安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

村上春樹著 「ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集」(文春文庫)

2019-11-01 20:08:38 | 読書

長野市のch.books(チャンネルブックス)で、手に取ってみた村上春樹の紀行文集が面白そうだったので、購入して読んでみました。

   

ここ20年ほどの間に書いた旅行記をまとめたもので、ほとんど日本航空がファーストクラス向けに出している「アゴラ(AGORA)」という会員誌に連載するために書いたもの(短文と長文を作り、会員誌には短文、こちらには長文を掲載)です。全部で11本の記事があり、そのタイトルが目次にもなっています。

(目 次)
チャールズ河畔の小径 ボストン 1
緑の苔と温泉のあるところ アイスランド
おいしいものが食べたい オレゴン州ポートランド、メイン州ポートランド
懐かしいふたつの島で ミコノス島、スペッツェス島
もしタイムマシーンがあったなら ニューヨークのジャズ・クラブ
シベリウスとカウリスマキを訪ねて フィンランド
大いなるメコン川の畔で ルアンプラバン(ラオス)
野球と鯨とドーナッツ ボストン 2
白い道と赤いワイン トスカナ(イタリア)
漱石からくまモンまで 熊本県(日本) 1
「東京するめクラブ」より、熊本再訪のご報告 熊本県(日本) 2

(感 想)
興味を惹かれる内容が満載で、面白い本です。世界中を旅行していて素材が新鮮で、それを作家の目を通した感想などとともに練達した文章で書き留めています。最初の一編『チャールズ河畔の小径』は、日々のジョギングやボストンマラソンについて記し、何気ない日常の光景と特別な日の気持ちを描いていて、清々しい。

ボストンの続編『野球と鯨とドーナツ』では、「かつて住民の一人として日々の生活を送った場所を、しばしの歳月を経たあとに旅行者として訪れるのは、なかなか悪くないものだ。そこにはあなたの何年かぶんの人生が、切り取られて保存されている。」と述べています。歳月の経過への気持ちには同感するものがあります。

著者は、フィンランドで、作曲家シベリウス、映画監督カウリスマキ所縁の場所を訪ねていましたが、同国ではゆるやかに静かに時間が流れているようです。デンマークやスウェーデンなど他の北欧諸国も似た感じがあるのでしょうか、北欧に行ってみたいと思わされました。

『もしタイムマシーンがあったなら』では、村上さんは「1954年のニューヨークのジャズクラブでクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ五重奏団のライブを心ゆくまで聴いてみたい」と記しています。もちろん、訪問時点(AGORA2009年11月号に掲載)でのジャズクラブについても様子を記していて、僕はニューヨークに飛んで行きたくなりました。

(掲載された写真から)

ボストンには、ボストン交響楽団があるし、新鮮な魚介料理があるようです。行ってみたい。

   

ジャズファンなら憧れの場所です。

アイスランドの温泉。「ブルー・ラグーン」というそうですが、有名な場所です。

   

米国オレゴン州ポートランドのレコード店で。

ヘルシンキ。シベリウスの交響曲は僕も大好きです。

フィンランドでは、馬を飼っているご家庭を取材していました。