戦後の昭和20年代から40年代初めにかけて学校給食で育った世代には鯨食への郷愁があるそうだが、僕ら昭和1ケタ世代も酒の相伴に鯨のベーコンや大和煮の缶詰をよく食べた想い出が深い。昭和28年、東京の有楽町のガード近くにあった新聞社に入社した僕は、よく新橋寄りのガード下にあった”帝国グルリ”(グリルではない)一杯飲み屋でコップ一杯30円の焼酎をよく飲んだが、その相手はいつも鯨のベーコン10円也であった。あの味が今でも忘れられない。
鯨肉は今は高くてあまり庶民の口に入らなくなった。調べてみると昭和26年、日本が鯨の保護と持続的利用を目的にしたIWC(国際捕鯨委員会)に加盟してからであった。加盟の結果、わが国は、南極海の調査捕鯨しかできなくなり、近海での捕鯨は禁止された。
IOCは世界89か国で構成されているが、発言力の強いのは、変な動物愛護心から全面捕鯨を主張している欧米諸国やオーストラリアで、これに反対の日本は悪者視されて禁止され来た。しかし、捕鯨は日本の伝統的な漁法であり。独特の食文化を持っている。南極海の調査捕鯨でさえ、反対行動に出ている変な動物愛護の国々とは一別しても構わない。安い栄養源である鯨の肉が、昔のように庶民の食卓に上る日が来るのが待ち遠しい。
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