久しぶりに本屋に寄ったら、空気がだいぶ変わっていた。
どこがどうと説明はできないが、並んでいる本の姿が違う。
ハードカバーが増え、ぱらっとめくると、半分くらい空白のページの本もある。
読む本から買ってもつ本になってきたのか。
読むだけならば、印刷された本でなくてもできるようになった。
本が買わせるものになったのと同様に、ネットを使った情報の提供様式もダウンロードさせて見せるものが増えた。
しかし、ダウンロードは必要な部分だけというわけにいかない。
何ページにもわたる文書のうち数行だけが必要でも、あるいは何十枚もの画像の中から1枚だけ取り出したいといっても、いったんそっくり受け取ってから抜き出す作業をしなければならない。
自分から求めて手に入れたい場合は仕方がないが、よかったら見てくれといわれて何十枚もの写真をどさっとダウンロードさせられるのはごめんこうむりたい。
ダウンロードというのは有料無料にかかわらず買う行為なのだ。無料は違うと言うなら譲り受けると言い換えてもよい。
買わせる、あるいは譲り渡すものは、先に中味をよく見せること、立ち読みも、ひやかしもできるようにしておくのが普通のやり方であった。
手続きの前に中味を見せることを怠ると、だんだん押し売りに近づいていく。
質量ゼロのネット上であっても重荷は重荷、押し売りに似た行為は迷惑なのである。
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