スーパーオキサイドに まつわる話は非常に多い。気持ちの赴くままに、今まで書かなかったこと、むしろ書けなかったことをブログの威力を借りて書いてみたい。
図1 金属カリウムを空気と反応させたときにできるKO2結晶の結晶構造。赤は酸素、紫はカリウムを表す。
スーパーオキサイドも他の化学物質と同様に長い歴史を持つ。1930年代の初め、ポーリング博士がノーベル化学賞の対象となった一連の"The nature of chemical bonds"を執筆していたころの話である。量子力学を基にして化学の諸現象を説明しようとする壮大な計画が進行していた。その中のひとつに三電子結合という概念がある。今で言えばラジカルである。博士の学生E.D.Neumanに、金属カリウムを空気と反応させたときにできる黄色い物質の性質を調べさせた。合成した物質は磁石に吸い付けられた。磁性を帯びていたのである。この現象を説明するためにK+O・・・O-という三電子結合が生まれた。博士はこの酸素分子に一個の電子が乗っかった状態をスーパーオキサイドと命名した。インターネットを駆使して活性酸素を検索すると「スーパーオキサイド」というキーワードが氾濫しているが、70年前にポーリング博士が名付けたのである。少し専門的になるが、この三電子結合の概念は博士の構築した原子価結合法の一つであって、現在はあまり用いられていない。むしろ福井博士などが開発した分子軌道法が一世を風靡しており、その中にラジカルも含まれる。しかし、「スーパーオキサイド」という名前は永遠に残るであろう。
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