ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

近松な世界 ~まずは道頓堀から~

2016-01-31 18:53:16 | アート

梅田阪急の文楽展で展示されていた丸本。

 

次は何か書こうかと考えていた折、大阪(正しくは大坂)を語るうえで欠かせない人物にまだ触れていないのに気が付きました。近松門左衛門です。

「演劇を学ぶ上で必ず読まなければいけない作家は、西洋がシェイクスピア、そして日本は近松です」

学生時代に履修していた演劇学の講師の言葉ですが、それほどまでに重要な作家なのに、案外、東京ではその作品の上演機会は多くありません。

くらべて関西は浄瑠璃でも歌舞伎の演目でもよく目にします。やっぱ大阪やねえと感心しきりです。

義太夫節には大阪弁のアクセントが反映されているという話もありますから、ナマな手触りは関西人の方が強く感じるのでしょう。

というわけで今月は、ちょいちょい近松ゆかりの場所を紹介していきたいと思います。

まずは、近松門左衛門と組んで数々のヒット作を送り出した竹本義太夫が開いた竹本座跡。道頓堀にあります。近松が活躍した元禄時代(赤穂浪士討ち入りの頃ですね)、道頓堀は有数の劇場街でした。

  

今は石碑をとどめるのみ。

現在の道頓堀。

おそらく当時もエネルギーに満ち溢れた場所だったと思われます。さまざまな人間の欲望がひしめく街で、人間の情念渦巻く芝居が上演されている。1960年代の東京のアングラ演劇全盛を思わせる熱量だったのでしょうか。観る人にとっては、この上なく刺激的な体験だったにちがいありません。

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最強のふたり 佐治敬三と開高健

2016-01-30 21:04:55 | 大阪

「やってみなはれ」精神が痛快です。

 

 

「もはや戦後ではない」が流行語となったのが昭和31年(1956年)。その頃の映像を見ていても昭和40年前後から一気に日本の風景が変わった感があります。当時は、日本中が一種の躁状態だったんではないでしょうか。

そんな時代に「なんかおもろいことやったるでぇ」と人生に挑戦し続けた2人、サントリー2代目社長・佐治敬三と、その社員であった小説家・開高健のお話です。

サントリー・ホールもサントリー美術館も東京にありますし、開高健が編集長を務めた伝説の雑誌「洋酒天国」の編集部も東京にあった(上京願望の強かった開高健の根回しの結果だそうです)ので、勝手に東京発祥の会社だと思っていましたが、サントリーは大阪創業の会社なんですね。

言われてみれば、豪快で、ちょっとそそっかしくて、でもちゃっかりなお二人の気風は、まさに大阪人の面目躍如です。

同時に、2人とも早くに肉親を亡くしたことや、戦争での悲惨体験が大きな影を落とし、今よりずっと死や貧困が身近にあって、限られた人生を生き切ってやろうという凄味があります。そんな彼らの人生は文句なく面白く、夢中になりました。

読み終わった後には、ザ・プレミアム・モルツが呑みたくなる。そんな一冊です。

ちなみに、佐治氏の御父上・鳥井信治郎が丁稚奉公をしていた小西儀助商店は、現在も登録有形文化財・小西家住宅として現存しています。昨日ご紹介した五代さまの像から堺筋を心斎橋方面に向かって5分ほど。なんと現役のオフィスです。信治郎が働いていた当時、近くの自転車屋にはやはり丁稚奉公をしていた松下電器(現・パナソニック)の創業者・松下幸之助がいたそうですから、やはり船場は立志伝中の人物がひしめくホットスポットだったんですね。五代様からサントリーへ。そんな散歩も楽しいかもしれません。

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五代様ロス ~大阪取引所の像~

2016-01-29 21:23:18 | 大阪

確かに凛々しい

 

年初というのは何故かバタバタしますね。なるべく毎日更新したいのですが、些事に追われ、飛び飛び更新で失礼します。

さて、本日はNHKの朝ドラ「あさが来た」で大人気・五代友厚氏の像のご紹介です。創業者として名を連ねる大阪株式取引所(現・大阪取引所)の前にあります。

そうとう大きいので、なかなか画角に収まりません(笑)。

この写真も四苦八苦してやっとです

大阪取引所は、ライオン像で有名ななにわ橋の向かいにあり、近くには三井住友銀行や小西儀助商店など、大大阪時代の繁栄をしのばせる建物が数多く残っています。大阪市役所や中之島公会堂も目と鼻の先にあり、川に面したカフェもたくさんあって、天気のいい日にぶらっと歩くには楽しいところです。

以前、行ったときに、この像の下に書かれた略歴を読んでいたので存在は知っていましたが、なにぶん金融経済には疎いもので、大阪発展のために力を尽くしたとはわかっても、何がどうすごいのか今一つ理解できず

取引所もがらんとしてました。

(大阪取引所を紹介した以前のブログ)

それが今や新聞に載るほどの名所に。私は観てませんが「五代さまロス」まで起きてるそうですね。

ディーン・フジオカ氏の魅力も大きいでしょうが、長い時間をかけて「物語る」ことの影響力を改めて感じます。

お金の話は苦手ですが、不況にあえぐ日本のこの閉塞感を肌身に感じる昨今。

五代様をきっかけにもう少し経済に興味をもってみようかなと思います。

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近大まぐろ ~大阪グランフロント~

2016-01-27 21:43:32 | グルメ

アルコールもいただけます。

 

前々から気になっていた近大マグロ。先日、京都を歩いていたら「近大マグロあります」と幟をかかげた食堂がありましたし、百貨店で販売されたり、じわじわと流通し始めましたが、旗艦店はここ、大阪のグランフロントです。

繁盛していると聞いていたので開店の20分ほど前に行ったのですが、すでに長蛇の列。元気なお姉さんが要領よく捌いていきます。それでも、行列を見て恐れをなし、帰る人もちらほら。

大行列。

モニターに映る迫力のマグロ。

店内は広く、開店5分ほどで席に案内してもらえました。今回はテーブル席を選びましたが、いま写真を見るとカウンター席にはモニター があり、おそらくマグロ養殖の紹介VTRを見られたので、カウンター席にしてもよかったかもしれません。

メニューはもちろん刺身押し。

鯛茶漬けにも魅かれましたが、マグロを食べないわけにいかないので、海鮮丼にしました

待つことしばし・・・。

どどーん

 

まぐろは赤身とトロ。そして本日の『選抜鮮魚』は「真あじ、かんぱち、真鯛、ぶり」です

当たり前ですが、ちゃんと名前通りの魚に見えますね。これが全部養殖とは。凄すぎます

一切れ一切れが大きい

まずはマグロから。

ああ、ちゃんとマグロの味がします。天然物のような身が締まって濃い感じはないですが、十分おいしいです。

他の養殖魚もアジはちゃんとアジだし、ブリも鯛もその通りって味(笑)。

しかもこんなにたくさんのお客さんに提供できるとはなんて素晴らしい

興味深かったのは、どの魚にも共通する味わいがあったこと。

魚の種類が分化していったのは生活環境に適応していったからで、それが養殖場という枠、つまり、容積とか、食べものとか、運動量とか、そういった環境が似ると 味も似るんじゃないでしょうか。それは人間も同じですね。

食べ終わって帰る時も、長蛇の列は続いてました。近代マグロ、大人気です

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清荒神清澄寺 ~兵庫県宝塚市~

2016-01-26 23:00:36 | 兵庫

山に囲まれた気もちいい境内です。

 

先日からご紹介しています清荒神ですが、正式名称は清荒神清澄寺です。そもそもの縁起は宇多天皇の勅願寺として896年に建てられたもの。当時は現在の場所より山一つ隣にあったそうです。官兵衛いじめで有名な(笑)荒木村重の乱などで被災し一度は廃れたそうですが、昭和に入ってから当時の和上が整備して現在にいたっています。

ややこしいのが仏さまとは別にいらっしゃる「荒神」さまで、火やかまどの神様を崇める土着的荒神信仰に修験道の三宝荒神が結びついたものということで、ちょっと毛色が違う感じですね。

現在は拝殿に三宝荒神が、本堂に大日如来が祀られていて、その他にもあちこちで色んな神様や観音様が祀られています。

そういうことを踏まえると、若干ごった煮的な感じもなるほどと納得がいきます。

正面が拝殿。

おみくじは超合理的な完全セルフサービス。

災厄を「つまんで除ける」ということで火箸が納められています。写っていませんが、溶接業など企業が巨大な火箸を納めてました。

修験道の開祖役小角(えんのおづぬ)が祀られている祠。この奥の岩がくりぬかれ、像が安置されてます。

山が拓かれてできた感じしますね。

自由すぎるお供え物(笑)。みかん???

水をかけてお願いすると叶うという一願地蔵尊。「一願」なので一つだけ!と立札がありました。

奥にあるのが本堂。大日如来が祀られています。ちなみに手前の石の庭(池あり)は江戸時代のものだそうで、京都の東福寺や松尾大社の作庭で有名な重森三玲がその昔調査に来て、彼の著作に掲載されたそうです。

さて、清荒神はいかがだったでしょうか。縁起は古くても現在の形に整備されたのは昭和なので、歴史あるというよりは、ざっくばらんなおっかさん、みたいな雰囲気でした。困ったとき泣きつけばなんとかしてくれるんじゃないか、みたいな

ちなみに明日からの2日間は「初荒神大祭」が盛大にとりおこなわれ、とくに28日はほら貝を吹くところがみられるそうです。修験道っぽいですね。

興味ある方、ぜひ行ってみてください

布袋さま(1~7年生だそうです)

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