準備期間2日、約130のセリフ覚えきった 「代役」宮沢りえ、「女優なら当たり前」なのか
J-CASTニュース 5月13日(月)18時57分配信
天海祐希さん(45)が軽い心筋梗塞で降板したことを受け、舞台「おのれナポレオン」は、宮沢りえさん(40)の代役で千秋楽を終えた。
準備期間2日で約130のセリフを覚えきり、完璧な演技だったとワイドショーで大絶賛されている。そんなにすごいことなのか。
■「流れがあるからプロの役者にとってはそんなに難しくない」
「おのれナポレオン」は三谷幸喜さんが作・演出を手掛け、野田秀樹さんが主演を務める。2013年4月9日から5月12日にかけて、全40ステージの予定で東京芸術劇場で上演された。天海さんは5月6日14:00からの公演終了後に体調不良を訴え、軽い心筋梗塞により降板することが決定。8日19:00、9日14:00上演は中止となり、5月9日19:00の回(後に中止と発表)から天海さんの代役を宮沢りえさんが務めることが発表された。
ツイッターでは、観劇した人から、
「宮沢りえ、緊張感を見せない安定した出来。さすがにカーテンコールではホッとした表情となったが、上演中は、本の持ち方を取り違えるくらいで、セリフ問題なし。そして美しい。恐るべし」
などと感嘆の声が上がり、千秋楽後の2013年5月13日朝のワイドショーも各局、宮沢さん一色に。
天海さんバージョンと比べて、出番とセリフは削られ、一部が本を読みながらセリフを言うシーンに変わったものの、準備期間約2日間で約130のセリフを覚えきり、完璧な演技でスタンディングオベーションを受けたと絶賛のコメントが紹介されまくった。
しかし、芸能評論家の肥留間正明さんによると、こんなことは「素人じゃないんだから、もう40歳の女優なら当たり前」だという。
「何人もの俳優にインタビューしたけれど、2時間ドラマなどの場合でも1日か2日、部屋にこもって台本読んで流れをイメージすれば覚えてしまうと言いますよ。英語を覚えるのとはわけが違って、流れがあるからプロの役者にとってはそんなに難しくない。演出も時間がないから、自分の色でやっていいだろうし」
もちろん、一人一人は1日から2日で済んでも、全体の流れをつくりだすには1か月程度の稽古は必要だという。今回は天海さんと周囲がすでに流れをつくりあげていて、そこに宮沢さんが入っていったからこそ、うまくいったというわけだ。
☆ 宮沢りえさんは、すでに有名女優なのに真摯に努力し、魅了したと思う。
オペラではプラシード・ドミンゴ、マリア・カラス、レナータ・スコット、クリスタ・ルートヴィヒらが、若いころ、代役で大成功した。
クリスタ・ルートヴィヒの場合、まったく知らないオペラであっても「知っています」と言って代役を貰ったと言う。
それに上演は2日後、知らないオペラを必死で覚え、堂々と舞台にたち、国際的な評価を得たのだった。
「もうこんなおもいは十分よ」と言いながらほっとしたことだろう。
ピアニストのルービンスタインなど演奏会場に行く列車内で、ピアノで練習せずに楽譜を覚えきったという傑物、
チェリストのロストロポーヴィチなど、チェロ演奏ではなく、急病のリヒテルの代役だった。あの天下無敵のピアニスト、リヒテルの!!
しかもリヒテルのために作曲したプロコフィエフのピアノ協奏曲の世界初演をやってしまったのだ。
こんな時の力と言うのは「火事場の」なんとかでしょうね。
それを宮沢りえさんの努力を「40歳の女優ならあたりまえ」という評論家、少し謙虚になって頂きたい。
大変なことだったと思う。しかも新人女優でなく、有名女優だから失敗は許されない。
無名の新人女優のチャレンジではないのだから。
宮沢りえさんは、お茶の宣伝でも好感をもてた。昔は人気が先行していたが、今は堂々たる実力派だ。お疲れ様でした。