7月21日に井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢の松本公演があったので聴いてきました。プログラムが意欲的で、パイプオルガンとオーケストラの饗宴と題し、ティエリー・エスケシュに委嘱した新作のオルガン協奏曲が含まれています。
(出 演)
指揮:井上道義
チェロ:ルドヴィート・カンタ
オルガン:ティエリー・エスケシュ
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
(曲 目)
エスケシュによるオルガン即興演奏
シューベルト / 交響曲第7番 ロ短調「未完成」D759
サン=サーンス / チェロ協奏曲第1番 イ短調 作品33
エスケシュ / オルガン協奏曲(新曲・委嘱作品)
(アンコール)
J.S. バッハ / 無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007より サラバンド(ルドヴィート・カンタ)
(感 想)
まず初めに、指揮者の井上道義がパーカッションを手でたたいて、リズムを示し、それを基にエスケシュがオルガンの即興演奏をやりました。オルガンの名手で作曲家でもありますが、ここまでやってしまうとは、ちょっと驚きでした。リズミカルで、しかも曲の終わりに向かってまとまりのよい演奏でした。
シューベルトの未完成は、オーケストラの並び方が、通常と異なり、左にヴァイオリン、ヴィオラ、右に木管楽器など、真ん中後ろにチェロとコントラバスという形でした。あとで、井上さんから説明がありましたが、未完成交響曲の低音部の旋律を会場内全てに届けるために、このような配列にしたそうです。その効果は充分出ていて、どっしりとした演奏でした。
サン=サーンスのチェロ協奏曲第1番は、ロマンチックな曲想に加え、ルドヴィート・カンタ(オーケストラ・アンサンブル金沢首席)の美しい音色によるチェロの独奏に最初から最後まで惹きつけられっぱなしでした。アンコールに応えて、バッハのサラバンドもやってくれました。
後半は、エスケシュの独奏による、新曲のオルガン協奏曲です。壮大な曲で、聴きやすい部類に入ると思いましたが、僕は、ホールのオルガンが鳴っているのか、オーケストラが鳴っているのか、よくわからず、困惑気味でした。常に協奏して音色が溶け込んでいると思われたので、オルガンだけの独奏部分を入れるとか、素人向けに工夫してもらうとありがたいと思いました。
お客様の入りは5割もいきませんでした。有名曲もありましたが、現代音楽の新曲披露だと集まらないのでしょうか。それにもかかわらず、指揮者、独奏者、オーケストラアンサンブル金沢それぞれの真摯な演奏があって、気持ちのよいコンサートでした。
松本市音楽文化ホールのオルガン。(携帯による撮影のためボケていますが、雰囲気だけでもご覧ください)