私のall time favoriteで、常に心の中にいるバンドのひとつ、The Grapes of Wrath(グレイプス・オブ・ラス)は、US及びUKのバンド中心に聴いている私には珍しく、カナダのバンドである。
1980年に、まだ少年だったChris Hooper(クリス・フーパー)とTom Hooper(トム・フーパー)兄弟は、Gentlemen of Horror(ジェントルマン・オブ・ホラー)というパンク・バンドを経て、Kevin Kane(ケヴィン・ケイン)とVincent Jones(ヴィンセント・ジョーンズ)と共に1984年にGrapes of Wrathを結成。1992年に解散するまでEP1枚とアルバム4枚をリリースした。
その翌年、GrapesからKevinが抜けた形でginger(ジンジャー)を結成したが、3年間で活動中止。そして2000年にTomは、KevinとふたりでGrapes名義でアルバムをリリースした。
その後、TomとKevinはそれぞれソロで音楽活動を続けているのだが、なんと今年ふたりが再びタッグを組み、Grapes名義で今月地元でライヴを行なったのだ。(どんなに行きたかったことか・・・)
Tom & Kevin、Tom(右)は、ヘア・スタイルもルックスも昔とちっとも変わっていない・・・
これはそんなGrapesの、1991年にリリースされた、4ピース時代の最後のアルバム 『These Days』。
私が所有するGrapesのオリジナル音源は全てアナログ盤のため、いつも聴くのはベスト盤なのだが、少し前にこのアルバムをiTunesにダウンロードした。
元々音楽を始めたのがパンクだとはとても思えない、優しくて抒情的で、美しいハーモニーと爽やかなメロディに癒される。
TomがVo.のM-2 「You May Be Right」 は、このアルバムでいちばん好きな曲。ゆったりとしたリズムのソフト・ロックで、後半で鳴り響くハモンド・オルガンの音色がめちゃくちゃ心地良い。
スライド・ギターの音色とオルガンの音色が絶妙に絡み合う、とても優しいメロディのM-4 「I Can't Find My Home」、続くM-5 「Days」 は、コーラスが美しく響くキラキラしたギター・ポップ。
前半がちょっとディスコティックなアレンジのM-6 「I Am Here」 は、本当にディスコ・サウンドのようなRemix Ver.でシングルのカップリングになり、後にベスト盤にも収録された。そうは言っても、サビの広がるようなメロディは爽やかさ度満点。
短い曲だが、淋しげでノスタルジックなM-7 「No Reason」 のハーモニーは、この上なく美しい。
M-8 「Travelin'」 でも素晴らしいコーラス・ワークを披露。ゆったりとしたギタター・ポップだが、アウトロでの熱いピアノ・ソロとギター・ソロが、アルバム唯一のアップ・テンポなロック調のM-9 「A Fishing Tale」 に繋げる。
ちょっとウキウキしてくるような可愛いメロディのM-11 「Now」 も、大好きな曲。
最後のM-12 「Mirade」 は、メロディの展開がカッコ良い。彼らにしては6分強の大作なのだが、アウトロが3分もあるのはちょっと長すぎ。でも何故がダレなくて、心地良いギター・リフが続いてF.O.して終わる。
Grapesの美しいオーガニック・サウンドは、18年経った今でも全く色褪せることなく、心に響き、安らかな気持ちにしてくれる。
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★The Grapes of Wrath / You May Be Right