日頃からお世話になっているあさくらゆう先生が潮書房光人社から新刊を発行されました。
タイトルは『新選組を探る 幹部たちの隠された真実を追う』で、三百四十頁を超える堂々たるハードカバーです。
目次は以下のようになっています。
芹澤鴨
芹澤鴨の冤罪
大和屋事件と芹澤鴨
芹澤鴨の暗殺
斎藤一
斎藤一生家考
藤田五郎の足跡
幻の新選組幹部
幻の幹部 新見錦と谷右京
近藤勇
近藤勇VS徳川家
近藤勇VS流山鴻池
近藤勇VS横倉喜三次
新選組の同志 新選組名簿
『新選組を探る 幹部たちの隠された真実を追う』には驚きの新事実がたくさんつまっているので、新選組を勉強している方はもちろんですが、ドキュメンタリー好きな方にもおすすめできます。
個人的に最も印象深かったのが、芹澤鴨の章です。
芹沢鴨といえば、本庄かがり火事件・相撲一件・角屋狼藉事件・大和屋事件といった事件を起こした危ない人という印象を持つ人が多いと思います。
しかしその大部分が事実無根のフィクションであり、事実ではあるものの、そこに至る経緯に同情の余地があることが、あさくら先生の調査で証明されました。
そして、酒乱ではあるものの強いカリスマ性を持ち、信念を貫いた人物であったこともうかがえる史料を発見されています。
長年にわたって誤解され続けてきた芹澤鴨も、草葉の陰で喜んでいるのではないでしょうか。
私は新選組にそれほど多くの興味はないのですが、これまで定説とされてきたことが実はフィクションであり、あさくら先生が新たな史料を発掘したことによって真実が明らかになっていくさまは、読んでいて興奮しました。
どの章にも共通して言えるのが、半端ではない労力の結晶であるということです。
膨大な時間をかけ根気よく史料を探し出し、現地を訪れて詳しく調査を行い、様々な角度から検証することで真実を見極め、その上で執筆なさっています。
あさくら先生のブログ“無二無三”には日々の調査の様子も記されていますが、その頻度と濃度はなかなか真似できるものではなく、凄まじくて鬼気迫るものを感じます。
あさくら先生の調査方法は私には正直想像もつきませんし、やり方を知ったとしてもきっと実行できないでしょう。
あさくら先生は自らを“史料発掘の鬼”とおっしゃっていますが、『新選組を探る 幹部たちの隠された真実を追う』は、まさにプロフェッショナルを感じさせる本でした。
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