橘玲『言ってはいけない――残酷すぎる真実』新潮新書,2016年

本書は、2017新書大賞を受賞した本。
本書は、著者の「不愉快なものにこそ語るべき価値があると考えている。きれいごとをいうひとは、いくらでもいるのだから。」(本書「あとがき」p.248)との主張に基づいている。

管見による注目点は、
・私たちを「デザイン」しているのは、「現代の進化論」としての進化生物学、進化心理学。すなわち、身体だけでなく、ひとのこころも進化によってデザインされた。(p.4-5)
・移民の言語は次世代で容易に現地化するが、宗教や味覚が親の影響を強く受け継いでいる趣旨(p.219-224)の記述。
・親よりも「友達の世界」のルールを優先することが子どもの本性(p.227)。

(管見)
理想論、建前論は大事だが、それだけでは現実の醜さ、辛さから逃げていることになるのではないか。夢を持ち語ることだけでなく、困難な現実を直視する勇気も要ることを感じさせる。その意味で良書。以上
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