序 一九九五年から
Ⅰ
1ようこそ現実へ~「アンダーグラウンド」「約束された場所で」
2ここに来て~「スプートニクの恋人」
3もうひとつの社会復帰~「神の子供たちはみな踊る」
4メタファーの森~「海辺のカフカ」
Ⅱ
1失語からの出発~「風の歌を聴け」
2作家「鼠」の死~「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」
3「終り」の終わり~「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
4埋葬された . . . 本文を読む
『1973年のピンボール』は、著者の第二作。「デビュー作『風の歌を聴け』から9ヵ月後、文芸誌『群像』1980年3月号に発表。同年6月に単行本化された。「僕と鼠もの」シリーズの第二作。『pinball,1973』のタイトルで英訳版も発行されている。大江健三郎の『万延元年のフットボール』のパロディでもある」。
「1973年9月に始まり、11月に終わる、『僕』の話であるとともに鼠の話で、ピンボールにつ . . . 本文を読む
第七章 いるかホテルの冒険
第八章 羊をめぐる冒険Ⅲ
エピローグ
「羊」と何か?この基本的なメタファーに思い悩む。「キリスト教では、ヤハウェ(唯一神)やメシア(救世主)に導かれる信徒たちが、しばしば羊飼いに導かれる羊たちになぞらえられる。旧約聖書では、ヤハウェや王が羊飼いに、ユダヤの民が羊の群れにたとえられ(エレミヤ書・エゼキエル書・詩篇等)、新約聖書では、『ルカ福音書』(15章)や『マタイ福音 . . . 本文を読む
第一章 1970/11/25
第二章 1978/7月
第三章 1978/9月
第四章 羊をめぐる冒険Ⅰ
第五章 鼠からの手紙とその後日譚
第六章 羊をめぐる冒険Ⅱ
本作は、村上春樹の長編小説第3作。文芸誌『群像』1982年8月号に掲載され、1983年10月に単行本化。「僕と鼠もの」シリーズの第3作(「風の歌を聴け」、「1973年のピンボール」)。野間文芸新人賞を受賞。
「村上春樹がジャズ喫茶『 . . . 本文を読む
登場人物
・ディック・ノース;片腕の詩人。アメの付き人。
・ユミヨシさん;「いるかホテル」の跡地に建てられた「ドルフィン・ホテル」の従業員。
・羊男;羊の皮を被った謎の男。ドルフィン・ホテルでいつまでも「僕」を待つ。
・鼠;前作「羊をめぐる冒険」で死亡した「僕」の親友。
・文学;「赤坂高級コールガール殺人事件」を担当する赤坂署の刑事。
・漁師;その同僚。
下巻もふんだんに出てくるPOPS、ジャズ . . . 本文を読む
登場人物
·僕(主人公);元翻訳事務所勤務。現在はフリーライターとして「文化的雪かき」に従事している。
·キキ ;耳に特別な力を持つ「僕」の元恋人で元高級コールガール。
·五反田君;有名な二枚目映画俳優、「僕」の高校時代の同級生
·ユキ;霊感的少女。特別な感受性を持つ
·アメ;ユキの母親で高名な写真家。独創的で力強い写真を撮るこ . . . 本文を読む
単行本1987年9月講談社刊。
この小説を書いたとき、村上春樹は38歳。今の私から見ても、当時のこの作家の持ち合わせる若さ、老獪さ、造詣の深度に驚く。なぜ本書のタイトルが「ノルウェイの森」なのかとふと考えた。すると、逆に、上巻の感想文で引用したビートルズのこの曲をモチーフとした小説なのだと考えると合点がいく。ひとつの楽曲を小説に仕立てる試みは重松清が「ビタミンF」で継承している。
フリー百科事 . . . 本文を読む
単行本1987年9月講談社刊。
「暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルグ空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの「ノルウェイの森」が流れ出した。僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱していた」。冒頭の描写で「NORWEGIAN WOOD(This Bird Has Flown)」をモチーフにした作品だとわかった。
なぜかわから . . . 本文を読む
27年前の村上春樹のデビュー作(1979年『群像』6月号)を読んだ。
「群像新人文学賞を受賞し、1979年6月、文芸誌『群像』に発表。『僕と鼠もの』シリーズの第一作。応募当初の題名は『ハッピー・バースデイ、そして、ホワイト・クリスマス』。執筆時の村上春樹と同じく1978年に29歳になった「僕」が、1970年21歳の時の8月8日から8月26日までの19日間の物語を記す、という形をとり、40の断章と . . . 本文を読む
上巻を約一週間かけて読み、下巻を今日一日で読んだ。上巻に登場した人物に加え、20代半ばの青年星野が後半重要な役割を演じる。本書のテーマの一つは、今生の自分を半身として捕らえその半身である「ツインソウル」を求める旅、ロードノベルになっている。
周知のように本書は、今月23日にフランツ・カフカ協会により決定されたチェコの文学賞「フランツ・カフカ賞」を受賞。同賞は01年創設で、今年で6回目。また、この . . . 本文を読む