図1 燦々と降り注ぐ雪と金閣寺。真っ白の雪は舎利殿の金色、漆塗りの黒地と良くマッチしている。
キーワード{金閣寺}で画像を検索すると約80万件、{金閣寺、雪}での検索では72万件、なんと9割強が雪の景色である。室町時代以来、金閣寺は雪景色が素晴らしいと相場が決まっている。1950年、放火消失、後に再建された金閣でも人気は衰えず、雪が降るとマニアが集まる。金閣はなぜこのように人を魅了するのか?金色の鈍い乱反射が人々を涅槃の境地に誘うのかも知れぬ。
舎利殿「金閣」は漆地に金箔を押した三層宝形造の建物である。「金閣」として有名で、寺の通称「金閣寺」の由来となった。初層・二層・三層のそれぞれに異なる様式を採用した特異な建築である。初層は寝殿造で「法水院」(ほっすいいん)と称し、中央に宝冠釈迦如来像、向かって左に法体の足利義満坐像を安置する。二層は書院造(武家造)で「潮音洞」(ちょうおんどう)と称し、岩屋観音坐像と四天王像を安置する。三層は禅宗様の仏殿風で「究竟頂」(くっきょうちょう)と称し、仏舎利を安置する。屋根は椹(さわら)の薄い板を重ねた杮葺(こけら葺)で、頂上には金銅製の鳳凰が飾られている。なお、金箔は二層および三層に貼られている。庭園は金閣を水面に映す鏡湖池(きょうこち)を中心とする池泉回遊式で、国の特別史跡・特別名勝に指定されている。鏡湖池には葦原島、鶴島、亀島などの島々のほか、畠山石、赤松石、細川石などの奇岩名石が数多く配されている。これら全てが調和して極楽浄土を演出し、無限次元の境地を醸し出すのであろう。