ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

大つごもり

2017-12-31 14:35:54 | つぶやき

戌待ち。

 

今年半ばに調子を崩し、後半はあまりぶらっとできませんでしたが、何とか無事に今年を終えることができそうです。

不定期更新にもかかわらず、当ブログにお越しくださった方々、ありがとうございます

来年もぜひまた遊びに来てくださいね。

皆さま、良い年をお迎えください

雀たちも年越しへスタンバイ。

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談志『芝浜』の思ひ出

2017-12-30 21:57:36 | アート

今年も残すところあと2日となりました。

「大晦日」で思い出すのは落語『芝浜』です。

<あらすじ> 酒好きで怠け者の漁師が芝浜で財布を拾い、その金を当てに仲間を集めて大宴会。酔いつぶれて目覚めた翌朝、妻から財布を拾ったのは夢だと聞かされ支払に困って青くなり、これを機に心を入れ替えて真面目に働くと妻に誓います。3年後の大晦日、すっかり働き者になって生活も安定した男は、妻から、実は財布を拾ったのは本当で、金で身を持ち崩すことを恐れ、「夢だ」と嘘をついたと告白され…。 

人気の演目ですが、談志師匠の『芝浜』を、一度だけ生(ナマ)で聞いたことがあります。大病をされてしばらくたった頃ですから、当時、師匠は60歳代半ばくらい。病気のせいで声がしわがれて出にくくなっていて、高座でも「聞き取りづらくてごめんなさい」とおっしゃっていました。往年の勢いに翳りが出てきた頃かもしれません。それでも談志人気は相変わらずで、有楽町・よみうりホールは超満員。マクラでしゃべる時事ネタ絡みのブラックな「くすぐり」に、客席前方から野太い笑い声があがります。マクラ目当ての人もいるそうで随分長い。もしやこのまま終わってしまうのではと思った時、さらりと始まったのが『芝浜』でした。 

それまでのお気に入りは志ん朝の『芝浜』。しっかり者の女房に、ちょいと頼りな気な旦那夫婦の情愛が明るく品良く語られ、しみじみとしたラストで心にぽっと灯がともります。CDでしか知りませんが、極上のおとぎ噺な世界は、年末にぴったりの一席です。

談志師匠の『芝浜』はまったく違いました。妻は、自分で十分な稼ぎを得るほどの才覚はなく、さりとて苦界に身を沈める度胸もないから、こんなだらしない男にでもすがりつくしか生きる術がない。なにより一緒にいたい。だから死ぬ気で「夢だ」と嘘をつく。そこに「かしこさ」や「機知」はありません。2人が居る空間は生臭く昭和の場末感が漂い、苦しいほどのリアリティがありました。貧乏はきれいごとではないのです。

こんな『芝浜』いやだな。

なんか惨めすぎる。息が詰まって眉間にしわを寄せていたら、突然、師匠の身体がぐらりと前に傾き、噺が中断してしまいました。

「ごめんなさい、ちょっと目がくらんで……」

額を押さえながら素に戻った師匠が詫びています。しばらく無言で堪えたあとに再開、サゲまで語り切りましたが、再開後は、素人目に見ても師匠の集中力が途切れて出来は良くなく、そのせいか、翌日見た公式サイトでも『芝浜』の演者は談志師匠ではなく、全く別の、弟子らしき人の名前になっていました。

あれから月日がたって、師匠が目指していたものは、現代人が自分の生活と照らし合わせてリアルに共感できる「生きた」噺だったのではと感じています。最近知りましたが、『芝浜』は、師匠が大病後、永年にわたって取り組み続けた噺だそうですね。おそらく私が聞いた当時、思った以上に師匠の体調は芳しくなかったのでしょう。その中で、なお新しい戦いに挑もうとしている、まさにその現場を目撃したのかもしれません。

会が終わって、客が席を立ち始めてからも、師匠は高座に残って「ありがとうございます」と繰り返しながら見送ってくれました。「昔の寄席は靴を脱いで上がるから、終演後に下足番で時間がかかるんですよ。でもって、こういう風に噺家が高座から見送るってのは当たり前のことだったんだ」。一席終えた高揚の中にぽつりと座る師匠の、優しく、そしてどこか物寂しげな姿が心に残っています。

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『琥珀の夢』 小説 鳥井信治郎

2017-12-29 22:25:36 | 大阪

 

昨日のブログの最後に出てきた『琥珀の夢』。お茶会の後、さっそく読了です

全二冊ですが、上巻は小西儀助商店での丁稚時代に多くのページが割かれています。信治郎の一生を貫く大阪商人としての『土性っ骨』は、厳しい丁稚時代に培われた強靭な肉体と精神の賜物です。下巻では赤玉ポートワインの成功を中心に、長男の早逝や戦争など、苦難の道のりが描かれています。『小説 鳥井信治郎』と銘打ってあるので、多少フィクションもあるのでしょうが、かなり史実に忠実なのではと思います。

時短、簡単、効率の良さ。

現代人が求めるこれらの美徳は、本物の夢を叶えるには時に邪魔なものかもしれません。以前、山崎蒸留所を見学しましたが、そこで見た琥珀色の液体には、ゆっくりと時間をかけて熟成された豊かな美しさがありました。

そういうの、憧れますね。

自分に与えられた時間をどのように使うか。読み終わった今、そんなことを考えています

 

【興味ある方はこちらもどうぞ^^】

サントリー山崎蒸留所 その1

サントリー山崎蒸留所 その2

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ナマ船場【潜入! 小西儀助商店】

2017-12-28 22:53:48 | 大阪

 

大阪・北浜を訪れたことがある人なら、一度は目にしたことのある小西家住宅(小西儀助商店)。近代的なビルの狭間に忽然と現れるその堂々たる大阪町家は、このブログを始めたころから憧れの場所でした。実は今年の11月、その小西商店で開催された『船場茶会』に参加できたんです! 少し前になりますが、本日はその模様をご紹介^^

お邪魔します。

茶会と言われて、茶椀を回す利休的なものを想像していたら、ふるまわれたのは煎茶でした。もともとは中国から渡ってきたもので、日本では江戸時代頃から流行したんだとか。

小さなお茶椀で温度もぬるめ、お茶本来の味が感じられるようになっています。可愛らしいお茶菓子も一緒にいただきます。広い座敷にたくさんの人が集い、ご主人が煎茶の歴史などを、座持ちとして時に笑いを交えながら語ってくださる。そんなざっくばらんな雰囲気の中に、人との交わりを大切にする船場商人の姿が見えてきます。リズミカルな語り口にまろやかな口跡。これが船場言葉というものでしょうか。何とも言えない愛嬌と花があって、ちょっと感激です。

調度品も年代もの。

片や番頭さん(←勝手に決めました)は袴姿で寡黙にお茶を支度している。一つ一つの所作がこれまたぴしりと決まり、リアル『ぼんち』の世界です。船場商人の華麗さと歴史を存分に体感してきました^^ 

楽しくお茶をいただいた後は、しばしの自由時間。お庭を眺めたり、茶道具の説明を受けたり、思い思いの時間を過ごします。もちろん私は写真を撮ってきました^^

舞台セットのように暗闇にぽつりと咲く椿。

高いなあ…

きっと当時の最先端。

  当時の状態がどれほど残っているのかわかりませんが、古くてもよく手入れされています。少彦名神社の張子の虎があちこちに置かれているのが現役の商家ならでは。土地と共に生きるってこういうことなんだなと思います。

へーい毎度!

 座敷の棚に伊集院静氏の『琥珀の夢』が飾られていました。私が今立っているこの場所を、大八車を引いた鳥井信治郎氏も通り過ぎたのでしょうか。一度会ってみたかったです。

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中之島散歩番外編

2017-12-26 07:00:00 | 動物

たそがれるシラサギ。

 

クリスマスは日が落ちる前から中之島をうろついていました。たまたま橋の上から見つけたシラサギ。ぽやーっとしてるかと思ったら

にょいん、と首が伸びた。

これ、実は視線の先に観光船が通ったんです。何か気になったのか、首を伸ばして覗き見てました。鳥にも好奇心があるのね、と感心して思わずパチリ(笑)。

 

♪あし~た~浜辺を…

妙に人間ぽい仕草に釘付けになったひと幕でした

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