その昔、「しゃんくれーる」(京都)のレコード・リストは当時、会社の帳簿でよく使われていたしっかりした麻張りのカヴァでルーズ・リーフ方式、そして丁寧にタイプライターで打たれていた。
勿論、レコード・カヴァは載っていなく、初心者の頃はさっぱり判らなかったが、まるでバイブルのような存在だった。
ある日、ペラペラと「H」の頭文字のページを捲っているとコレを発見、所謂、tp(cor)のワンホーン・カルテットというレアな編成に興味が湧き、即、リクエストを。2、3枚後にいきなりtp(cor)の鋭い音が鳴り響いた。カヴァも内容も全く知らなかったが、コレだ、と思った瞬間、体がフリーズしてしまった。
次に録音された”処女航海”に勝るとも劣らない出来なので下手なコメントはもう要らないですね。一言で言い表せば、当時(1964年)の精鋭達4人によるBNというマイナー・レーベルで、そしてゲルダー・スタジオという密室での「完全犯罪」でしょうか。
タモリの言葉を借りると、
「このハバードはJAZZを突き抜けようとしている」とか。アルバム・リーダーはハンコックだが主役はハバードと見抜いている。ライオンにしても主客転倒しないよう敢えてハバードに小型tp(コルネット)を吹かせたのだろう。
ただ、これは伝え聞いたものなので確証を得なかったけれど、少し前に発刊されたジャズ本の中で「タモリが選ぶ名盤20選」の5位にリスト・アップされており、やはり伝聞に間違いは無かった。読み手の顔色を窺ってばかりいる物書き屋達には到底出来ない選ですね。
因みに1位は”MY FUNNY VALENTINE / M・DAVIS”(CBS)、2位”WALTZ FOR DEBBY / B・EVANS”、3位”FOREST FLOWER / CHARLES LLOYD”(いいですね!)
6/11付の日経新聞(夕刊)に5月28日、新宿文化センターでのW・マリサリスの来日公演の記事が載った。「チェロキーでの疾走するソロ、圧巻!このステージは感心を越えた感動と楽しさを呼び総立ちで拍手が鳴り止まなかった」と。
この夜、果たしてマリサリスはハバードを越えたのか?
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