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『スラムドッグ$ミリオネア』

2009-04-24 | cinema & drama


2008年度の米アカデミー賞で、最多8部門を受賞した話題の映画、『スラムドッグ$ミリオネア』 を観てきた。
インドを舞台にしたイギリス映画で、監督は 『トレインスポッティング』 のダニー・ボイル監督。
アカデミー賞で話題になる以前に、カナダのトロント国際映画祭で初上映されて大絶賛され、その映画祭の最高峰である “The People's Choice Award”(いわゆる最優秀作品賞で、文字どおりみんなが選んだ賞)に選ばれ、アカデミー賞までをも制したというわけだ。
賞を受賞したからいい作品と言う訳では決してないが、いろんな賞を受賞するのは当然・・・と納得できる作品だった。
とにかく飽きさせない。それに、何と言っても、スピード感溢れる映像。これがいちばんだった。走るシーンが多く使われているというのも、そのスピード感がより一層体感的で、テンポ良く進んで行くのが気持ち良かった。
今年は例年になく映画をよく観ているが、今のところ今年のNo.1とも言えるほど、心に響く傑作だった。

インド、ムンバイのスラム街で生まれ育った若者ジャマールは、出演した 「クイズ・ミリオネア」 で次から次へと正解を続けて、ついにあと一歩で最高額獲得というところまで辿り着いたのだが、そこで運悪く時間切れとなり、翌日放送となる。どうやら生放送のようだ。
でも、スラム街で育ち、学校はもちろん、ロクに教育を受けていない彼に正解できるはずがない、きっと詐欺だと疑われ、司会者の告発で逮捕されてしまう。そして、警察での尋問で、その真実がだんだんと明かされていくというストーリー。
クイズ番組とジャマールの過去が交錯しながら展開して行くのだが、そこにはピュアな愛の物語があったのだった。
ジャマールが幼年期に出会ったひとりの少女ラティカ。運命のいたずらのように、ふたりは離れ離れになり、ラティカをずっと忘れられないジャマールは彼女を探し、ついに再会する。でも、またそこでふたりの出会いを引き裂く出来事が起こってしまう。
ジャマールは、お金が欲しくて番組に出たのではなく、多くの人が見ているこの番組に出れば、きっとラティカも見ているに違いない。そして、自分のことを見つけてくれるはずだと信じていたのだった。
そして、そのクイズの解答は、全て彼が生きてきた人生とリンクしていたのだった。そのいきさつの映像と組み立て方が、見事だった。
とても爽やかで輝きのある感動的なラスト・シーンでは、涙と笑顔が同時にこぼれた。
エンド・ロール前半の駅のホームでのダンス・シーンは突拍子もなかったけど、それが妙にハマっていてとても微笑ましく、最後まで楽しませてくれた。
奇跡や運命、ラティカに対する愛や兄への愛憎、友情を織り交ぜながら、貧しい人々の過酷な厳しい現実もしっかり伝えていた。生きるためにいろんな知恵を身に付けて成長して行くジャマールの姿を、切なさも笑いも交えて丁寧に描き、効果的に入る音楽と街の雑踏音が臨場感を与える、素晴らしい映画だった。
カメラ・ワークも素晴らしかった。スラム街を走り回る(逃げ回る)子供たちの足元を映す映像や、子供の目線からの映像はとても躍動感があり、だんだんとカメラがパーンして行って、上空から映された密集した錆びたトタン屋根のバラックが隙間なく続く映像は、とても印象に残っている。
監督は、スラム街で本当に暮らす子供たちを起用したそうで、フィルムではなくデジタル・カメラで撮影したらしい。それによって、このようにより自然で生きた映像が生まれたのだろう。

最後に余談を・・・。私だけがそう思ったのかも知れないが、幼年期のジャマールがoasis(オアシス)のNoel(ノエル)兄さんに何となく似ていて、成長したジャマールの兄サリームが、KAT-TUNの田中聖に見えて仕方なかった。
そして、世界共通の 「クイズ・ミリオネア」 のあの音楽が流れると、どうしてもみのもんんたの顔がちらついた。フジテレビ系で流れている、この映画のCMのせいもあるかな・・・。(苦笑)




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2 Comments

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ラストのおまけ (iina)
2009-04-25 13:29:40
大筋しか知らずに観たので、たのしめました。
インドもの映画は、歌に踊りがつくものながら本作はないと思っていた
ので、ラストは嬉しいおまけでした。
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iinaさんへ (bloom)
2009-04-25 19:02:51
コメントありがとうございます。
あの最後のシーンは、いきなりだったので思わず笑ってしまいました。
最後まで爽快に、観ることができました。
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