写真の技術が進歩する一方で、西洋の美術界では、大きな変革が起きようとしていた。
印象派の誕生である。
権威のようなものからの脱却をはかり、みずからの表現を追い求めた印象派の画家たちの試みは、ポスト印象派、新印象派などの広がりをみせ、また
キュビスムや
抽象絵画などと続く、一つの潮流を生み出した。
印象派は、ルネサンス以来の「写実主義」からの脱却を図り、みずからの表現方法を探求していった。
写実をするだけならば、写真(カメラ)を用いればよい。
ただ、カラー写真が普及するよりもだいぶ以前に、印象派の画家たちは、「色」「光」というものについて、様々な実験をキャンバス上で行っていたのである。