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マリ・カザマツリ専用グフ 近接戦闘仕様 

2008-05-14 | 中身

 

型式番号 MS-07B-3
所属    ジオン公国軍
開発    ジオニック社(マガツ・ファクトリー)
頭頂高   18.2m
本体重量 60.5t
全備重量 79.8t

ジェネレーター出力 4,150kW
スラスター総推力  150,900kg
センサー有効半径  -
装甲材質       超硬スチール合金 GND合金
武装          3連装35mmガトリング砲
             ショックアンカーワイヤー
             GND合金製マチェット
             蒸散型対ビームコーティングシールド
             75mmガトリング砲
             GND合金製実剣×2
             カートリッジ式煙幕発生装置×4

 機体解説 

 MS-07グフをベースにカスタムを施されたこの機体は、ジオン公国軍傭兵マリ・カザマツリに提供された。彼女の卓越した白兵戦技を見込んだドズル・ザビが与えたとされているが、実際には輸送の際に何者かによって機体がすり替えられており、正確な出所は不明となっている。
 本機はベースとなったMS-07グフと外見上の差違は少ないが、実際には内部構造が大きく変更されており、当時の機体としては破格の機動性とパワーを獲得している。これは装甲を削り、フレームも最低限の剛性を維持可能な限度まで絞り込み、オートバランサー等の補助機器を取り払い、左右の大腿部に各一基のミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合炉を増設している事が最大の要因である。増設された核融合炉はワンオフの高品位な物で単基あたりの出力も高く、合計ジェネレータ出力はオリジナルの実に4倍にまで達している。またスラスター・バーニアも更に高性能な物に換装された上に背部バックパック及び脚部に増設され、変幻自在の高機動戦闘を可能としている。
 これらの過剰ともいえる出力こそが本機の圧倒的な戦闘力の源であるのだが、実際にその能力を発揮する事は極めて難しい。何故ならば、本機は様々な意味合いにおいてパイロットに対して非常に「優しくない」のである。核融合炉増設の為に、外せる機器は全て外した事により、本機は基本的に全ての操作をパイロットが行わなければならない。オートバランサーもモーションセレクターも搭載されていない人型機動兵器などという物は、ただ歩かせるだけでも至難を極め、実戦に投入可能な練度を考慮した場合、到底現実的ではない。
 その上、この機体の機動力・瞬発力は尋常ではなく、静止状態から最高速度である時速750㎞に達するまでに要する時間は3秒にも満たない。常人がこの加速度に耐える事は不可能であり、また仮に耐えたとしても今度は耐えつつ機体の制御を完璧に行わなければ戦闘行為など到底覚束ず、敵と交戦する前に自滅する事は明白といえる。無論スロットルを全開にせず、扱える範囲の出力で操縦する事も可能ではあるが、その場合本機のもう一つの欠点、装甲の脆弱さが深刻な問題となる。本機は圧倒的機動力を利して、被弾率を極限まで低減させる事を前提に設計されている為、装甲は飾りに等しい程に薄い(弱点を敵に誇示する利点はないので、外見上はそう見えぬように取り繕っているが)。緩慢な動きでは単に装甲の薄いMS-07グフに過ぎず、出力を活かす以前に蜂の巣にされてしまうであろう。
 以上のように汎用兵器としては致命的な欠陥を持つ本機ではあるが、煩雑極まりない操縦を高加速による膨大なGに耐えながら可能とするパイロットが扱ったならば鬼神の如く戦場を席巻する可能性を秘めている。そして、本機はそのようなパイロットへと提供された機体なのである。

 装甲解説

 MSが携行可能なビーム兵器の登場が予測される情勢において、従来の装甲の有用性が低下する事は確実であった。MS-09ドムのように重装甲を施した所で、ビーム兵器の直撃を受けたなら大破は避けられない。また、遮蔽物の少ない平坦な地形においては高い効能を発揮するMS-09ドムのホバー走行システムも、あくまでも二次元的な動きであり、慣れてしまえば格好の的でしかなかった。ましてや戦場に障害物が多い状況においてはその機動性を発揮する事がそもそも難しいという欠点を抱えていた。
 これらから本機の設計者が導いた一つの答えが、「立体的な高機動化」である。歩行・走行・跳躍・飛行(機体形状的に安定飛行は望むべくもないが、本機は短時間の疑似飛行を充分可能とする程のスラスター推力を有している)といった各動作を機敏にし、そもそも被弾せずに敵を撃滅する事を目的とした設計になっている。
 だが、現実的に被弾率をゼロにするというのは不可能である。よって、要所要所は必要最低限の装甲強度を維持した上で、パイロットのサバイバビリティに直結するコクピットブロックとシールドの装甲には、革新的技術が投入された。具体的には、まずこの二箇所の装甲材質にはGND合金が用いられている。GND合金とは「Genetic on Universal Neutraly Different Alloy」(電気的に中性な異種構造の宇宙製合金)という意味を持ち、「電気的に中性」という特徴は、この合金が周囲の環境によって物理的にさまざま振る舞い(電磁波の吸収、高温強度やクリープ強度の変化、荷電粒子による界面変化の減衰など)をすることに起因する。その為、破壊係数は存在するものの、ビーム兵器に対する耐性、物理的な衝撃に対する耐性が極めて高い。更に、宇宙世紀0150年代に実用化される技術である蒸散型対ビームコーティングの原型ともいえる処理が施されており、一発に限りほぼ完全にビーム兵器を無効化する事が可能となっている。
 ただし当然の事ながらコストは甚大で、この二箇所の装甲だけで通常のMS-07グフが三機は建造可能な程である。特に蒸散型対ビームコーティングは一回限りの効果である事を考えた場合、あくまでも技術的実験の域を出る物ではない。

 武装解説

 本機の装備は原型となったMS-07B-3に準じるが、ヒートサーベルがGND合金製マチェットに変更され、背部バックパックに二振りのGND合金製実剣を追加している。そもそもヒートサーベルやビームサーベルという物は、刀剣の取り扱いに習熟せずとも可能な「溶断」を目的とした武装であり、逆に言えばパイロットが刀剣の扱い方を心得ているなら無駄にエネルギーを消耗し故障の危険も伴う信頼性の低い武器でしかない。本機は最初からマリ・カザマツリによる運用を前提として建造されている為、それら「無駄な武器」を装備する必要は無かったのである。
 GND合金製実剣は匠の技による刃付けと研ぎが施されており、非常に優れた切断能力を誇る。実験においては直径3メートルのルナチタニウム塊を文字通り一刀両断しているが、刃物の宿命として使用している内に切れ味の低下は避けられない。これに対処する為、鞘の内部にはタッチアップ機構を備えている。
 GND合金製マチェットはヒートサーベルと換装された物で、ヒートサーベル同様シールド裏にマウントされる。赤熱化機構こそ持たないが、GND合金の強靱さと本機の出力により、単に叩き斬るだけでも凄まじい威力となる。GND合金製実剣と比較して切断能力では劣るが頑丈な造りであり、通常はこちらの使用で事足りる場合が殆どであろう。
 また、地味な変更点としてショルダーアーマーのスパイクがストレートタイプになっている。これは湾曲タイプのスパイクよりもショルダーチャージにおいて有効打となり易いという実利優先主義による。

 

 その他解説

 機体の高出力・高機動化に伴い、必然的に各種センサー類が増強されている。特徴的なのは頭部後方に増設されたモノアイカメラで、これは前部のモノアイカメラ共々、有効レンジや分解能など全ての面において正規品を遙かに上回る性能であり、機体全周囲の情報を高精度にパイロットに伝達する事を可能としている。
 また、左右ショルダーアーマーに二基ずつ新設されたカートリッジ式煙幕発生装置も特筆すべき装備である。これは基本的に使い捨ての兵装だが、一つ使用するだけで瞬時に広範囲を煙幕で覆い、視界を限りなくゼロに近づける。ミノフスキー粒子散布下の状況に於いて視覚情報を遮断される事は自他双方にとって多大な影響を及ぼすが、仮に視覚以外でも敵機を感知する事が可能なパイロットが搭乗している場合、戦況は一方的な物となるだろう。更に煙幕カートリッジ以外にも毒ガスカートリッジや唐辛子カートリッジ等も用意されており、これらは開発元の趣味が色濃く現れていると言える。
 このように本機は総じて実験性の高い機体であるが、特に実験的な部分は実は外部ではなく内部、ハードウェアではなくソフトウェアに存在する。それこそが本機のオペレーティングシステム、「S.I.Z.U.Ru.(Sacred Integral Zillion Ultimate Ruler)」である。S.I.Z.U.Ru.は、電脳上においてあたかも「もう一人のパイロット」の如く振る舞う自律型オペレーティングシステムであり、メインパイロットの操縦の癖を学習記憶し、火器官制等必要とされる局面において適切なサポートを行う。時間と対話を通じて関係を構築するという、およそ兵器らしくないシステムが何故搭載されているのかは明らかになっていないが、特定のコードを入力すると「10秒程の間、モニタに映る全ての物体に奇妙な輝きがオーバーレイ表示され、その後S.I.Z.U.Ru.システムが強制再起動される」という現象が確認されている。S.I.Z.U.Ru.システム再起動には30分を要し、再起動完了までメインモニタがブラックアウトしてコクピットハッチを開いての目視戦闘を余儀なくされるという致命的状況に陥る上に、何に役立つのかも判らない危険な機能であると言えよう。 

 

 

 

【そんな訳で、我が友へのプレゼントです。SRWシリーズのオープニング前振り文章的インチキっぽさとMGマニュアル的後付け嘘設定っぽさを混合した感じが出ていると良いのですけれど。】