徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

JAL1935/21JUN HNDOKA Divert 私見

JAL1935 便、羽田発沖縄那覇行の Boeing777-300 (現時点で機番は不明だが、JA8941~JA8945, JA751J, JA752J の何れかでしょう)が、FL280 で航空路 G851 の DEMPA ~ GUGAR 間(または平行している RNAV Route Y52 )を飛行中、No.1 Engine (左主翼に付いている方) が Engine Failure となったので、Procedure に従って当該エンジンを Shutdown 、状況判断のうえ、Declare Emergency で KIX (関西国際空港)に降りた、というだけのこと。マスコミが「またJALだ」とネタにして騒いでいるだけで、当該便の Crew は当たり前のことをただ粛々とこなしただけです。

そもそも、 Boeing777 や 767, 737、Airbus A300, A320 といった双発機は、エンジンを2機しか搭載していないのだから、その1発がダウンすれば推力が半減し、ダウンした側のエンジンが空気抵抗を生むので、厳密には推力は半分より少し下がります。
もともと Boeing777 のエンジンの推力は大きく、当該機は PW4090 という米国 Pratt & Whitney 社の最大推力約9万ポンドの巨大推力エンジンを搭載しています。しかも Boeing 社は最初から ETOPS: Extended range Twin-Engine OPerationS (双発機の運用距離拡張)仕様でエアラインに deliver しているので、エンジン1発でも十分飛行できる性能を有しています。

JA8945_Photo


ただし、沖縄那覇線はその路線性格上、そのほとんどが洋上飛行となること、また昨夜は梅雨前線に伴う雲が飛行ルート上をべったりと被っていたことから、このまま飛行を続けるより(雲中飛行であることから、残りの No.2 Engine の火を消さないように、Engine Ignition を Coutinuous ON でかつ、Engine Anti-Ice も ON )、しかも Wind Factor がマイナス(向い風のため速度が出ない)であろうなかを1基のエンジンでさらに1時間以上飛行するよりも、安全を考慮し、Land at Nearest Suitable Airport を選択したということでしょう。

GOES9_IR1_2100I


KIX (関西国際空港)を着陸地として選んだことは、飛行していたルートから、DEMPA-OTR28-EVERT-EDDIE-KIX ILS Rwy06 と最短のルートを選べることと、KIX が24時間対応空港であること、それに KIX 到着後にお客様を代替機(きっと手配できることも Company で確認したのでしょう)で最終目的地の那覇までお送りできること、さらには KIX は整備基地として充分の設備をもっていることから到着後の原因究明・修理に問題なく対応できること、等などを考慮してのことでしょう。
20時50分頃に Engine Failure が発生し、KIX に着いたのが21時38分ですから、Engine Shutdown 後40分ちょっとで Landing 出来ていますので、ETOPS の観点からも問題はなし。

着陸した頃の関西国際空港の気象状況は以下の通りでした。

RJBB 211305Z 21007KT 4500 SHRA BR FEW010 SCT030 BKN060 22/21 Q1006 RMK 1ST010 3CU030 5SC060 A2971
RJBB 211300Z 21008KT 5000 -SHRA BR FEW010 SCT040 BKN060 22/21 Q1005 NOSIG
RJBB 211245Z 23009KT 5000 SHRA BR FEW015 SCT040 BKN080 22/21 Q1005 RMK 1CU015 3CU040 6AC080 A2971
RJBB 211230Z 23008KT 6000 SHRA FEW015 SCT040 BKN080 22/21 Q1005 BECMG NSW
RJBB 211217Z 22009KT 7000 SHRA FEW015 SCT045 BKN080 22/21 Q1005 RMK 1CU015 4CU045 6AC080 A2969 MOD TURB BTN 19000 AND 17000FT KOBOK B763
RJBB 211200Z 23012KT 9999 -SHRA FEW020 SCT045 BKN080 22/21 Q1005 NOSIG

視程が 6000 ~ 5000 mでしゅう雨、風は 230 度から 08 kt、多分 Landing Runway は ILS Rwy 24 in use だったと思われますが、当該機が Rwy 24 に降りたか、最短距離となる ILS Rwy 06 に降りたかは不明です。追い風成分としては、規定値以内ですから、着陸には問題ありません。 Emergency をかけてますから、管制側も配慮してくれたことでしょう。

日航機エンジン異常、停止 主翼の1基 緊急着陸、けが人なし (産経新聞) - goo ニュース



毎日新聞サイトの記事に乗客のコメントとして、

“乗客の大学教授(65)は「またかと思った。命を託しているのだから、しっかりしてほしい」と話していた。”

「またか」って、この教授先生はそんなにエンジントラブルに遭遇しているのでしょうか〔真意は「また(トラブル)か」なのでしょうが....〕。もし、「またか」と思うほどエンジントラブルに遭遇しているのでしたら、 Boeing 社が好待遇で迎え入れてくれるかもしれません。
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