久しぶりに映画館で映画を観ました。観たのは、「レディ・マエストロ」です。
チラシ表面。
(ストーリー)
『女性指揮者のパイオニア、アントニア・ブリコ(1902~1989年)の半生を数々の名曲と共にたどる感動の実話』というのがチラシに書かれているこの映画の内容です。監督・脚本は、ブリコの出生地オランダのマリア・ペーテルスで、オランダで最も成功した脚本家および映画監督だそうです。
チラシ裏面。
(感 想)
ブリコの「指揮者になりたい」という意思の強さと行動力、それを回りで支える人々の温かさ、仕事をとるか家庭をとるか二者択一を迫る富豪の息子とのロマンスなど、女性の活躍と恋物語が相互にからむ筋立てです。ベルリンフィルで指揮デビューに成功したのに続き、ニューヨークでも苦労しながら成功を収めた場面は感動を覚えました。
観ていてあの環境でピアニストになれるわけがなく、また、巨匠カール・ムックに師事するのに、指揮や楽理の勉強をしておらず、実話とは異なると感じたのですが、パンフレットを読んでみてストーリーにかなり創作が入っていることがわかりました。オランダの指揮者メンゲルベルクの登場も事実ではありません。
実際のアントニア・ブリコの略歴は、カリフォルニア大学バークレー校で音楽を学びながらサンフランシスコオペラでアシスタントを務め、さらに高名なポーランド出身のピアニスト、作曲家のシグモント・ストヨフスキについて学んでいます。これらの基礎があって、カール・ムックの門下生になることができたのでしょう。
ストーリーは実話とは異なるところは多々ありますが、女性指揮者の先鞭をつけたということは間違いがありません。没後30年の記念年に映画化され、アントニア・ブリコという名前が知られたことは、とてもよかった。
以下はパンフレットからです。
アントニア・ブリコ本人の写真。
前島秀国さんの書いた実在のアントニア・ブリコに関する記事。
三ッ橋敬子さんへのインタビューも掲載されています。三ッ橋さんの指揮で新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏を聴いたことがあります。(その際の拙ブログの記事へのリンク)