけ、通りがかりの人に道を聞いたはいいが、

「は? 適塾? いやあ、知りませんわ~」(「なんやそれ」、のニュアンス含む)というお答え。

 生き馬の目を抜く大阪のオフィス街で日々働く人にとっては、とりたてて興味を引く場所ではないみたいです(笑)。 ま、そうですよね。それが日常ってもんです。


 ちなみに適塾の裏にある愛珠幼稚園(現在耐震工事中)は、元・銅座(銅山から荒銅を買入れ、大阪で精錬させ、集荷して、長崎へ回送していた)でここも立派な建物です。工事が終わったら、一度見てみたいものです。

適塾ご近所で繁盛しているお好み焼きや。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

近所の花探検

2015-04-29 19:34:25 | 

 うちの裏手に山がありまして、だからという訳ではないのでしょうが、ご近所の敷地、あるいは遊歩道や公園そばに、意外といろんな花があることに気がつきました。しかも最近(笑)。

 というわけで昭和の日の本日、カメラ片手にご近所探検。まずは藤棚から。宇治平等院の藤も3年ぶりの見ごろを迎えているそうですが、こちらも満開です。近くでみると花というより、皮むけかけの綺麗なソラマメって感じです。ってどんなや。

立派な木です。

うーーん、実じゃなくて、花なのが不思議・・・。

 続いてボタン。こちらも満開です。

シャクヤクにしか見えないですけど、ボタンらしいです。なぜだかボタンたちは道からそっぽを向いていて正面が撮れない(^^;

奥が紅い・・・。

これだけつつじがあるせいか、虫さんの数もハンパない。花は撮りたいけど怖くて近寄れん

仕方ないので、駐車場側の柵ごしに撮影。柵ごしだから安心。って、虫はダダ抜けできる大きさですが、

幸いにもお花に夢中。飛んでます!

もこもこお花のじゅうたんでお仕事中。虫がいるから鳥もいて、鳥がいるから山もキレイ・・・

って唱えてみるけど、あああ、やっぱり怖い。

おおおっデカい。アカーン!!(T_T)

 気を取り直して探索再開。

もうすぐ5月ですね!

桜の木もすっかり新緑です。

こでまり。

これなんでしょう? かわいいですね。

このブロックの穴のところにわざわざ種を蒔いたのでしょうか? 想像すると微笑ましいです。

 暇つぶしのつもりでしたが、意外と楽しめるご近所探検でした。でも、旅の情緒がないのはつまんないかな。当たり前ですけど。

 最後までご覧いただきありがとうございました。それではまたのお越しをお待ちしております。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

泣く子も黙る世界遺産 ~京都 東寺(教王護国寺)~

2015-04-28 22:35:14 | 京都

 春季京都非公開文化財特別公開(ああ言いづらい)第2弾。世界遺産の東寺(教王護国寺)のご紹介です。ここは気軽に見られる京都世界遺産ベスト3に入るんじゃないでしょうか。見どころも多いです。お庭は綺麗ですし(春には桜のライトアップもあります)、なんといってもこの五重塔ですよね。近代的道路のすぐそばにそびえ立つこの塔、近くでみるとやっぱり迫力です。鐘なんか鳴ろうものなら、おおおってのけぞっちゃう。重厚~。新幹線の窓からも見えるこの五重塔は、京都のシンボル的存在と言えます。日本で一番高い五重塔だそうです。

 今回の特別公開は、この五重塔の初層内部が拝観できます。私はお正月特別公開で行きましたが、心柱(しんばしら)が印象に残りました。その技術が東京スカイツリーにも応用されている、建物の真ん中に一本ずしんと通っている柱です。五重塔内部ではこの心柱を大日如来に見立て(見立ててるのではなく、そのものかも)周りを四尊の如来、八尊の菩薩が囲んでいます。古い建物なので、痛みが激しいところもありますが、信仰の場としての、引き締まった空気が歴史を感じさせます。

 そして、こちらが国宝の御影堂。弘法大師がお住まいになったといわれている場所です。毎朝6時から生身供(しょうじんく)が行われています。今でも生きていると信じられている弘法大師様にお食事をお出しする儀式ですね。

 今さらここで書くまでもないかもしれませんが、この御影堂が有名な理由の一つは、司馬遼太郎さんの『古寺巡礼』によるものです。写真の左側に看板が少し写っています。

「京の寺を歩くには平安京最古の遺構であるこの御影堂から始めるのがふさわしいから」という理由で、司馬さんは、人に京都を案内する時は、いつもここで待ち合わせをしたんだそうです。

 ・・・なにせ、泣く子も黙る世界遺産ですから、皆様すでにあちこちのブログでこの辺のことは書いてらっしゃるんですよね。しかももっと詳しく美しい写真付きで(^^;)

 まあ、でも基本は抑えておくべきかなと思うので書きました。

 私の東寺に対する印象は、凄く開けているのにきっちりと勤めを果たしていらっしゃりそうなお寺。弘法大師の偉大さなのかなと思います。

 私が東寺をよく訪れるのは、お正月に御宝印を授受してもらいにくるからです。毎年1月3日、厄除けを祈願して、御影堂内の柱、お坊様の頭に御宝印を押していく法要があります。そのあと、御影堂の南側で一般の方にも御宝印を授けてくださるのです。

 偉いお坊様がたくさんのお坊様を引き連れて真言(のうまくさんまんだばあさらだんせんだんまあかろしゃだそわたやうんたらたかんまん)を三度ずつ唱えながらカカン、カンとリズミカルに、柱に朱を押して行きます。すべての柱に押し終わったあと、一般の方への授与が始まります。

 500円で半紙1枚に6個いただけるのですが希望者は頭にも直接押してもらえます。

 この御宝印を知ったのは偶然で、新幹線に乗るまでの時間つぶしに(不敬ですみません)東寺を訪れ、たまたま行列を見かけたのです。東日本大震災の翌年でしたが、その時に漏れ聞いたお坊様の話によると、前年とは考えられないくらいたくさんの人が並んだそうです。行列は年々増え続け、今ではけっこう並ばないといけなくなったので、実は今年は挫折して行ってません(^^;)寒いんでね・・・。

 弘法大師の念持仏だったので、この御影堂には不動明王が祀られているのですが、法要の時には御影堂の南側、不動明王の御宝前で護摩が焚かれます。御宝印を待つ場所が、いつもその護摩法要の前なので、見るとはなしに見ることになるのですけれども、たくさんの方の願いが書かれた護摩木をひとつひとつ丁寧に矢倉に組んでは火にくべていく作業はまさに、祈りという行為にふさわしくみえます。

 特に、東日本大震災の翌年は、私の勝手な想像ですけれども、祈ることしかできない無力さのなかで、それでも淡々と一心に焚いているように見えました。私は特別に信仰を持つ人間ではありませんが、そんな姿を見ていると自然と敬虔な気持ちになって、手を合わせたことを覚えています。

そして。

その護摩供養の前に、私の大好きなお身ぬぐいの亀くんがいます。

 

すいません。あふれる愛のあまり迫力のどアップです。カワイイ 牙すらカワイイ。

興味ある方は記事『ご機嫌なカメ』ご覧ください。

 五重塔だけでなく、お庭、御影堂、亀くん(笑)と盛りだくさんですが、まだあります!

 数々の傑作彫刻が並ぶ金堂と講堂。特にオススメは講堂の立体曼荼羅です。弘法大師は仏の教えを皆にわかりやすく示すために、この立体曼荼羅を作られました。が、残念ながら私には難しいことはわかりませんが、(^^; その美しさだけはよーくわかります。

 美術館ではないので照明もうす暗く、360度の角度で観られないなど難点もありますが、ホームにいるというくつろいだ雰囲気は感じられるかもしれません。どうぞ目を凝らして、できる限り近寄ってご覧になってみてください。その精巧さ、生き生きとした様に驚かれると思います。

(というのも以前、これらの一部を博物館で観たことがあって、美術品として充分以上に楽しめましたが、信仰の対象としてはちょっと減点、て感じでした)

 特に気に入ってるのが持国天と帝釈天です。持国天はその憤怒の形相、帝釈天はその静謐で整ったお顔が忘れがたいです。神様が憤怒の顔、というのも当時は衝撃的だったようですね。弘法大師のお声がかりで超一流の人たちを集めて創られたわけですから、極上品なのは間違いないです。

 こうやって書いてると、また見たくなってきました(笑)

 さすが泣く子も黙る世界遺産。見ごたえ十分です。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴキゲンな朱色 ~京都 伏見稲荷大社~

2015-04-27 23:18:50 | 京都

 4月29日(水)から京都の非公開文化財特別公開(ややこしいですね(^^;))が始まります。

 京都及び近郊の19か所で、日頃は見られない文化財が公開されるという貴重な機会なので、どこかには行こうと思っているのですが、今日は一足お先に、そのうちの一つ伏見稲荷大社をご案内。今回公開されるのは、お茶屋(重文)や松ノ下といったところだそうですが、残念ながらベタな部分しか知らない私。というわけで、ザ・伏見稲荷な景色をご紹介です。

 伏見稲荷ってあまりに有名スポットなので、何か既に行った気にならないですか? 私は長らく行ったつもりだったのが、ある日冷静になって考えたら、「行ったことないじゃん!?」と気づいたという・・・。

 で、スケジュールの都合で訪問したのは、ご覧の通り正月三が日のど真ん中(おもいっきり「賀正」の幟が見えますね。季節外れですみません)。近畿で一番参拝者が多いといわれる伏見稲荷、確かにハンパなかったです。

 でもね!

 すっっっごい気持ちいいんですよ!!! 

 私はひと目で気に入りました

 まず、駅がカワイイ。京阪の伏見稲荷駅を利用しましたが、伏見稲荷の参拝以外ほとんど人は降りないんでしょうね。ちっちゃくて素朴な昔ながらの駅。

 改札出れば、伏見稲荷はすぐそこです。社殿にむかって緩い上り坂になっていて、大きな鳥居とお狐様が見えるのですが、すこーんと抜けた開放感がたまらんです。別に霊感とかないですけど、まさに気のとおりが良いって感じ。そして、高い空にすっくりとそびえ立つ朱塗りの鳥居と本殿。朱色に塗るのは魔除けと防腐効果のためらしいですが、この朱色と空の青のコントラストがまあキレイ どんなに落ち込んでてもここ通れば一発で元気になれる気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

やたら凛々しいお狐さまたち。いろんなものを加えてます。

伏見稲荷大社の歴史は古く、奈良時代和銅4年(711)2月初午の日に、ご祭神である稲荷大神さまがこの稲荷山に御鎮座されたのが始まりとか。間に応仁の乱で焼かれたりとか、お寺が中におかれたりとか紆余曲折はあったみたいですが、今は大らかなオーラで出迎えてくれます。このおおらかさは、稲荷山全体がこのお社であるということとかかわりがあるのかもしれません。

商売繁盛とか家内安全などのご利益ももちろんあるのですが、基本は「五穀豊穣」であって、ホントに生活の基本となる部分の神様だからっていうのが、豊かさを感じるもう一つの理由かも。稲くわえてるお狐様もいたしね。ちなみに狐は神様の使者であって、神様は本殿にいらっしゃいます。人から、私が持ってる星の中に「午」が入っているから、初午の日に御鎮座された稲荷大神さまとは相性がいいんだよと言われました。んん~、そうなのかなあ。午持ちの特権?なの、この気持ちよさ。どなたか星に午を持っていない方、行ってみてください。

ここに来たらやっぱりくぐらないとね。

はい、くぐりまーす。

お嬢ちゃん特等席!

ちょっと奥まできました。でも人は減らない・・・。

 ここを気に行ったもう一つの理由は、遊び心があるところ。

これ可愛いでしょう? 穴にお金を投げ入れるんです。通るとたぶん良いことがある。何かはよくわからない(笑)。でも大体、外れてました。もちろん私も。

写真には撮りませんでしたが、鳥居がひと段落する奥社奉拝所というのがあって、そこにちょっと大き目の石が置いてあるんです。願掛けをして、その石を持ちあげて自分が思ったよりも軽かったら叶って、重かったら駄目っていうんだけど、なんか、ざっくりな占いだと思いませんか? 持ち上げて「うん、絶対に軽い!!」って言い張ったもん勝ちみたいな(笑)。当たるも八卦当たらぬも八卦。こういうざっくばらんさ。大好きです。

あちこちにあるお狐様。みんな凛々しい。

 

 

 

 

 

 

この時は、奥社までしか行けませんでしたが、実は鳥居は山の頂上まで延々とあるんです。今度行くときは上まで登ってみたいです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネパール地震に思うこと

2015-04-27 20:45:57 | つぶやき

 このところバタバタして久しぶりに体調を崩し、昨日は更新ができませんでした。楽しみにしてお越しくださった方がいらしたらごめんなさい さあ、今日は張り切って書くぞ! と思っていたのですが、大変なことになっているネパールの地震。素通りすることもできなくて、まずはこちらをアップです。

 なぜネパールの地震がそんなに気になるかというと、ポカラ在住の友人がいるからです。地理的なことは詳しくないので今ひとつ状況がつかめていないのですが、ニュースを観ている限り、カトマンズほどではないにしてもポカラに被害が出ている可能性はありそうですが、詳しいことは不明。彼女はカトマンズにもベースがありましたから、もしかしてポカラではなくカトマンズにいた可能性もあって、ちょっと心配なのです。かといって、メールしたところでそれどころじゃないだろうし、と何もできず、ネットニュースを眺めては勝手におろおろしてます。

 30歳目前に日本を離れ、ポカラでホテル業を始めた友人。その後、いろいろあって去年ホテル経営を離れ、新しいカフェを始めたところでした。カフェ起業の大きな目的の一つが、ネパール人がネパールで自活できるようにすること(ちなみに友人は生粋の日本人です)。ホテル時代から悩みの種だったそうですが、ネパール国内で働くと賃金が安くて生活できないので、従業員がやめてインドとかに出稼ぎにいってしまうことがしょっちゅうだったそうです。ネパールを愛してやまない友人は、そんな状況を少しでも変えられないかと、若いネパール人自立援助をめざしてカフェを始めたのです。

 ところが、この地震でネパールの観光業界は大打撃。もし無事だったとしても、友人にとってこれからが困難な日々になることは想像に難くありません。神様も酷なことをするなぁ、とひとごとながらがっくりと肩を落としてしまいました。

 まあ、東日本大震災の直後は怖いぐらいに閑散としていた浅草が、今や外国人団体観光客のバスが迷惑なくらい乗りつける繁盛ぶりですから、明けない夜はないと信じていますけれども。

 私自身は今まで大きな災害にあったことはないですけれども、ニアミスはあります。ひとつは阪神大震災。当時、実家を離れ東京に住んでいた私は、よく遊びにいった神戸の街の、あまりに壊滅的な状況に絶句して、しばらくテレビの前から動けませんでした。とても現実の風景とは思えなかった。家族ともなかなか連絡が取れず、不安な時を過ごしたことを覚えています。

 もうひとつは東日本大震災。この時は東京にいて、仕事中でした。東北ほどではないにしてもかなり大きな揺れで、誰かが「やばい! 縦揺れだ!!」と叫んだ時に、『死』ということを初めて意識しました。あ、こんな自分の意思でどうにもならない死があるんだって。実際は大きく揺れただけで怪我したりもなかったのですが(器物破損は多数)、その後3時間くらいかけて歩いて帰りました。途中で車のディーラー屋さんがコーヒーを振舞ってくれたり、ありえない人数が多摩川にかかる橋を渡ったり、最寄り駅前の24時間営業のマックが真っ暗で衝撃を受けたり(笑)と得難い経験でしたが、その時に痛切に感じたのは、私たちはなんてもろい便利さの中に生きてるんだろう、ということです。これだけ文明を発展させてきた人間の英知は素晴らしいと思いますが、それでも自然の大いなる力にはまだまだちっぽけなものなんですよね。

 ヒマラヤだっていつもはとても美しいのに、今回の雪崩のような悲劇を起こしたりする。まあ、地球は人間だけのものじゃありませんから、人間に都合いいことばっかりないのは当たり前かもしれませんが。

 ニアミスばかりで大した被害を受けてもいない私なんて、被災された方からすれば片腹痛いとは思いますが、その私にしても、そんなことを考えていると、今、私たちがふれることのできる自然の美しさや歴史的建造物は、自分が思っているよりもずっとずっと貴重なものなんだと感じます。1000年前の仏像とか奇跡ですよね 絶対火事の中を抱えて逃げた人いると思うんだ。いや、ほんとに。そもそも、自分たちが日々ふつうに暮らしていけることが、とんでもない幸福なのかもしれません。

 以前、桂離宮を訪れた時に、ちょうどテポドンが新聞紙上をにぎわしていたこともあって、「こんなきれいな庭も、テポドン一発で跡形もなくなるよな」と不気味に思ったものです。反対に、その美しさを保つのは一人ひとりの人間の細やかな手作業だったりする。途方もない時間と手間がかけられているんですよね。こつこつと積み上げてきたものを乱暴になぎ倒す力。・・・なんか変なものを持っちゃったっすね、人間って。

 でも、そういうのを利用してこの快適な都会生活があるんですものね。難しいなあ。

 ぐるぐる思考がめぐって、結局のところ、今あるものを大切にして出来ることをちまちまやるしかない、という陳腐な結論にたどりつきます。あーあ。でも、できることは全力でがんばります

 なにはともあれ、ネパールの皆様にできる限り早い平安が訪れることをお祈りしてます。

 今のところ、祈るだけです それ以外は模索中・・・

  

神戸。震災以来時を刻むのを止めてしまった時計。

 

追記:後日、改めて「ネパール地震 ポカラ」で検索したら、このブログが上位に出てきて腰が抜けました。ごめんなさい、何の情報もなくて

その後、アップできるような情報は得てないです。残念ながら。

『私にできること』で検索していらした方がいたので書きますが、私は日本赤十字社を通して寄付をしました。他にも寄付の方法はあるようです。

 さらに追記:5月4日現在の情報です。

 先日、ポカラの友人のブログがアップされていて、無事が確認できました。カトマンズほどの揺れもなく、とくに問題もなく普通に生活できている模様。ポカラは大丈夫です、と書いてありましたから、ポカラ自体無事なようです。Facebookには、もっと早く詳しい情報を載せていたらしいのですが、私がFacebookやってないもんで なんにせよ、ひと安心です。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする